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W杯、日本惨敗の遠因を考える -放映権料の視点から-

2006-06-25 | スポーツ系雑感
いやぁー、W杯。
サッカー音痴の私ですが、もうドイツ優勝だと思います。
スウェーデン戦、開始5分のポドルスキのゴールで、
私の中でW杯は終わりました。

チームは若いし、ホームの後押しも大きく、上り坂の「勢い」を感じます。
まっ、どこかで外れたら、からかって下さい。

そして日本代表の監督に千葉・オシム氏が浮上とか。
メディアの評価を見ると(これが曲者ですけど)、良い監督のようです。
惜しむらくは、年齢65歳とご高齢なことですかねぇ(←一応、ダジャレです)。


さて本日のネタは、W杯に因みまして、日経ビジネス2006.6.26号にあった
「もう一つのW杯 -FIFA肥大化の歴史に電通あり」のご紹介。
原文もぜひご覧下さい。
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・電通とFIFAの関係史

 1977年 電通がペレの引退試合(国立)を企画、6万5千人の観衆を集める。
       それを聞きつけたFIFAのブラッター氏が当時担当していた
       ワールドユース大会をどう盛り上げるか相談するために
       電通に接近。

 1982年 同じくペレ引退試合で電通に着目した独アディダスが、
       電通との折半出資でスイスを拠点とする「ISL」社を設立。

 1996年 ISL社は日韓大会、ドイツ大会の全世界の放送権を、
       独のメディア企業グループ、キルヒ社と共同で一括購入。
       ISLの購入額は2大会分で28億スイスフラン(当時の為替で
       約2,300億円)
         
       電通は、日本におけるスポンサー権と放映権の優先交渉権を
       保ちながら、ISLへの出資比率を10%程度に引き下げ
       (←ISLと基本的にスピリットが違うためとか)。

 1998年 ブラッター氏がFIFA会長に就任

 1999年 日本への放映権交渉開始。
       ISL側は2大会一括で6.5億スイスフラン(同約600億円)
       (1大会300億円でも、NHKがフランス大会で支払った放映権
        料の50倍以上)
          
 2000年 日韓大会の交渉が暗礁に乗りかけた時、救世主「スカパー」登場。
       日韓大会全64試合の放送権を約130億円(同誌推定)で購入。
       この他、NHKと民放が一括購入して分け合う
       「ジャパン・コンソーシアム(JC)」方式で69億円(同誌推定)。

 2001年 FIFA,100%出資のスポーツマーケティング会社
       「FIFAマーケティング」を設立(→ISL破綻の直前)

       ISL破綻
        (男子テニスの放映権獲得に12億ドルもの巨額投資が引き金)

 2002年 キルヒ破綻
        (衛星子会社「プリミエール」への過剰投資が引き金)

    ISLとキルヒの権利はFIFAマーケティングが引き取り。


 2004年 電通はCS(通信衛星)に続いて登場したBS(放送衛星)
       デジタル放送に照準を向け、BSデジタル普及への先行投資の
       名目でJCの拠出額を上げさせた。

       結果、総額153億円(NHK107億円、民放36億円、
       スカパー10億円)(いずれも同誌推定)で決着。
       うちJCで143億円と前回大会の2倍超に引き上げさせた。

       →NHKのBSで全64試合を生放送。
        地上波生放送は民放とNHKが各20試合。

 2005年 電通は、2007~2014年のFIFA主催大会の国内向け
       放映権をFIFAマーケティングから獲得。
       (同誌によれば、電通は南ア大会の国内向け放映権料として
        総額250億円を目指していると)

       欧州放送連合などは、2010年南アフリカ大会の欧州向け放映権
       を総額10億ユーロ(約1340億円)でFIFAマーケティング
       から獲得


 2006年 電通とスイス「インフロント」社は2007~2014年の
       FIFA主催大会の日本以外のアジア向け放映権を
       FIFAマーケティングから共同で獲得
         (取得金額350億~400億円)。
     
       インフロント社・・・・キルヒ破綻時にその一部が母体となった
       スポーツマーケティング会社。ISLとキルヒが共同設立した
       放送製作会社HBSも、現在インフロント社の子会社。
       HBSは、日韓大会からW杯の全ての国際映像の製作を一手に
       引き受けている
       (HBSの部門責任者は、ブラッター氏の親戚だとか)。
       
       電通の狙いとして、収益性の高いスポーツ映像制作のノウハウ獲得
       の思惑もあるとか。
           
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(コメント)

①そりぁ、日本の放送局からすれば、高額な放送権料を少しでも回収するには、
 高い視聴率が取れる時間帯で日本戦の生中継がしたい、と思うのは経済合理性
 から見て当然といえば当然。

 でもその結果、日本チームは、やはり不利な時間帯で試合をせざるを
 得なかった。

 ブラジル戦の後半の失点も、前2試合での酷暑でのダメージがボディブローの
 ように効いていたと書いたら、彼らを庇い過ぎでしょうか。

 先日、「日本は日本に負けたのかも」と書きましたが、
 その思いを強くした次第です。


②しかし、頑張って全試合放送してくれているNHK。
 よりによって受信料不払問題。
 南アフリカ大会の日本国内の放映権料250億円ですか・・・。
次回はどこが頑張って無料放送してくれるのでしょうか。

 南アフリカと日本の時差は、ドイツと同様7時間。
 でも、6月の当地の平均気温は約10度と寒い。季節が逆ですから。
 次回こそ現地午後3時の試合開始のほうが、ウエルカムかも知れません。


③でも、そもそも、日本が出場できるかどうかも分かりません。
 南ア大会では、アジア出場枠が削られる見通しのうえに、オーストラリアも
 予選に加わってきます。
 (私見ですが)2002年から続いていたサッカーバブルも、
 今回の惨敗、若手の台頭イマイチ、といった状況からすると、
 収束に向かうかも知れません。
 
 こうやって考えると、(思いっきり語弊がありますが)
 今回のドイツ大会が、いろんな意味で、日本にとって
 「W杯が身近に感じられる最後の大会」かもしれませんね。

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