刺客とロック

いやぁ、政治の季節ですねー。いいですねー。「現状維持」派と「改革推進」派との関係が逆転してますよねー。しかも自民党内だけで揉めてますねー。与党のトップが省庁を民営化するって言ってんだから、民主党は立つ瀬がないですよねー。「法案には反対」って、どう考えても民営化には大賛成なのにそう言えないのが辛いですよねー、岡田さん。やっぱうまいよなー、小泉は。

いやでもね、俺が気になったのは「刺客」の方です。いやいや、マドンナ刺客とか別にどうでもよくて。俺が気になってるのは、「刺客」って「しきゃく」って読むのかってことです。俺は学校で「しかく」って習った気がするんだけど。

ニュース番組で「しかく」って発音されると、なかなか「刺客」という言葉には結びつかないと思うんです。日常生活ではまず使わないから。（「資格」とか「四角」とか「視覚」とか「死角」などが先に浮かびませんか？）だから「しきゃく」を使うんじゃないのかなー。

tama君とこに投稿した内容を転載しました。すみません。

そんでね。何が言いたいのかというと、日本語には同音異義語というのがあるってこと。「川」と「皮」みたいに。「刺客」と「四角」という、意味の異なる言葉が全く同じ読み方ってのは改めて考えるとすげーと思うけど。

では、「昨日」と「機能」はいかがでしょう？問題はこれなんですよね。
英語で言うところの“yesterday”は、アクセントをどこにおいても「昨日」の意味です。でも、「きのう＝昨日」と、「きのう＝機能」とは明らかに違います、アクセントの位置が。そして、それを間違うと「昨日」が「機能」に聞こえてしまうわけです。

つまり、言葉のアクセントとメロディが合わないと、日本語曲の歌詞には使えないわけです（ふつうは）。となると、歌詞に使える日本語というのはかなり限られてくるんじゃないかと。

で、近田春夫はそういところから脱却するために（つまり、どうにか日本語で一曲中の情報量と自由度を増やそうとして）、「手法」としてのラップに行き着いたわけです、恐らく。そして、近田が今の多くの日本語ラッパー達と違うのは、韻を踏むことに囚われないところ。例えば、以下の曲。




十二時を過ぎたら踊れないことくらいさ
誰だってそんなことは知ってるじゃないさ
どうしても踊りたいって云うんだったらばさ
覚悟を決めるっきゃないんだよね
オレ達は別に小学生じゃねぇんだからさ
土曜とか金曜の夜ぐらいはさ
少しくらいハメをはずしたっていいじゃないさ
十二時で終わるディスコなんてバカみたいじゃんさ
刑務所に入ってまで踊りたいなんてさ
そんなヤツがいるワケなんかねぇんだからさ
ハッキリいってヤボなＨＯＬＬＹＳ（法律）だと思うワケだからさ
何かイタズラしてやらなきゃ気がすまないんだよね
どうしてすぐ長い物にまかれちゃうのさ
このまんまだとどんどん厳しくなってさ
もう夜はどこにも出らんないようになっちゃうんだからさ
おうちで地味にしてるなんて絶えらんないじゃないさ！！

今夜こそはさ　勇気を出してさ

Hoo! Ei! Ho!（風営法）は今世紀最後のキングコング（禁酒法）ってことさ
本気で守っちゃソンするバカだよそんなの見つからなきゃいいんだから絶対
Hoo! Ei! Ho!は単なるイヤガラセに決まってるんだから
本気で怒っちゃソンするドアだけ閉めときゃバレないさバレないさ

「Hoo! Ei! Ho!」   BPM PRESIDENTS featuring TINNIE PUNX




語尾に「さ」をつけることでキチンと締めていますよね。そして、無理矢理な脚韻をしないことで、歌詞部分の自由度は大幅に拡大されています。工夫してるよなー。こういう過去の偉人の努力を無にして、駄洒落みたいに韻を踏んでればそれっぽく聞こえるんじゃないの？と考えているミュージシャンがどれだけいることか。

「You! Say! Ho! An!」とかやるラッパーはいないのかなー。いないよなー。