ともこもなこ !

ソプラノ大森智子のページです。
ふわふわと流れてゆく雲のように
あんなことこんなこと・・・

魚沼市その1・興珊寺コンサート

2006年05月10日 23時56分41秒 | うた
ふたたび新潟から戻ってきました!

『中越大震災復興祈念プログラム』、先週に続く第2弾は、魚沼市の興珊寺さんでのコンサートでした。

先週の下見のときは氷雨で、お客さまの冷え対策をどのようにしようかと心配して帰りました。
が、当日の朝、日が昇るにつれ雲がどんどん晴れてゆき、お昼にはこーんな快晴の、まさに春到来!

お寺の桜は満開で、花びらが風にくすぐられてクルクルと、なんともいいあんべえ(塩梅)!
              
                   はる~


 会場はこんなふう

今回のお寺コンサートでは、お客さまにじっくりと見ていただきたいと、ご本尊さまを正面にしたり、
お坊さまが座られる天蓋(てんがい)の下を歌位置にさせていただいたりと、ことごとくお寺ではありえない
であろうことをたくさんさせていただきました。ご住職のご厚意が本当にありがたいことでした。

そもそもお寺コンサートと聞いたときから、お寺にある音---日本の音と、歌とピアノの西洋の音で何か新しい音を
つくれたらいいなぁと中川氏と話していたのです。
それが下見のときに鐘や太鼓、木魚など、「そこにあるもの何でもを使っていいですよ」とご住職が言ってくださって、
それらの音を聞かせていただいたときは衝撃でした。

 江戸時代からお寺に響く
                                    木魚と鈴(りん)
                        
                                  

なんと深く、大地に心に響く音!
ぜったいお客さまにも聴いていただきたい。

で・・・
ご住職もお借りしてしまいました~

 リハ風景  モーツァルトとブルックナーがお好きで
                                      リコーダーも吹かれるご住職 即興のセンスも抜群です

鐘隊も結成 四方からお客さまを鐘の音で包むことに

 そりゃ叩きたくなりますわね~


本番は、たくさんのお客さまに囲まれてとてもいい雰囲気の中で歌わせていただきました。
ご本尊さまもライトアップしてくださって、そのせいかどうかは今となっては分からないのですが冒頭の「アヴェマリア」で
歌いながら背中の仏さまの存在をとても感じて、間奏のときに振り返り、お客さまに背を向け歌ってしまいました。
「今日はよろしくお願いします」と、自然にそうなっていました。
そんな場所、なんだろうな、やっぱり。

「東の月、西の月コンサート」でしたので、今日こそお月さま出ないかなと思っていたところ、
休憩時間に「出てますよ~」の声。
あわてて外へ出ると、あぁ上弦の月が!


プログラム最後の『交響カンタータ KOZANJI』は、とても貴重な経験をさせていただきました。
四方で叩かれる鈴の音が人々を包み、中川氏のピアノとご住職の読経の声、そして鐘、木魚によるセッション、
この場にいられることの感謝の祈りをご住職のお経から歌「アメイジンググレイス」へ。
東の音と西の音が交じり合う。

ご住職の鈴の音が最後にひとつ、低く、太く。
その音が長く長く、やがて消えてゆくまで、皆がその音をたどり、耳を澄ます。
お寺の外の水音と蛙の声が聞えてきて、、、その間何秒?何分?
それはそれは美しい「音楽」を聴いた。


そんなお寺を銀色の月が明るく照らしてくれました。