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ソフトバンク 07年3月期中間決算に思う  -支払う税金も予想外?-

2006-11-09 | 会計・株式・財務

何かとお騒がせのソフトバンクが中間決算を発表しました。
9日の日経にいろいろと解説記事が出るでしょうから、そちらをご覧頂くとして、
私のほうではこの中間短信を見た素朴な疑問など、つらつらと書き連ねてみたいと思います。
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<朝日新聞>
営業利益は25倍の1125億円

ソフトバンクが8日発表した9月中間連結決算は、売上高が前年同期の
約2.1倍の1兆1201億円、営業利益は同約25倍の1125億円だった。
中間期の営業黒字は2年連続となる。

買収した旧ボーダフォン日本法人(ソフトバンクモバイル)を連結対象に加えたため、
売上高、利益ともに大幅に伸びた。
当期利益は144億円(前年同期は41億円の赤字)。

ソフトバンクモバイルが手がける携帯電話事業の売上高は5818億円、営業利益は566億円で、
いずれも全体の5割強を占めた。 固定通信事業やADSLなどのインフラ事業、
ヤフーを中心としたインターネット関連事業も、営業黒字を確保した。

ただ、旧ボーダフォンの買収で、9月末の有利子負債は2兆491億円に膨らんだ。
下半期は携帯電話の基地局増強や広告宣伝などの費用がかさむ見通しで、
下期の携帯事業は「営業赤字にならない範囲で利益は減る見通し」(孫正義社長)としている。
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 (コメント)

①決算短信などはこちらからどうぞ。

 連結
  http://www.softbank.co.jp/irlibrary/results/pdf/softbank_results_2007q2_001.pdf
  単体
   http://www.softbank.co.jp/irlibrary/results/pdf/softbank_results_2007q2_002.pdf
  中間決算説明会(動画) 
   http://www.softbank.co.jp/explanation/streaming/fnpresen/20061108/ja/fs_bb.html

  で、中間決算説明会は何と3時間20分!
 ちょうどプロ野球ホークスの1試合分くらいですかぁ。長すぎです。
 でも、私も飛ばし飛ばし視聴しまして孫社長の新料金プランにかける思いは
 それなりに伝わってきました。


②それにしても、見事な「逆三角形」決算です。

 つまり、連結営業利益は1125億円と凄まじい伸びでしてここばかり注目されがちですが、
 経常利益は629億円とがガクっと落ちて、さらにボトムライン(中間純利益)は僅か144億円。

 ヤフーの少数株主にかかる損益は大きく、「少数株主損益」の形で利益が抜かれますし、
 それ以上に今回の決算で私が驚いたのは法人税等の金額のデカさ。809億円!!
 私は今回ここに注目しました。

 このうちSBI株式売却益に係る法人税の引当だけで約587億円(説明会資料)!。

 当時のプレスリリースを見ますと売却額が1,360億円、売却益は連結会計上650億円。
 税務上はもっと売却益が出ていたハズですので、この587億円っていうのは、
 ほぼほぼSBI株式売却益見合いで発生する税金と考えてよさそうです。
  http://www.softbank.co.jp/news/release/2006/060803_0001.html

 で、私が違和感を覚えたのは、
 「何故、他の収益と合算していないんだろう?言い換えると、何故この売却益だけ独立なの?」
 
 と思い、再び上記リリースを見ると、
 SBI株式を保有していたのは、当社の全額出資子会社であるソフトバンク・エーエム株式会社
 だったんですね。

 私が何を言いたいのかといいますと、
 なんとか親会社など税務上の欠損のありそうな会社に付け替えて
 「節税することができたんじゃないの?」ということですけどね。
 (違っていたらすいません。)
 おそらく急な売却話でそこまで手回しできなかったのか・・・・・。

 ちょっともったいないことをしたのでは?と思ったのは私だけでしょうか?
 

③参考までにのれんは約1.1兆円。
  これを20年償却ですから年間550億円の償却費用となります。
  
  で、もちろん 私が一番恐れているのは、
  携帯収益の悪化による「のれんの減損」っていうワーストシナリオです。
  昨今の監査法人の監査厳格化の流れの中で「のれん」が大きな争点となっておりますし、
  当社の場合、その重要性は極めて大きいですからね。

  のれん>株主資本ですので、まかり間違えば・・・・・という可能性もありますからね。


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