謝れば済む問題ではないということだろう。韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が友人の崔順実(チェ・スンシル)氏に演説草稿や閣議資料を事前に渡し、国政に関与させていた疑惑で、朴氏は25日、機密資料の提供を認めて謝罪した。だが、野党は朴氏の弾劾を要求し、与党からも検察による捜査を求める声が上がる。朴氏は絶体絶命の危機に立たされた。

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 現に韓国では、大統領の演説内容を事前に見られるのは本人や一部の政府高官に限られている。このため、公職者ではない崔氏に提供するのは、大統領記録物管理法などに抵触する可能性があるのだ。

 今回のスキャンダル発覚前でも、朴氏の支持率は25%と就任以来最低となっていた。このため、朴氏が国民の信頼を回復するのは極めて難しい。

 韓国では内乱罪などを除き、在任中に大統領は訴追されないが、弾劾は可能だ。すでに野党勢力からは朴氏への弾劾要求が出ている。

 与党からも厳しい意見が上がっている。韓国のKBSラジオ(電子版)は25日に国会で開かれた院内対策会議で、検察の捜査徹底を求めたと報じた。ハンギョレ新聞は朴氏の説明に対し、「違法性の有無について全く説明していない」として国政調査を要求する与党議員や朴氏に離党を求める別の与党議員の意見を紹介した。

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 だが、この説明も「嘘ではないか」との報道もある。ハンギョレ紙によると、崔氏と親しかった人物は同紙のインタビューに対し、「昨年秋から今年春まで、崔氏とともに『秘密の会合』を開き、大統領府の資料を閲覧してきたと明らかにした」という。

 同紙は「釈明と相反する内容の証言や状況が相次いでおり、『嘘の釈明』をめぐる議論まで加わる見通しだ」と報じた。今後の展開次第では、さらに朴氏は窮地に陥るかもしれない。