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CRAZYの戯言

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日本株の夜明けは遠い?

2010-11-29 14:56:49 | コラム

約5カ月ぶりに1万円台を回復した日経平均株価。円高の一服をきっかけに当面堅調な株価を期待する声は少なくない。世界の過剰流動性が向かう“最後の市場”となった日本株市場に日は昇るか。

「2009年相場の再現か」──。

11月18日に日経平均株価が1万円台を回復する3日前の11月15日。ゴールドマン・サックス証券が発表した約20ページの日本株に関するリポートが市場を活気づけるきっかけになった。

リポートが着目したのは2009年末との類似性だ。2009年にも円相場が1ドル=101円から同86円に14%も上昇した。だがその後、2009年 12月に1ドル=86円だった円は反落し、2010年5月には同95円と、約10%下落。この間日経平均株価は約20%も上昇した。

「今回も近い構図がある」。ゴールドマンのリポートはそう言う。実際はどうなのか。

円相場は今年5月から10月にかけて1ドル=95円から同80円と約15%上昇した。だが、その後、日本銀行が実質的な金利ゼロ政策を復活。さらに米当 局も金融緩和を続ける方針を強調し始めた。各国が自国通貨を割安に誘導する通貨安競争を回避することで合意したため、最近の円相場も83円台まで戻した。 確かに類似性はありそうだ。

 

日米大手証券のお墨付き

ゴールドマンはリポートで、「円相場は当面のピークを打った可能性がある。これが短期的に日本株の支援材料になる」と指摘。同日付でアジア市場における 日本株への投資比率を引き上げた。株価の割安感や、円安メリットを受けやすいため米国売上高比率の高さを基準に企業も抽出しており、セイコーエプソンや第 一三共、ソニーなど29社を有望銘柄として挙げている。

同じ日には国内最大手の野村証券も「日本株アンダーパフォーマンスの終わり」と題したリポートを公表。円高一服や日本企業の業績に底入れ感があることな どを理由に、電機・精密セクターの投資判断を引き上げている。期せずして、日米最大手証券が同じ時に日本株にお墨付きを与えた格好になった。

11月16日には韓国が利上げに踏み切り、韓国企業の収益力が弱まるとの観測から、同日のソニー株などが上昇。同じ流れで、外国人投資家の買いが膨らみ、18日に1万円台回復を果たした。

企業年金連合会の山本卓チーフ・ファンドマネジャーは「特にメガバンクなどの金融株はキャッシュフローの水準の割に売られすぎている。事業モデルとしては課題が多いが、割安感は非常に強い」と話す。

問題はこの株価上昇が日本株の“夜明け”につながるかどうか。

この点、ゴールドマンは「期待できるのはあくまでも短期的な株価上昇」とする。長期的には国内景気の減速や企業収益などがリスク要因になるという見方だ。こうしたセルサイド(売り方)以上に、バイサイド(買う方)である日本の投資家たちの見方は冷淡だ。

「世界中を襲っている過剰流動性の大波のおこぼれが、最後に日本にやってきただけ」
ある企業年金を運用する日本人の担当者は半ば諦め口調で話す。日本株にとっては久しぶりの大台回復となったが、世界を見渡せば、日本株以外のほとんどすべての株式市場が大幅に上昇しているからだ。

例えば、主要市場の直近の終値と、リーマンショック直後の2008年末の終値を比べてみると、米スタンダード・アンド・プアーズ (S&P)500指数や独DAX株価指数は足元では下落しているとはいえ、それぞれ30~40%強上昇。90%近く上昇しているブラジルのボベス パ指数を筆頭に、新興国株も軒並み急騰している。金融引き締め策により調整が進む上海総合株価指数ですら60%近く上げている。さらに金や銀、銅などの商 品価格もほぼ全面的に大幅に値上がりしている。

一方で日本株はこの間の上昇率は13%と先進国の市場の中でも最低だ。投資先を求めて世界中のあらゆる商品になだれ込んでいた投資マネーが、ここ最近の 新興国を中心とした利上げの兆候を懸念し、日本に回避してきたということだろう。「昔ならば真っ先に受けるはずだった米国株の上昇の影響も、今は地球を1 周して最後にやってくる」とこの担当者は話す。

最後にマネーがやってくる日本市場が、外国人投資家にこれまで以上に支配されている市場であることも強烈に印象づけられた。

実は今回の1万円台回復の過程で目立ったのが、任天堂やファーストリテイリングなど、業績への不透明感から、株価が下落していた銘柄の急騰だ。

これは日本株への見直し機運が高まっただけではなく、大半のヘッジファンドが11月期決算であることと関連しているようだ。三菱UFJモルガン・スタン レー証券の藤戸則弘・投資情報部長は、「ヘッジファンドがこれまで組んでいた『新興国買い・日本売り』のポジションを手仕舞うために反対売買をした結果、 売り込まれていた銘柄ほど急騰した。今の日本市場はそれほどまでヘッジファンドに左右される“ぺらぺら”の市場だ」と解説する。

実際、ヘッジファンドを中心とした外国人投資家の東京証券取引所第1部における売買比率は直近で7割近くに上昇。個人投資家は2割、日本の投資家や法人 は1割程度にすぎない。厚みのある市場を育てない限り、目先は株価が上昇しても、やがて世界経済が回復すれば、すぐにマネーはより成長期待の高い市場に逃 げてしまう。

 

市場再興描けぬ民主党

だが、政府の金融市場活性化への対応は後手に回っている。

11月18日、民主党内で開かれた金融規制緩和の具体策を話し合う「ヒト・モノ・カネ流れ倍増小委員会」の初会合はその象徴だろう。

「民主党は金融政策にあまりに無頓着」との批判に応え、直嶋正行・前経済産業大臣や若手議員が呼びかけ発足したが、参加議員は5人ほどと閑散としてい た。東証の斉藤惇社長を含め、国内4取引所のトップが顔を揃え、6月の成長戦略に盛り込まれた総合取引所構想などについて話し合ったが、議論は盛り上がり に欠けた。

斉藤社長は「片方で証券優遇税制の廃止論をやりながら、その一方で金融規制緩和と言われても矛盾が大きすぎて…。なぜ証券市場対策をもっと真剣に考えないのか」とこぼす。

アイルランド金融危機の後退もあり、22日の日経平均株価は1万100円台を維持し、4日連続で上昇。だが、周期的に訪れる外国人の買いを待っているだけでは、決して夜明けは来ない。

日経ビジネス 2010年11月29日号136ページより

日本株の夜明けは遠い? より


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