スタックスにはアルジャクソン
マッスルショールズにはロジャー･ホーキンス
モータウンにベニーベンジャミン
そしてレッキングクルーにハルブレイン
あの頃のレコードレーベルには
必ず顔とも言えるスタジオセッションミュージシャンやドラマーがいて
聞けばああ誰々と解る様な
独特の音色やタイム感があった
で、その中でも有名なレーベルにチェスというメーカーがある
マディウオータース
ハウリンウルフ
エルモアジェイムス
といった錚々たるブルースアーティスト達
そのバッキングを務めたのが
チェス専属レコーデイングセッションバンド
ジ エイシズである
エイシズは
ルイスとデイブのマイヤース兄弟に
ジュニアウエルス（ハープ、時々リトルウォルター）
そしてドラマー....
名前をフレッドビロウと申しまして
流石にそういったジャンルに詳しい方でなければ
名前を知っている方も多くないと思いますが
フレッドビロウは前述のアーティスト以外にも
チエスのレコーディングに多く参加していまして
いわば其の手の有名曲は大体ビロウのドラミングによって
レコーディングされたものであって
それは現在も多くのミュージシャンに
多少なりとも影響を与えておる訳です
いや、恩恵を蒙っていないどころか
多分こういった音楽に携わる以上
一度は耳にした事があるという
つまり世界規模、破格のスケールのドラマーでもある訳です
彼のドラミングだけは特別でして
その乗り、バランス、タイム感
どれをとっても彼独特のものがありまして
私も結構研究させて頂きました
ビロウの写真等も数少ない訳ですが
こんな感じで
トレードマークはベレー帽
一見「長さん」を思い出させるような....ｗ
同じアーテイストでも彼の演奏と他のドラマーでの演奏を聴き比べますと
明らかに、なんと申しましょうか
品とでも言うんでしょうな
何度聞いても、彼の演奏の方が品があるのです
まあ、色々と彼を讃えようと言葉を考えたのですけど
うまく言葉が見つかりません
つまり、世界で最も偉大で無名なドラマーは
今も将来を夢見る若いミュージシャン達に
音の後ろにこっそりと座り続け
夢を与え続けている
そんなあり方に改めて敬意と感謝の気持ちを込めまして
彼の偉大なるドラミングをば......
Chuck Berry - Johnny B Goode (1959)
