噛噛堂 あと2112冊

遅読、積ん読、併読、乱読。それでも読んどく、70までの2112冊。いよいよカウントダウン。

日本の食欲、世界で第何位?

2010年04月05日 | 食っ棚

さて、そばを多く生産している国はどこでしょう?

「…とくるならば、少なくとも日本じゃあるまい。どこだろう?」
と、思った人なら、そばに始まり、クジラやマグロも押さえて、はては冷凍食品、糖尿病患者割合まで、データと自らの体験をからめてうんちくを披露してくれるこの一冊を楽しめること間違いなし。

岡崎大五    新潮新書  2010年

牛肉をよく食べるのは、第一位アメリカ又はオーストラリアでしょ?と思ったら…
意外や意外、アメリカは第3位、豪州は第4位。
日本は、84位。
てな具合に、必ず我が国がどのあたりに位置しているのかがわかるようになっており、
加えて、食べるの第一位は○○○○○○でも、
生産第一位はアメリカ、
で、その牛肉を一番多く輸入しているのは、なんと○○○○で、
輸出量が一番多いのは○○○○、
そして、日本に来る牛肉はどこから来るのかで、一位豪州は言わずもがなとして、6位バヌアツって…
一食材についてフォーカス角度を変えてみるだけで、食べ物と世界がまた違った色合いを呈してきます。

じゃあ輸入量は輸入量として、その輸入した牛肉の使途はいかに?
…とまで徹底究明しているわけではないので、
ま、そのあたりはもとより「新書レベル」と含んで読む必要はありますが、ね。

new88冊目(全94冊目)

想い雲 -みをつくし料理帖-

2010年03月22日 | 食っ棚

正直言って、三巻目ともなると惰性ですうー。
もしもグインサーガなみの事態になりそうな場合には、その切り上げ時判断が難しいところです…

高田郁    ハルキ文庫  2010年
 ご存じ江戸の女料理人・澪をめぐる人情噺の第三弾。いよいよ小松原様の正体があきらかに…?!


種市翁の 「こりゃまた滅法」 「こいつぁいけねぇ、こいつぁいけねぇよぅ、お澪坊」 この決め台詞も、
もはや水戸黄門の印籠並みです。
いよっ、出ましたっ、種市っつぁん!

相変わらずスルスル読めるのはいいんだけど、
あまりにスルスルしすぎてて過去に登場した人物が再登場するたびにいちいち「誰だっけ」状態(苦笑)



ところで。
大阪弁で、「引っ込んでてんか」と言いますか?
この場合、「引っ込んどいてんか」の方がしっくり来るような気がするのですが。
あと、「…下さいましよ」なんてへりくだる相手に対して、自分の事を「俺」って言いますかね?

あーヤダヤダ。
スルスル読めちゃうとこういう小骨の引っかかりがどうしても気になって仕方がない。

new82冊目(全88冊目)

偉いぞ!立ち食いそば

2010年01月07日 | 食っ棚

東海林さだお    文春文庫  2009年(2006年単行本)

もはや丸かじりしすぎて食傷気味のショージ君だけど、
立ち食いそばに過剰反応してしまうの巻。
ええ、ヘーキですとも、女子ひとり立ち食いそば。
「箱根そば」「富士そば」「かまくら」「相州そば」あたりに出没します。(「大船軒」は却下)

なのに駅弁から始まるって、それ、どーよ?
たった30ページとはいえ、そっから脈絡なく立ち食いそばになだれ込むし。
蕎麦をたぐりながら日本酒でも一献…と思って入ったら、「えっ、お通しにポテトサラダ?」ってなキブンじゃないですか。
嫌いじゃないですが、むしろ好きですが、駅弁もポテトサラダも。
立ち食いそばのキブン全開のときにはいかがなものか?


尚、本書による影響で、
「絶対ムリ」と避けていたコロッケそばを、次回は絶対にオーダーしてしまうであろうことは間違いありません。

new59冊目(全65冊目)

肴    日本の名随筆26

2009年11月14日 | 食っ棚

初版から6年たった1990年に購入し、20年になんなんとする積んどくを経て今ここに…
まあ、この『肴』をしみじみと味わえるのは、今、このトシだからかもしれず。
積んどくにも何が意味があるもんです。
と、勝手に意味をつけてみる、20年の罪滅ぼし、と。

池波正太郎・編    作品社  1984年

日本の名随筆シリーズ!
その、編者とテーマの取り合わせの妙には唸りますって。
まずはこの「肴」にしてからが、池波正太郎。ずばり。
「男」は森瑤子。うはっ。
「顔」が市川崑。ほほう。
芝木好子の選ぶ「藝」、白洲正子えりすぐりの「陶」、野坂昭如が編んだ「死」、
どれもこれも、全100巻の目録を見ているだけでも楽しめます。

37人の執筆者は、このテーマのために書きおろしたわけではなく、
肴といえば、なるほどこの人、の池波正太郎氏があちらからこちらからと選び取っているのですが、
北大路魯山人あり、
東海林さだおあり(大家にはさまれて、あのショージ節も風雅なかんじに見えるのが可笑しい)、
林京子あり(←下戸なんだけど、下戸の書く、なるほどそれも『肴』か!の天晴れ)、
ある者は「日本酒には肴などいらぬ」と言い、
ある者は「ワインなどと違って日本酒は肴あってこそ」と言い。
いいねえ、いいねえ、
酒飲みたちのこの勝手さが。
嗚呼、しみじみ滋味…

さんざんイケそうな肴を紹介していて挙句、「私は家人の腕をほめたことがない。こうしたのをこしらえるのが当然だからである」ときた立原正秋にはドン引いたけど、
その『肴』にも、文にも、したたかに酔わせてくれたのは、開高健。ウマすぎます…

各執筆者に、
編者・池波正太郎に、
何より、この企画、この出版の作品社に、

new44冊目 (全50冊目)

花散らしの雨

2009年10月26日 | 食っ棚

お待ちかね! 文庫書き下ろし!

--みをつくし料理帖--    高田郁    ハルキ文庫  2009年
 身を尽くし、心を尽くし、料理に生きる澪。彼女を待ち受ける更なる過酷な運命は--(帯より)

んー。過酷、ってほどでもないけどなあ…(笑)
第一巻では、春夏秋冬で各一話でしたが、
第二巻になって、時計は遅まき。春~夏での全四話。

あいかわらずの、「いーハナシ」づくめですが。
だからって、ケチつけるわけじゃないし、アラさがすわけじゃないのですが。
さして資金もないような料理屋で、しかもこの時代に、そんなにふんだんに「試作」ができるのか?ってとこがね。
ま、オハナシ、オハナシ…っと。

いずれドラマになるに違いないこの設定。
澪は、蒼井優?
つけまゆ毛で。

new41冊目 (全46冊目)

八朔の雪

2009年07月13日 | 食っ棚

時代小説は食指の動くジャンルじゃないにも関わらず、美容院で読んでた雑誌(←とうていアタシ世代をターゲットにはしていない)の、「絶対泣ける本特集」をながめていて、ここらで久々に、ちょいと泣き本、いいね… のノリで、そのまま本屋へGO。

--みをつくし料理帖--  高田郁    ハルキ文庫  2009年

つるつるつるつるつるつるつるつる…読めてしまう。
この『漫画感』はいったいナンダ?!…と思ったら、
この初めて名を知る作者はもともとレディスコミックの漫画原作者だったのね。
どうりで。
絵がうかびます。
その上、やいやいやいやいっ!泣かせようとするないっ!てな、大変にわかりやすすぎる(=ぽっぽや級)泣き地雷が満載。
ふつうなら、やいやいやいやいっ!てやんでえ!と、
いつもながらいとも簡単に反応する我が涙腺を引き締めにかかるところですが、
なんとこいつにゃ、アタシの泣き所 料理 がからんでる。
しょうがない。素直に泣きます。

野江ちゃんはどうなるのか?
小松原さまは何者なのか?
佐兵衛は見つかるのか?
こいつは書き下ろしの続きものですな! わくわく

気の張る大作連続巻モノ、たとえばそう、「竜馬がゆく」のような。
その合間にサラッと一日だけ、かるくおいしい涙を流すに最適。
料理好きは必読 

new16冊目 (全19冊目)