ドバイ駐在員ノート

一人の中年会社員が、アラブ首長国連邦ドバイで駐在事務所を立ち上げて行く過程で体験し、考えたことの記録。(写真はイメージ)

UAE訪問ビザ 大幅値上げ

2008年06月15日 23時08分56秒 | 法・制度
UAEへの訪問ビザ(有効期間一ヶ月)が、8月より、それまでの100ディルハムから500ディルハムに引き上げられることになった。閣議決定によるものだという。

フリーゾーンによって異なると思うが、例えば我が事務所が入居するフリーゾーンでは、ビザの取得を代行してくれるサービスがあり、今回の政府の料金改定を受け、期間1ケ月の訪問ビザの申請には1500ディルハムかかることになる。

欧米人や日本人はそもそも短期滞在のためのビザが免除されているので、直接の影響はない。だが、この国の労働者の大半を占める、インド人、パキスタン人そしてフィリピン人にとっての影響は深刻だ。UAEで働く労働者には、(日本人駐在員もそうだが)家族を本国に残して来る出稼ぎが多い。最も数が多いインド人の場合、ドバイとの距離が近いのに比例して、航空運賃も安いせいか、自費でもちょくちょく帰国する他、家族や親戚が訪ねてくることも多い。

企業への影響も大きい。労働者に対して、1年に1回本国への一時帰国の旅費を支給するのが一般的である他、多くの企業で家族の呼び寄せに必要となるビザの費用も支弁しているからだ。

一方、旅行代理店などを通じて取得することになる観光ビザは従来とかわらず100ディルハムのまま。こうなると、訪問ビザにかえて観光ビザで入国しようとする出稼ぎ労働者の家族や、ドバイでの求職者が増えそうだ。

今回の政府決定の意図は今ひとつ計りかねる。サリクや導入が検討されている付加価値税(VAT)と同様、政府の歳入不足を補うために手近な手段を選択したのかもしれない。人口の大半に影響のある政策が、目に見える場所での議論なく決まってしまうこの国の怖さを、今更ながら認識させてくれるニュースだ。

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