いちばん静かなたけし映画。

映画について書く。

といっても最近見た映画でもないし、別に語りたいという欲求に満ち満ちているわけでもない。

なんとなく書く。


たけし映画といえばヤクザもの。

私などはそれだけで手を出しづらい。

しかし監督人生の序盤に非常に静かな映画を撮っている。

それが『あの夏、いちばん静かな海。』

この映画の主人公はゴミ収拾車の運転手である。

主人公がある日サーフィンにはまるのだが、様々な障害を乗り越えていく、その過程を描いたもの(といってもそんなに劇的でもない)。

主人公は聾唖者だが、障害者の苦労で同情を誘うような作風ではない。

聾唖者を必要以上に純粋無垢なものに仕立てあげ、あからさまな悪意でこれでもかと嫌なシーンを見せる最近の作品とは違うのである。



ゴミ収拾の仕事は社会的なステータスはよくないが、働いている人はむしろ仕事に対するぼくとつで爽やかで落ちついた諦念を持っている普通人であったりする。

その普通人の素晴らしさを描いているという点でこの映画は唯一無二なのである。