CORRESPONDANCES

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//////////校正9回目//////////

2014年06月01日 11時25分17秒 | Bruxellesが守れなかったBarbara

この本はよく売れているようだ。しかしほとんど話題になっていない。話題にしているのはCorrespondancesの記事、つまりBruxellesだけ?本が売れるかどうかはひとえに話題性にかかっている。とすると、この本が今もし完売なら、それはひとえに、Bruxellesが紹介記事を書き続けているから?しかもボランティアでぼちぼちとはいえ校正までして、本の信頼性を高めている。おまけに詳細な解説まで加えて、ラジオの特番のリンクまでしている。いくらBarbaraに関する本だからといって、そこまで販売協力する必要はない。翻訳者の小沢氏は優秀で礼儀正しく気持ちのいい方だと思うので、必要がなくても、宣伝の役に立つならいいと思っている。それに既に本は書店に並んでいるのだし、今Bruxellesにできることは、校正をしてできるだけ正しい内容を読者に伝えることだ。否より正確により正直に言おう。Barbaraをイメージを含めトータルとして守ることだ。より多くの方々に正しくBarbaraを知っていただくことだ。それが世界中のBARBARAサイトの共通の目的であることは既に確認している。しかし、いくら使命感からとはいえ、校正という作業は、繰り返すが決して楽しいものではない。眼の調子もPCの調子も悪いし、今日もパスしようと思っていた。そこへ帰国準備にはいられたBARABARA氏からこんなメイルが届いた。ごく一部分を。
・・・実は私はバルバラの近親姦などというものがあったとかなかったとか、初めから全く無視してただ音楽そのものの素晴らしい独創性にまいっていたのです。少々、詩の意味など不鮮明でも「読書百ぺん意自ずから通ず」で、彼女の深い悲しみや、ふとこみ上げてくるような喜びの息遣いを感じて来ました。またいつか聞いた近親姦のことなど、聞いたこと自体も忘れていました。・・・娘とはそんなものです。とても敏感です。ましてバルバラのように鋭い人は、自分の微笑みを(許しの微笑みを)父が願っていることを痛いほどに分かっていました。彼女はただ父を許したかったのです。・・・父親のことは一時期は確かに大きなトラウマになったでしょうが、女として成長し、男を知るに従って彼女は早くから父親を許し、更に父がどういう生活をしているのか、案じていたに相違ありません。・・・
これをBARBARAファンの声ととっても間違いではないだろう。幸いまだBARABARA氏は本をご覧になっていない。ご覧になれば、本は買ってもペイジはめくられないかもしれない。これは翻訳者や出版社には「何故」だか決して理解できないBARBARAファンだけの特有の本能である、直感である。読むべき立場の私自身もまだトータルには一度も読んでいない。ただ今日「ナントの成立」あたりを初めて、昔に書いた自分の訳と比べながら(そんな面倒なことはしたくなかった)読んでみることにした。そして重大な発見をした。訳の食い違いである。

P.111& P.112.「彼が私になした悪を忘れることもできる。でもわたしが父をどれほど嫌悪していたか口に出して言えなかったことだけが、大きな絶望となって残った」この部分はこの訳本の最重要部分である。したがって当然「訳者解題」にも繰り返されている。P.200.「彼が私になした悪を忘れることもできる。でもわたしが父をどれほど嫌悪していたか口に出して言えなかったことだけが、大きな絶望となって残った」さらに「バルバラは父から別れの言葉の他に、許してくれという言葉を期待していたのではなかろうか」とつづく。
2004年10月05日 「ナント成立過程」(3)「さよなら」さへ言わないで...というBruxellesの訳文のなかでこの部分は、以下のように訳されている。「父のいやな思い出は忘れよう。後悔を伴った一番深い絶望、それは、大嫌いだった父に、最後に今溢れ出る言葉を、かけられなかったことだ。「お父さん、許します。忘れます。どうぞ安らかにお眠りください。私は、もう苦しんではいません。お父さん、私、歌手になったの!歌ってるの!」
J'oublie tout le mal qu'il m'a fait, et mon plus grand desespoir sera de ne pas avoir pu dire a ce pere que j'ai tant deteste: 〈 Je te pardonne, tu peux dormir tranquille. Je m'en suis sortie, puisque je chante! 〉P.132
説明しよう。que j'ai tant detesteはdireの目的節ではない。下線部の仏語と和文が対応する。direの目的語は〈 〉内の太文字部分である。もっとわかりやすく説明しよう。ce pere que j'ai tant deteste:のqueは接続詞ではなく関係代名詞である。指摘すれば誰にでもすぐにわかる誤訳である。この誤訳は校正云々次元の問題ではない。これではこの本の帯にあるテーマ自体を、この部分の訳を捻じ曲げて、捏造したことになってしまう、根幹を揺るがす誤訳と言わざるを得ない。

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Nantes  : ナント-日本語歌詞
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