【2013.07.21(sun)】
★2冊の本から感じたこと
・読書にお金をかけない事が信条の私は、殆どの本を図書館でお借りして読みます。
その中での2冊です。
<2012年10月に41才で旅立たれた金子哲雄さんの著書です>
【僕の死に方 エンディングダイアリー500日】:金子哲雄著・小学館・2012.11.27発行
・学生時代のこと、又、35才で初めて事務所に所属して流通ジャーナリストを自ら名乗り、本格的に活動されるようになった当時の経緯から書き起こされています。
そして病の発見から旅立ちまでの500日間の記録です。
・私も彼の発信する情報は興味深く見聞きしていましたし、結構好きでした。
実質、衆人の注目を集めて仕事をされたのは大凡5年間位の筈。それは実に凝縮された人生だったと言えるでしょう。
・この著書発行を思い立ち具体的に動き始めたのは、お亡くなりになる一ヶ月前であったとか。
これまでの足跡を残して旅立たれたことは、誰にとっても良い事だったと思います。
・病が発見された時、既に「余命0」の宣告。その後も、最後までそれを隠し続け、弱る身体に鞭打ち、耐えて出来うる限りの仕事はこなす。
そして一方では自分自身の旅立ちの準備を整える。
・「会葬礼状」まで生前に用意して、自らの葬儀をプロデュース、情報発信の場にする。正に“流通ジャーナリスト魂”発揮。
本人も決して平常心ではいられなかったことが切々と綴られている。しかし始末すべきことを思い通りに成し遂げられたのは実に素晴らしいと思う。
・彼の奥様がこの著書の冒頭のまえがきと、40p近いあとがきを書いておられる。最期の瞬間までを共に過ごした妻の気持ちが伝わってくる、とても意味深い構成になっています。
これは夫から最愛の妻へ、又妻から夫へ宛てたメッセージでもあります。
・生前にTV画面から受けた彼の印象と、本を読み、初めて知った彼の真の姿を重ね合わせることは中々出来ません。
今では彼のあの喋り方をとても懐かしく思い起こしています。
御冥福を祈ります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<片や人気のフィクションです>
・発売と共に2つの図書館にリクエストして読める日を待っていました。
予約で並んでいる人の数から、多分それは来年なのかな?と思っていました。
思いの外早く借りれたのは、複数冊購入頂いたからのようです。もう一方はいまだ3桁の待ち人 最速で100万部を突破した作品ですから...
【色彩を持たない~~】村上春樹著・文藝春秋・2013.4.15第一刷発行
・こんなに長い題名をつける必要があるのかな?というのが第一印象でしたが、ここから既に村上ワールドに引き込まれているんでしょうね。
・読み進むにつれこの不思議な題名が何を意味するかは分かってきます。周りの登場人物が何かしらの色彩を帯びているのに、“つくるさん”は至って中庸で色が感じられないということですね。
・緑川が灰田(灰田青年の親)に話をする辺り...“死のトークンを別の人間に渡す”“人間には色がついている”のくだりから一気にのめり込まされました。
・いつもながら独特の比喩表現が随所に登場します。
又洗練された、対話場面での言い回し表現も然り。
それらがあまりに巧みなので、ついつい笑ってしまいます。
・話の中に度々登場し、題名の一部にもなっているフランツ・リストのピアノ独奏曲<巡礼の年 第1年スイス>“ル・マル・デュ・ペイ”←音質は悪いですが聴くことが出来ます。
1Q84の時もそうでしたが、私の知らない楽曲が登場し、都度勉強させられます...
・ベルマン演奏のCDは発売当時は日の目を見ることなく2004年に廃盤になっていたのですが、急遽の復刻を果たして大ヒット。大きな話題になりました。
著者はクラシックに造詣が深く、その著書の中でさりげなく使われているのですが...これがレコード会社の売上にまで影響を及ぼすのですから、与える経済効果も大きいですね!
・“つくるさん”って人間として普通の感性を持ち、至極まっとうな人生を歩んでいる人だと思いますが...むしろこの世の中では多数派じゃないでしょうか?
結末は??ですが、この本に続編は無いのでしょうから、読者はこれからの展開を思い思いにイメージして楽しめば良いのでしょう。
これからの主人公の行く末には関係なく、既に言いたいことは語り尽くされているように感じます。
・とても面白かった前作【1Q84】ですが、正直私の頭では理解出来ない部分がありました。でもパラレルワールドの概念は著者の頭の中にしか存在しないと思うので、これは仕方ないことかも。
それに引き換え今回の作品は実にすんなりと心に馴染みました。
・読者が多いだけにネット上のレビューも☆の数ほどあります。
<人気のレビュー>の一つです。肯定的な批評ではありませんが、良く書けるなー!!感心してしまいました。他の方のブログは大変為になります。
・<第149回芥川賞、直木賞>が決まりましたね。早速リクエスト。
「爪と目」は未所蔵、「ホテルローヤル」は既に50人待ちでした。
気長に待ちます。
では又
I.O
★2冊の本から感じたこと
・読書にお金をかけない事が信条の私は、殆どの本を図書館でお借りして読みます。
その中での2冊です。
<2012年10月に41才で旅立たれた金子哲雄さんの著書です>
【僕の死に方 エンディングダイアリー500日】:金子哲雄著・小学館・2012.11.27発行
・学生時代のこと、又、35才で初めて事務所に所属して流通ジャーナリストを自ら名乗り、本格的に活動されるようになった当時の経緯から書き起こされています。
そして病の発見から旅立ちまでの500日間の記録です。
・私も彼の発信する情報は興味深く見聞きしていましたし、結構好きでした。
実質、衆人の注目を集めて仕事をされたのは大凡5年間位の筈。それは実に凝縮された人生だったと言えるでしょう。
・この著書発行を思い立ち具体的に動き始めたのは、お亡くなりになる一ヶ月前であったとか。
これまでの足跡を残して旅立たれたことは、誰にとっても良い事だったと思います。
・病が発見された時、既に「余命0」の宣告。その後も、最後までそれを隠し続け、弱る身体に鞭打ち、耐えて出来うる限りの仕事はこなす。
そして一方では自分自身の旅立ちの準備を整える。
・「会葬礼状」まで生前に用意して、自らの葬儀をプロデュース、情報発信の場にする。正に“流通ジャーナリスト魂”発揮。
本人も決して平常心ではいられなかったことが切々と綴られている。しかし始末すべきことを思い通りに成し遂げられたのは実に素晴らしいと思う。
・彼の奥様がこの著書の冒頭のまえがきと、40p近いあとがきを書いておられる。最期の瞬間までを共に過ごした妻の気持ちが伝わってくる、とても意味深い構成になっています。
これは夫から最愛の妻へ、又妻から夫へ宛てたメッセージでもあります。
・生前にTV画面から受けた彼の印象と、本を読み、初めて知った彼の真の姿を重ね合わせることは中々出来ません。
今では彼のあの喋り方をとても懐かしく思い起こしています。
御冥福を祈ります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<片や人気のフィクションです>
・発売と共に2つの図書館にリクエストして読める日を待っていました。
予約で並んでいる人の数から、多分それは来年なのかな?と思っていました。
思いの外早く借りれたのは、複数冊購入頂いたからのようです。もう一方はいまだ3桁の待ち人 最速で100万部を突破した作品ですから...
【色彩を持たない~~】村上春樹著・文藝春秋・2013.4.15第一刷発行
・こんなに長い題名をつける必要があるのかな?というのが第一印象でしたが、ここから既に村上ワールドに引き込まれているんでしょうね。
・読み進むにつれこの不思議な題名が何を意味するかは分かってきます。周りの登場人物が何かしらの色彩を帯びているのに、“つくるさん”は至って中庸で色が感じられないということですね。
・緑川が灰田(灰田青年の親)に話をする辺り...“死のトークンを別の人間に渡す”“人間には色がついている”のくだりから一気にのめり込まされました。
・いつもながら独特の比喩表現が随所に登場します。
又洗練された、対話場面での言い回し表現も然り。
それらがあまりに巧みなので、ついつい笑ってしまいます。
・話の中に度々登場し、題名の一部にもなっているフランツ・リストのピアノ独奏曲<巡礼の年 第1年スイス>“ル・マル・デュ・ペイ”←音質は悪いですが聴くことが出来ます。
1Q84の時もそうでしたが、私の知らない楽曲が登場し、都度勉強させられます...
・ベルマン演奏のCDは発売当時は日の目を見ることなく2004年に廃盤になっていたのですが、急遽の復刻を果たして大ヒット。大きな話題になりました。
著者はクラシックに造詣が深く、その著書の中でさりげなく使われているのですが...これがレコード会社の売上にまで影響を及ぼすのですから、与える経済効果も大きいですね!
・“つくるさん”って人間として普通の感性を持ち、至極まっとうな人生を歩んでいる人だと思いますが...むしろこの世の中では多数派じゃないでしょうか?
結末は??ですが、この本に続編は無いのでしょうから、読者はこれからの展開を思い思いにイメージして楽しめば良いのでしょう。
これからの主人公の行く末には関係なく、既に言いたいことは語り尽くされているように感じます。
・とても面白かった前作【1Q84】ですが、正直私の頭では理解出来ない部分がありました。でもパラレルワールドの概念は著者の頭の中にしか存在しないと思うので、これは仕方ないことかも。
それに引き換え今回の作品は実にすんなりと心に馴染みました。
・読者が多いだけにネット上のレビューも☆の数ほどあります。
<人気のレビュー>の一つです。肯定的な批評ではありませんが、良く書けるなー!!感心してしまいました。他の方のブログは大変為になります。
・<第149回芥川賞、直木賞>が決まりましたね。早速リクエスト。
「爪と目」は未所蔵、「ホテルローヤル」は既に50人待ちでした。
気長に待ちます。
では又
I.O
今日はメールをいただき、ありがとうございました。
ぽかぽか温泉、こちらのブログで知ってから、行きたい気持ちが渦巻いています(^_^)
金子さんの生きる姿勢には、そう簡単には真似できることの出来ない、美しささえ感じました。
(この表現が正しいかはわかりませんが…)
金子さんと奥様が命をかけて残された「僕の死に方」、沢山の人に読んでいただきたいですね。
村上春樹さんには、1Q84でどっぷりとはまり、とても楽しみにしながら今回の新作を購入したのですが、未だ読めず、本棚におさまっています…(^_^)
村上作品は一度足を踏み入れると、なかなか抜け出せないので、時間が出来た時にじっくりと読んでいこうと思っています。
地域の情報、お勧めの本など、また色々と教えて下さいね(^_^)
「色彩を~」を読んだあと、昔はどんなんだったいなーと思い起こし「風の歌を聴け」:1979年を読み返してみました。さすがに文体も何も若いなーと感じました。
「爪と目」が思いがけず早く借りれたので読んでいます。二人称小説と言うことで、しょっぱなから戸惑いました。“あなた”って誰?状態でずっと考えつつ読み進み、4~5p辺りでやっと“わたし”と“あなた”の関係に納得です。
面白い書き方があるものです。