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会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

三菱商事・三井物産 初の連結最終赤字見通しに思う

2016-03-24 | 会計・株式・財務
23日の昼休み、いつものように丸善を徘徊しておりましたらこんな新刊書を見つけました。
総合商社等による撤退処理の指南本なのか、はたまた資源価格暴落を受けて逆張り的な投資家の登場を期待したものなのか・・・・、などと思い巡らせていた矢先にビッグニュースが飛び込んできました。

エネルギー・資源投資の会計実務
中央経済社


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◆3月24日 日経記事(抜粋)

三菱商事と三井物産が2016年3月期に初の連結最終赤字に転落する見通しだ。資源安で保有権益の減損損失が膨らむ。三菱商事の赤字額は1000億円台となりそう。三井物産は700億円の赤字になると23日に発表した。資源に依存した大手商社の収益構造は見直しを迫られている。

 三菱商事は4000億円規模の減損が発生するもよう。12年に英アングロ・アメリカンから取得したチリの銅権益や、12年にオーストラリア企業から取得した液化天然ガス(LNG)権益が主な案件だ。すべての開発案件について将来の収益性を厳しく見直し、来期以降の資源以外の事業を軸にした成長につなげる。24日にも業績予想の下方修正を発表する。

 三井物産は23日に約2600億円の減損損失を計上すると発表した。このうち約1150億円と最大なのはチリの銅開発だ。チリ銅公社と共同で出資した案件と、JXホールディングスなどと組んだ案件の2つがある。銅価格が1年前より2割下がり、投資回収が難しいと判断した。
 豪州でのLNGと石炭開発でも減損が発生(400億円)し、間接的に出資するブラジル資源大手ヴァーレがニッケル開発などで計上した減損損失(350億円)も取り込む。


◆三井物産リリース
 減損損失の発生及び通期連結業績予想の修正に関するお知らせ

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「さすが」というのが第一印象で、タイミングにも恵まれていたと思います。
好意的に解釈すれば、三菱商事は元々社長が代わるタイミングだったので、新社長にバトンを渡す前に一気に・・・という思いがあったのでしょう。また、三井物産も安永社長は就任して1年で過去のしがらみも少なく、思い切って処理しやすい状況にあったと推察されます。
もっとも、本当にウミを出し切ったのかは精査が必要ですけど。

結局、トップマネジメントがどう決断するかにかかってくるのですが、気になるのは住友商事の動きですね。
住友商事は年初、「アフリカ・マダガスカルのニッケル事業以外に銅や鉄鉱石などの事業でさらに減損が発生する可能性がある」として2016年3月期の連結純利益の着地見通しの公表を見送り、2月5日に連結純利益が1千億円の黒字になる見通しを公表。
しかし、FACTA3月号によれば、本当にウミを出し切ったのかと見るライバル商社の役員もいるようですし、「なぜ、前期の巨額損失の原因を検証せず、今期も巨額の減損を計上しておきながら、住商の経営陣は何事もなかったかのように振る舞えるのか」といった批判も持ち上がっているとのこと。

経営者の責任問題に発展しかねない商社の減損問題。しかし、それを先送りにすると傷口は確実に広がることでしょう。
今期決算での減損処理は後になって「あの時がターニングポイントだった」と言われる重大なイベントになりそうです。

またいきます。

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