韓国経済④ 不可解な通貨安定証券

 

韓国経済③で悲観的なデータを並べました。本日は，その中でも一番気になる点をクローズアップし，エントリーしたいと思います。一番気になる点とは韓国の国家債務についてです。

●国家債務の急激な増加●

 

韓国の国家債務が急増
０３年から債務比率が急上昇しています。まず，０１年にIMFの借金を返済してIMFのしばりが無くなったことが大きいのでしょう。それと，０２年の暮れにノムヒョンが大統領になっています。国家債務が多くなったのは，ノムヒョンになってからであることがわかります。

赤字国債の発行残高、年内に５０兆ウォン突破
ノムヒョンになってから，毎年１０兆ウォンずつ増えています。不景気のため税収がないから，といいますが，確かに０２年は７％の経済成長を成し遂げたのに，０３年は３．１％に急落しています。

しかし，問題はどこから借金をしているか，ということです。

例えば日本。地方を合わせれば１０００兆円の国債・公債を発行しています。問題にはなるが，日本の格付けはAAだし，日本が倒れるという兆候はありません。それどころか，好景気だといわれています。なぜか。

日本の国債は９５％が国内消費だからです。国内消費の国債は企業会計で言う資本に相当します。国債は国民の資産であり，金利は国内に流れるのでいわば公共事業なのです。いざとなれば，金利だけ払っていればよい。だから，日本の赤字国債は額の巨大さに比べてさほど問題にならないわけです。

ところが，対外債務であれば，それは借入金となります。金利を外国に支払わなくてはならないし，返すときがくれば返さなくてはなりません。韓国の国債は７５％が国外消費であるといわれています。従って，韓国の国債発行残高はすでに危険な額に到達しようとしているのです。

※くどいようですが，対ＧＤＰの国家債務比率はあまりあてになりません。対ＧＤＰの国家対外債務比率をこそ問題にすべきだと思います。

●爆弾　通貨安定証券●

韓国銀行の赤字、ことし３兆ウォンに達する見通し

非常に不可解な記事です。中央銀行は通貨発行をするところなので，常識的に考えて赤字ということはありえません。なぜ，赤字になったのか。そのからくりが記事中の「通貨安定証券」です。

「通貨安定証券」は，どうも，IMF以降に韓銀がひねりだした技のようです。本来は国債を発行するところなのですが，IMFがらみで国債発行額に縛りがかかっていたのでしょう。犯罪的な行為です。いかにも韓国らしい，発酵臭のきついキムチ技です。

ただ，額がでかい。なんと，２０兆円（推定）！ウォンではありません。利払いだけで年間８０００億円かかります。だから，多分世界で唯一韓銀は中央銀行なのに赤字だというのです。
通貨安定証券の発行残高１５５兆２０００億ウォン

この安定証券の使い道は，ドルを買うことによってだぶついた市中のウォンを回収するため。インフレ対策です。他にも説があります。それは，為替対策費。なにせ，ウォン対策費が足りなくて，年金基金にまで手を出した，という噂もあります（韓国の公的年金は既に破綻状態）。「通貨安定証券」という債権を 発行してウォンを入手し，それを為替対策にあてているというのです。

２０兆円は韓国の国家予算の１．５倍。韓国のGDPは日本の６分の一程度だから，日本にあてはめると，１００兆円以上の金額に相当します。ちょっと信じられない。

また，誰がこの証券を購入しているか，という問題もあります。国内で消費されているのか，新たな対外債務なのか。

それだけではありません。この通貨安定証券の最大の問題点は，国家債務にカウントされていないこと。しかし，通貨安定証券の発行ができないと，韓銀はウォンを刷るしか対応法がありません。そうなるとスーパーインフレです。

まあ，こんな人たちが中央銀行を運営しているのだから。

 政府、韓銀に「紙幣の発行」を要請　ウォン高対策として

韓銀のコメント，「韓銀には紙幣の発行といった手段があるため、為替市場への介入財源は無限」だそうで。中央銀行じゃなくて，ちゅうおうぎんこおって感じですね。

いずれにせよ，近い将来大問題となるのは間違いありません。ならないほうがおかしい。

利子年間6兆ウォン　通貨安定証券が国家財政脅かす （去年の記事）

●韓国の本当の国家債務●

韓国政府発表：２４８兆ウォン（０６年推定値）
通貨安定証券：１５５兆ウォン（０５年残   高）
約４００兆ウォン（約５０兆円）

GDPは約１００兆円（８００兆ウォン：０５年）です。韓国の国家債務は，概ね韓国のGDPの半分です。

これが韓国の本当の国家債務ということになります。しかも，現在のような景気が続くと思われるので，来年はこれに数１０兆ウォン上乗せされるのが予想されます。そしてそういう状態が何年も続くでしょう。
韓国の国家債務が急増
通貨安定証券１５５兆ウォン，それから韓銀の内部積立金０６年に枯渇？

しかも，当面アメリカの金利は下がらないようなので，韓国も金利を下げるわけにはいきません。すると，利払いもこれ以上下がらないわけです。国家債務が５０兆円ですと，単純計算で利払いは２兆円くらいでしょうか。

これが，国内への利払いならば問題ありません。

しかし，韓国の場合は７５％が対外債務であるといわれています。毎年，外国へ１．５兆円以上の利払いが発生するわけです。しかもこの額は年々急上昇しく公算が強い。

さらに，自主防衛，保障の充実を掲げています。誰が考えても，あっという間に国家財政が破綻することは明白です。


自主防衛：現在の水準(GDP対比2.85%)から，米軍削減の穴埋めに必要とされるGDP対比3.2%台に国防費比率を高めたとすると，年間約20億ドル(2兆4千億円)の増額となる。

保障の充実：左派政権だけあって，ノムヒョンは北欧型の充実した保障制度を取り入れたいらしい。しかし，韓国の年金制度は早くも破綻し始めている。日本等は年金破綻に対して国が支援しているが，韓国では国の支援はない。もし国が支援するとなると，最低４２０兆ウォン必要であると，ハンナラ党の国会議員が明らかにした。
昨年の国家債務780.5兆ウォン、初めてGDP規模上回る


改めて思いますが，ノムヒョンって本当に馬鹿ですね。＜続く＞

追加：外資，逃げ足速すぎ
【韓国】　サムスン電子、外国人持ち株比率40％台に下落 　[10/25]
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/10/25/20061025000045.html
サムスンは少し前まで外資比率が７０％でした。あっという間に２０％の外資が逃げたわけです。
ポスコ等も外資率７０％越えていましたが，今どうなっているのでしょうか。

続きは明日。