千尋のバンクーバー留学日記

Play hard, Study harder.

United 93 ☆☆☆☆

2006年05月01日 16時47分12秒 | 勝手に映画評論
たった今映画館から帰ってきました。

いつもは映画館を出るとすぐに好きな映画だったかそうでなかったか
話し合うのが大好きなんですが

今日はそれはなし。

できなかった。

そのかわり静かに泣いてしまいました・・・


この映画は巷でいろいろと物議をかもしてるようですが
この作品、エンターテイメントとして観ちゃだめです。
大体、もともとそのように作られていません。

音響効果も本当にミニマムに抑えているし
有名な俳優なんてひとりも出てこない。

だからエンターテイメントを期待すると絶対がっかりすると思う。

でも、ハリウッド的な誇張が一切無いかわりに
とてもドキュメントに限りなく近い仕上がりになっています。



私は映画はただのエンターテイメントだとは思ってません。

いつだったかニコール=キッドマンがオスカーの舞台で言ったように
映画はアートであって、私たち人間はそこから学ぶことができる。
学ばなきゃいけないんだと思います。
感じることが人それぞれであっても。

そしてこの映画は絶対に忘れてはならないあの日のことを
忠実に、まざまざと描き、真実だけを伝えようとしている。

私はこういう映画、好きですね。

観ることができてよかったです。

でも今夜寝れるかな・・・?


Thank You for Smoking ☆☆

2006年04月19日 14時54分50秒 | 勝手に映画評論
最近ちまたで噂のspoof映画、Thank You for Smoking行ってきたよ!

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簡単なあらすじ:
主人公ニックは、大手タバコ会社が出資するタバコ研究会みたいな
組織のスポークスマン。(ようするに広報部長ですね。)

タバコはアクだ!とバッシングされれば
TVでも出演して反論しに行くわけです。
演説のうまいニックは業界では有名人。

そんなニックだけど、私生活では離婚をして
週末だけ一人息子と一緒に過ごせることになっている。

タバコ業界の行方は?
ほとんどの俳優女優が煙草を吹かしていた古き良き時代は戻るのか?
彼は息子との関係を回復することができるか?

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で、感想を言うと、アイデアはとっても新鮮でおもしろい!!!!

この手のSpoof映画は最近沢山出てきたけど、
銃だとか、スェットショップだとか、ファーストフードだとか
反対しつつ、のSpoofが多い。

でもこの作品は違う。
タバコを売ろうとする側の、ニックに注目してるんです。

しかもこのニックのBS、(BSとはスラングでBullshitのことで、
日本語で言うと「おべんちゃら」ということ。ちなみに
マーケティング専攻である私にしてみればある意味BSは
専門分野なわけで、クラスメートとはよくこれをジョークにする。
"So, what part isn't actually BS?" て話がずれましたが)
彼のBSのテクニックは聞いてて面白かった。

将来、広報・PR方面でキャリアを積みたい人にはオススメっす。

じゃぁ、なんで☆二つなの?と。

それは、アイデアとしてはおもしろかったけど
やっぱりタバコを推すニックに焦点を当てたことで
映画自体がなんだか「タバコはそんなに悪くないっ」て
言ってるような気がして、☆3つにするのを許さなかったの・・・。
(映画自体はreverse psychologyでその逆を訴えたかったのかも
しれないけどさ・・・・)

ポリティカルな目線で見なければ3つだったかもしれないです。

V for Vendetta ☆☆☆

2006年04月10日 13時31分53秒 | 勝手に映画評論
前からずっと観たかったV for Vendetta、行ってきたよ!

☆の数でわかると思うけど私的には結構好きな話だった。

ナタリー=ポートマンがキレイだったし
(LofRのHugo Weaving)Vのナイフ格闘シーンもかっこよかったし、
なんといっても、ストーリーがある意味新鮮だった。
(イギリスでは11月5日にGuy Fawkes Nightを祝うのは
知ってたけど、詳しい理由とか知らなくて
でもこの映画ではGuy Fawkesも少しそれとは違うように
描かれてて面白い。)

あと全体的にスタイリッシュな仕上がり、だったね、うん。
ただの筋肉モリモリアクションとは全然違う。

ただ一つわからないのは、Vがどうやって資金調達してるかだね。
(それは本を読めってことなのか?w)

以下簡単なあらすじです。(ネタバレフリーだからご安心を)

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"Remember, remember the fifth of November,
gunpowder, treason and plot,
I see no reason why gunpowder treason
should ever be forgot."

1605年、11月5日、イギリスでGuy Fawkesという男が捕まる。
彼はなんと国会議事堂を爆破しようと企てたのだった。
捕まったFawkesは反逆者とされ、処刑されるーーーーーー。

時は未来、イギリス。
人々はファシスト的な政府に苦しめられていた。
そんな地獄のようなイギリスを変えようとする仮面の男、V。
ナタリー扮するEveyは図らずもVの壮大なる計画に巻き込まれていく。

ビルを爆破し、殺人を繰り返しVはテロリスト呼ばわりされるが
果たしてVは目的を果たせるのか?
どうやって?
そしてVは何者なのか?

Corporation ☆☆☆☆

2006年03月26日 18時02分56秒 | 勝手に映画評論
この映画を見るのは2度目ですが
初めて見た時よりも更に考えさせてくれました。

余談ですが、初めて見たのは2年以上前、
映画館だったんですが、この映画のディレクターが
バンクーバー出身ということもあってか(ちなみにUBCの教授です)
超満員で、すごい熱気でした。
みんな思うところがあったのでしょう。
エンドロールが始まるとスタンディングオベーションが
起こったのを今でもよく覚えています。
映画を見てスタンディングオベーションをした経験はこれっきりです。

ところでこの映画のよいところは、
Corporationを悪と見る人とそうでない人、両方のインタビューを
きちんとしているところですね。
あと心理学を交えた議論の展開などとても面白いと思います。
Branding、HR exploitation、Externalities・・・
教科書とはまた違ったビジネス単語の定義が盛りだくさんです。

私の個人的な意見を言えば、
やはりcapitalism、materialism、ここらへんはダメですね。
だからといってcommunismがいいというのではないけど
privatizationだのなんだのって行き過ぎ。
あと会社を取り締まる法がきちんとしてないのもちょーむかつく。


と、こういう過激な意見も、
あたしが社会人になったら変わるのでしょうか。
毎日幾ら分の仕事をしたか、productiveに動けたか、
会社のstock priceを上げるようなことをしたか、
そんなことだけを考えながら生きるようになるのでしょうか。
そんなふうにはなりたくない、と思いつつも
人間は環境に左右されやすいからな~とちょっぴり不安。


とにかく、ビジネスに何らかの形で関わっている人、興味ある人には
是非見てもらいたいですね。視野が太平洋のように広がりますよ。

『Wallace & Gromit: Curse of the Were-Rabbit』 ☆☆☆☆

2006年03月04日 16時39分54秒 | 勝手に映画評論
Wallace & Gromitシリーズは北米ではとっても有名。
なんと、1989年に生まれた2人は
過去に2回もオスカーもとったことのある実力派。
でも、私は今まで見たことなくて、全然期待してなかったのね。

ががが!!!ちょーおもしろい!なんておもしろいんだろ!!!

何日か前に紹介したCorpse Brideと同じ、Stop Motion Animationと
いうやつらしいんだけど、あれと同じで
表情や仕草、妙な3D立体感がかなりいいうえに
ストーリーもとってもシンプル(なので特に説明はしませんが)、
それでいて笑いあり、感動ありです。
ファミリーはもちろん、アニメ好きにも特にオススメです。

宮崎駿ファンとしてはハウルにもオスカーをとってほしいんだけど、
今回のアニメーション部門は『Corpse』でもなくこれじゃないかなー!

簡単ですが、オスカー直前映画評論でした。

『Crash』 ☆☆☆☆

2006年02月26日 18時23分29秒 | 勝手に映画評論
今年のオスカーの作品賞ノミネート5作品は
『Brokeback Mountain』
『Capote』
『Crash』
『Good Night, Good Luck』
『Munich』です。

昨日からこうして映画のトピをあわててアップしてる理由も
何を隠そう、オスカーが近づいてるからなんですが、
今年は、昨日も書いたけど、『Brokeback Moutain』がくると思う。
(まだ『Capote』『Good Night~』は見てませんが。)

それでもね、もしかしてかも!!って思うのは、この『Crash』なのです。
と言う意味で、『Brokeback Mountain』と一緒の☆4つ。

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地方検事を務める白人男性とその白人妻。
小さな店を構えるペルシャ人男性とその娘。
黒人男性捜査官とその愛人でもあり同僚でもある白人女性。
テレビ局でディレクターをする黒人男性とその妻。
ヒスパニック系錠前師。
2人の黒人くるま泥棒。
ベテラン白人男性警官とその同僚で新人の白人男性。
韓国系の中年夫婦。

ロサンゼルスに住む彼らは、一見何の関わりもないように見える。
が、それぞれの人生を一生懸命に生き、知らない間にCrashしたとき、
(人生同士が絡まり合ったとき)、その先にあるのは
一つの生であり、死であり、喜びであり、悲しみだった。

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テーマは、いまやアメリカの形容詞ともなった人種差別問題。
でもこの作品の何がすごいって、人種差別を大胆に描いてるだけじゃなくて
そのグレーな部分をまざまざと見せているところ。

人種差別問題って、被害者と加害者がはっきりしてると思われがち。
それにはいろいろな人種にたいしての先入観があるからでしょう。
たとえば、街をぶらつく若い黒人男性=チンピラ(悪)、
仕立ての良いスーツをまとった若い白人男性=成功者(善)、など。

でもこの作品は、そんなステレオタイプを思いっきり崩していく。

自分は「善」で、人種差別なんてしたことがないと思っていても
自分の愛するものを守るため、気づいたときには加害者になっているのです。

ただ自分の人生を一生懸命に生きているだけなのに
知らないうちに誰かを傷つけ、誰かに傷つけられている。

そんな白黒はっきりしない、人生の、そして差別問題の
グレーな部分を監督は丁寧に描いています。

出演者もそうそうたるもの。
『Hotel Rwanda』のDon Cheadle、
Sandra Bullock、Brendan Fraser、Ludacris、Matt Dillonなど。

これだけの人数の人生が絡まるって言う点はちょっと「・・」ですが
見ている観客に人種差別問題について、人生について、
考えさせるこの作品は、千尋のツボにちょーど真ん中ストライクでした。

観賞後のディスカッションが盛り上がる映画です。特に彼氏彼女。

音楽や、カット割りも素敵でしたから、musicのほうでオスカーかもです。

『The Constant Gardener』☆☆☆

2006年02月26日 14時41分16秒 | 勝手に映画評論
この作品は今年のオスカーでも4部門ノミネートされています。
その中で、主人公Quayle(『The English Patient』のRalph Fiennes)の妻
Tessaを演じたRachel Weiszが助演女優賞でノミネートされてるんですが
彼女にぜひ勝ち取ってもらいたいですね。
すばらしい迫真の演技だと思います。

監督は、絶賛を浴びた『CITY OF GOD』のFernando Meirelles。

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Quayleはイギリスの外交官。
アフリカケニヤに出張のとき、妻Tessaは一緒にいくことを希望する。

イギリスとケニヤを行き来する2人だが、たまたま
Tessaだけが「仕事があるから」と言って先にケニヤに飛ぶことになった。
そして遅れて現地に着いたQuayleを待っていたものは
Tessaが暴行を加えられて無惨なかたちで殺された、という事実だった。

QuayleはTessaの死が信じられない。
近々、子供も生まれるところだったのだ。

Tessaの持ち物に目を通して行くうちに、Quayleは徐々に
彼女の死に疑いを持つようになる。
そして彼女の足跡を辿るうち、何者かに追われるようになるのだが・・・。

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以下ちょっぴりネタバレ注意。

彼女がどうして殺されなければいけなかったのか、
彼女はなにを探ろうとしていたのか、
何を知ってしまったのか、
そして明かされるアフリカとイギリス間の政治関係、癒着、
恐ろしい(が事実である)人体実験の状況。

話の内容はかなりリアルでおもしろいです。

会社って、残念ながら、ある国ではとっても倫理的に振る舞っていても
他の国では信じられないような残虐な行為をいとも簡単に行っている。
パワー(政治力、金、資源)があると、それが許されてしまうんですね。
この映画で言うと例えば製薬会社。
自分の会社の利益のために貧しいアフリカ人を搾取してそれを利益にかえる。
そしてもっと恐ろしいのが、それを許すアフリカの政府。
搾取を許すことによって一部の裕福な、上の方に位置する人だけが
報酬を得て、物々交換をしているのです。
許せることじゃありません。

なにもこういうのはフィクションの世界だけじゃなくて
本当にあることなんだから、こういう映画が作られて
多くの人に見てもらえるのは、個人的にうれしいです。

あぁ、それと、Tessaが真実を突き止めるまでに歩んだ道。
夫に秘密にしながら歩んだ道はけっしてきれいなものじゃーないけど
なんだかかっこよく思えました。

最後の最後までハラハラ、そして美しいエンディングです。

『Corpse Bride』 ☆☆☆

2006年02月26日 14時40分15秒 | 勝手に映画評論
『Corpse Bride』は『The Nightmare before Christmas』で
おなじみTim Burtonの最新作。
(後者を知らない、見たことないという人はぜひ見てね。
そして見終わったらプレステ2ソフトのKingdom Heartsをやろう!
『The nightmere~』の世界がそっくりそのまま忠実に再現されてるよ。
ちなみにKH 2はこちら。)
あーいますぐにでも買ってはまりたい~
最近ゲーム全然してなくて、ぽつぽつと禁断症状が出てきてます。

って。話が完璧にそれる前にさくさく映画レビューいきますね。

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Victor(声:Johnny Depp)は親に政略結婚を
半ば強制的にさせられることになる。
相手はVictoriaという、近所に住む金持ちの娘。
お互い、今まで顔も会わせたことがない。結婚式で初対面だ。

が、幸い、結婚式当日VictorとVictoriaは、一目惚れと言っても良いほど
瞬間的にお互いに惹かれあうのだった。

だが、式は予期せぬ方向へ。
Victorは緊張のあまり誓いの言葉をうまく言えない。

落ち込むVictorは、町外れの森でひとりブツブツ言いながら練習を重ねる。
何度も間違って、やっと成功!というときに、バランスを崩してしまい
倒れかかった先にあった枝にマリッジリングを掛けてしまう。

が!枝と思われたそれは実は白骨化した女性の左手薬指だった・・!

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とまぁ、なんともかわいらしくもちょっぴりホラーなお話なんだけど
彼らの動きや表情がとってもかわいいこと!!!!
なんでもStop-motion Animationというらしいんだけど
引きつった顔や、焦る顔、よくできていました。

そしてエンディングは、ネタバレはしたくないんですが
個人的にはほろっときました。
ホラーな話の中で、全体的にコメディーな要素をちりばめつつ感動もできる。
『The nightmere~』もそうだし、古いところで『シザーハンズ』もそう。

普通のハリウッド映画ではない、まさに、Tim Burtonの真骨頂ー
ーな映画です。

『Brokeback Mountain』 ☆☆☆☆

2006年02月25日 14時27分37秒 | 勝手に映画評論
出ました星4つ!

Ang Lee監督は、この作品を
「ホモセクシュアリティー映画、というようりもラブストーリー
として作ったし、そう見てほしい」と言ったそうだ。

そして私にとって、この映画はラブストーリー以外の何者でもなかった。

Heath Ledger演じるEnnisとJake Gyllenhaal演じるJackの
ラブシーンなど、ある意味男女のそれよりsteamyだし
2人は再会時に、こっちまでうれしくなるような喜び方をする。
だから時間がきて別れるときのシーンは切なくなって悲しかった。

ピューリツァー賞を受賞したAnnie Proulxの小説が原作。

2人がどのように知り合って
どうしてお互いを愛するようになったのかは
この物語のとても重要なところのように思えるから書かない。

私はqueerに特別な思いはないし、どちらかというと肯定派だけど
否定派の人にもぜひオススメしたいな。

今までは保守的な映画にしかオスカーは微笑まないと言われてきたが、
ぜひ、3月5日、私はこの映画が「作品賞」に輝くといいなと思う。

あ、ちなみに、アメリカワイオミングが舞台ですが、カナダで撮影♪

『Munich』 ☆☆☆

2006年02月25日 14時09分24秒 | 勝手に映画評論
1972年、ドイツ、ミュンヘンオリンピックで9人のイスラエル人が
大虐殺された事件のその後を追った映画。

事実をもとにしている。

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Avner (『ハルク』の Eric Bana。好み♪)はもうすぐ父親になる身。
父親はイスラエルの英雄とされるが、彼はきわめて普通の一般人。

そしてミュンヘンでのイスラエル人大虐殺が起きる。

Avnerは国家諜報部から喚ばれ、ある仕事を頼まれる。

大虐殺を計画したパレスチナ人テロリスト達11人を殺せ。
それが仕事だった。

捜査員としての経験もないAvnerは果たしてどこまでできるだろうか?
そしてイスラエルとパレスチナの民族間戦争の行方は?

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やっぱり見所はAvnerが、殺人を繰り返すにつれ
徐々に一般人としての面影が薄れていくところだと思う。
愛国心、信念が揺らいでいき、それでも家族への愛は変わらず
自分がしていることについて葛藤するようになる。
(この辺は『Bourne Identity』を彷彿とさせる)

プロット以外のことだと、個人的にはサウンドトラックがよかった。

スピルバーグ巨匠の『シンドラーのリスト』に続く戦争関連作品として
アカデミー賞受賞も期待される今作。
質問を投げかけるようなエンディングは観賞後も余韻を持たせてくれます。