月刊誌ZAITENの名物コーナーで、あの会計評論家が、ついにというべきか、あのソフトバンクの決算書を分析した。
p.45
夢見る「レバレッジ経営」の実態に迫る
ソフトバンク・孫正義社長の“わらしべ長者経営”の末路
会計評論家 細野祐二
世界に比類なき天才経営者率いるソフトバンクは、直近の決算でなんと3400億円もの連結経常利益を叩きだした。さすが日本を代表する「ITレバレッジ経営」の最たる実業家と脱帽するところだが、決算をつぶさに精査すると、まるで悪夢を見ているように思えてくる。
関心のある方は、ぜひ実物で確認して欲しい(私もこの4ページのためだけに身銭を切っている)。
細野氏の分析ポイント(利益に関する部分)は以下の通り。
-------------------------------------
①平成18年4月に買収したボーダフォンの償却負担の軽減を狙って、平成18年3月期決算において会計方針を変更し、減価償却費の負担を軽減させた。この結果、平成19年3月期以降、ソフトバンクの利益は742億円底上げされている。
②買収したボーダフォンののれん約1兆円。償却期間は20年だが、超過収益力が20年もの長期にわたってゆるぎなく維持できるのか?
携帯電話送受信ハードと運用ソフトの耐用年数以上の期間においてその効果が発現することはありえない。前者の耐用年数は10年、変更前は6年。後者の耐用年数は5年。仮にのれんを20年償却ではなく6年償却にすると、償却費は1,714億円と実績比で約1,200億円膨らみ、修正後の純利益は▲233億円となる(実績967億円)。
→①②から、立派な利益が計上されるべく設備投資やのれんの償却を行っているだけ。
ボーダフォン買収以前の夢見る業績不振会社の姿が浮かび上がってくる。
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まぁ、非常に明快だ。バッサリ斬ってるね。期待に違わぬ分析結果だ。
しかし、ここで反論が予想される。
利益はそうかもしれないけれど、償却費を足し戻した営業キャッシュフローは3Q累計で5,259億円と過去最高になったって言っているじゃぁないか。キャッシュフロー生成能力は上がっているじゃないかと。格付機関JCRはソフトバンクをA格に引き上げたじゃないかと。
そういう向きには、私が先月の段階で警告を発しているのを忘れていないか。
2月7日の拙稿 「ソフトバンクの2011年第3四半期決算に思う」
この中で、割賦債権の流動化によって1,770億円も営業キャッシュフローを嵩上げしていますよ、って。
まさか、JCRはこれらのことを見落としていたとは言わせないが・・・・・・・。
(格上げリリースには「キャッシュフロー創出力の強化」とあるが・・・・ちゃんと見ているのか?)
今に始まったわけではないが、JCRは信用力に不安のある企業にとって駆け込み寺のような格付機関であり、格付けは全般的に甘い。それにしてもソフトバンクのA格は甘すぎないか?
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ZAITEN (財界展望) 2011年 04月号 [雑誌] | |
財界展望新社 |
p.45
夢見る「レバレッジ経営」の実態に迫る
ソフトバンク・孫正義社長の“わらしべ長者経営”の末路
会計評論家 細野祐二
世界に比類なき天才経営者率いるソフトバンクは、直近の決算でなんと3400億円もの連結経常利益を叩きだした。さすが日本を代表する「ITレバレッジ経営」の最たる実業家と脱帽するところだが、決算をつぶさに精査すると、まるで悪夢を見ているように思えてくる。
関心のある方は、ぜひ実物で確認して欲しい(私もこの4ページのためだけに身銭を切っている)。
細野氏の分析ポイント(利益に関する部分)は以下の通り。
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①平成18年4月に買収したボーダフォンの償却負担の軽減を狙って、平成18年3月期決算において会計方針を変更し、減価償却費の負担を軽減させた。この結果、平成19年3月期以降、ソフトバンクの利益は742億円底上げされている。
②買収したボーダフォンののれん約1兆円。償却期間は20年だが、超過収益力が20年もの長期にわたってゆるぎなく維持できるのか?
携帯電話送受信ハードと運用ソフトの耐用年数以上の期間においてその効果が発現することはありえない。前者の耐用年数は10年、変更前は6年。後者の耐用年数は5年。仮にのれんを20年償却ではなく6年償却にすると、償却費は1,714億円と実績比で約1,200億円膨らみ、修正後の純利益は▲233億円となる(実績967億円)。
→①②から、立派な利益が計上されるべく設備投資やのれんの償却を行っているだけ。
ボーダフォン買収以前の夢見る業績不振会社の姿が浮かび上がってくる。
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まぁ、非常に明快だ。バッサリ斬ってるね。期待に違わぬ分析結果だ。
しかし、ここで反論が予想される。
利益はそうかもしれないけれど、償却費を足し戻した営業キャッシュフローは3Q累計で5,259億円と過去最高になったって言っているじゃぁないか。キャッシュフロー生成能力は上がっているじゃないかと。格付機関JCRはソフトバンクをA格に引き上げたじゃないかと。
そういう向きには、私が先月の段階で警告を発しているのを忘れていないか。
2月7日の拙稿 「ソフトバンクの2011年第3四半期決算に思う」
この中で、割賦債権の流動化によって1,770億円も営業キャッシュフローを嵩上げしていますよ、って。
まさか、JCRはこれらのことを見落としていたとは言わせないが・・・・・・・。
(格上げリリースには「キャッシュフロー創出力の強化」とあるが・・・・ちゃんと見ているのか?)
今に始まったわけではないが、JCRは信用力に不安のある企業にとって駆け込み寺のような格付機関であり、格付けは全般的に甘い。それにしてもソフトバンクのA格は甘すぎないか?
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通信業、特に携帯電話事業については通常の企業に比して現金収入が毎月確保できる大きなメリットがあり営業利益が確保出来ていれば非常に楽に資金繰りが出来るわけで収益力がほんの少しでも右肩上がりであるのなら財務は安定するのです。ましてやのれんには優れた機器とは言えないもののボーダ時代迄に築かれたインフラの機器や権利部分も有るわけであなたのようなケツの穴の狭い了見では見ることはできないでしょう。
あなたのような存在が有ると言うことが日本のCPAのレベルの低さを物語っています。馬鹿は休み休み言いなさい。
確かに、稚拙な分析がこのブログの売り物なのでそれについてどうこういうつもりはありません。
ただ、違和感を感じたのでその理由とともに書き残したまでです。
時が証明してくれるでしょう。
後半の割賦債券の証券化については何もコメントしていませんね。
ただあなたが指摘したのは、そういう「会計操作」だって可能だというにすぎない。
なぜ、適切な評価が必要なのか、投資家のことも考えていない。
「馬鹿も休み休み言いなさい。」
>dancing-ufo
ブログ拝見しております。これからも「稚拙な分析」期待しております。
なぜこんなに人気があるのだろうと疑問におもっている一人としては、
興味深く記事拝見しました。
twitter等で『IFRS で「のれん代」を浮かせれるようになる』と
記載がありますし、今後はどんどん良い決算になりそうですね。