鎌田実の野球教室

元トラ戦士が分かりやすく指導!

「走る」(3)

2008-11-25 19:36:59 | 練習
 野球において「走ること」は「投げること」と同じくらい重要な要素である。「打つこと」はスランプがあったり、相手投手がよかったりすると打てないものだが、「走ること」にはスランプはないとよくいわれている。全くその通りであり、足が速い走者を相手にすると守備側は守備位置を浅くしたり、走者に気を遣うあまり次の打者に打たれたり守りのミスにつながったりと投手も内野手もその足に脅かされる。

 足の速さは先天的要素ではあるが、努力次第では「投げること」よりも力を引き上げやすいものである。それには、正しいランニングフォームを身につけさせることだ。

 ひざを上げ、腕の振りではひじをしっかり引き、つま先で力強く地面を蹴るコツを覚えさせる。スパイクも底の硬いものより土踏まずが曲がる程度の柔らかいスパイクがいいだろう。つま先が使えるからだ。

 しかし、体形的にひざが上がらなかったり、走る歩幅が狭かったりフォームを正せない子供もいる。そういう子供は、それなりに走り込んで力強さを出していくことでフォームの悪さをカバーしていくことだ。

「走る」(2)

2008-11-16 20:22:04 | 練習
 私は、土、日曜日に芦屋から淡路に通い、中学硬式野球の指導を始めて分かったことだが、地方の子供ほど足が弱いということに気がついた。それは目的地まで車の送迎に頼っているからだ。

 都会の子供は電車、バスなどを利用するため、家から駅やバス停まで歩いたり、駅の階段を昇り降りしたり、駅やバス停から学校まで歩くから田舎の子供より足、腰がしっかりしている。

 私の家の近くにある甲南中学、高校は、芦屋の山手にあり、JR芦屋駅や阪急芦屋川駅から歩いて約30分はかかる。生徒は、夏の暑い日になると汗を拭きながら登っている。私が朝の散歩をするときに毎日出会うが、彼らの太ももやお尻の発達を見て感心する。

 身長もあり、足も長い。痩せた子供もいない。私たちの時代よりもはるかにいい体形をしている。こんな子供たちをしっかり鍛えれば、メジャーに挑戦できる選手も増えるだろうと思ってしまう。しかし、最近の子供たちは、しんどいことを嫌がる子が多いから厄介だ。


「走る」(1)

2008-11-06 18:44:52 | 練習
 一昨年、文部科学省が子供たちの体力について発表していたが、「投げること」と「走ること」が、著しく低下しているという。特に「走ること」については、まっすぐ走れず、曲がりながら走る子供が増えているという。

 実は、このことは私も7年前、中学硬式野球の指導を始めた頃から気が付いていた。はじめのうちは、たまたま足の弱い子供がいるだけ…とくらいにしか思っていなかったが、毎年そういう子供が何人か入部してくるのだ。

 一塁までのベースランニング時、後ろから見ていると曲がりながら走っている。特に向かい風だったりすると風の抵抗でヨタヨタと余計に曲がるのである。

 また、大人数で走るとバタバタと音がする。足の裏をべったりつけて走るからだ。まるでグラウンドに鳥がいるかの如くだ。KBクラブに入部してくるまでの小学校や少年野球でしっかり走っていると思うのだが、そんな風には見えない。こんな状態だから一年生の1年間は、下半身重点強化に練習メニューを組むことにしている。

 近年、子供たちの生活様式や食べ物の変化、環境の違いなどから体形が少しずつ変化している。我々の時代の日本人は、どちらかといえば下半身が丈夫で守備向き、現在の子供たちは長身、体重もあり打撃向きである。

 また、シューズ、用具などの変化も常時使用するものだから見逃すわけにもいかない。近年のシューズは底が分厚く、足の裏全体が硬くて曲がらず、踵(かかと)からつま先までベッタリとつく。土踏まずを折り曲げても曲がらないほどだから歩くとき、走るときにつま先が使えない。このあたりに問題があると思う。

 私たちの子供の頃は、今のようないいシューズがなく、ゴム草履や底の薄い布製の破れかかったシューズ、素足で遊ぶこともしばしばあり、運動会は草鞋(わらじ)で走った。だから日常生活の中で自然につま先を活用することができた。

 近年のプロ野球選手でバネのある内野手が少なくなり、ジャンピングスローや超ファインプレーが見られなくなったのもこのあたりにも原因があると思う。

 スポーツをする人は、日常生活の中で底の薄いシューズを履き、つま先の活用を意識して通学するなり、ランニングをするべきだろう。