エスティマ日和

『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』2章まで収録の、エッセイ集です。独立しました。

画期的商品

2005年12月08日 | 建築
唐突ですが

小学校2年生の「お楽しみ会」。
このとき、私は「手品」をやろうと考えまして、さまざま調べていたところ
『お札が印刷できる!』という、なんとも画期的な商品を、当時の怪しい通販で見つけました。
見ると、怪しい広告には、なんと千円札!が、印刷機から出てきている「絵」が掲載してありまして、幼少の私は釘付けになりました。題して『魔法の印刷機』。横には千円札の札束の「絵」まで!!
「これで、もう小遣いに困ることはない!」という、信じがたい判断をした小学生の私は、一も二もなくこの怪しい印刷機に飛びつきました。
だいたいそれってニセ札じゃん、ということなど、まったく頭をよぎりませんでした。
なにしろ千円は大金!当時、小学生の小遣いが月100円程度の時代ですから、そらぁ見た事もない「大金」です。
千円札を小学生が持つなど、考えられないような時代でした。

さっそく当時の全貯金250円に、さらに婆さんから50円をだましとりまして、切手で送金。
後は到着を待つばかり!
これで私は「小学生の大富豪」まちがいなし!、と、胸をふくらませて待ちわびておりました。
もう頭の中では、千円札の束を持って同級生の女子をはべらせている自分がいるわけです(なんで男の想像って進歩がないんでしょう?)。

そして1週間。到着しました!「魔法の印刷機」!
そのうれしさは忘れられません。包装をやぶるようにして、印刷機を取り出した時は涙が出そうな感動でした。
「これで大金持ちだ!」
小刻みに震える小さな手で、機械を取り出し、付属品チェック!白い紙が何枚かついておりまして
おお「これが千円札のモト」にちがいない、と確信!
「待ってろ、すぐに千円にしてやるからな」。

さっそく説明書に目を通しましたところ

”1.はじめに実際の千円札を用意します”

はい?

そんなモン持ってるか!だって、なけなしの300円でようやくこれを手に入れたばかり・・・。しかも50円は老人から騙し取り。
でも、それが何十倍にも増えるなら、それもアリか?と思いましたら、
この印刷機。循環式(?)で、同じ千円札がローラーで何度も出てくるだけ。

「えー!?」

この少年の落胆。想像できますか?

”6.用意した千円札のぶんだけ印刷ができます!"

用意した分だけ?札束は?だいたいそれって印刷?

元の千円がないと、この手品は、白い紙が回るだけでなんの芸もありません・・・。
結局、お楽しみ会は、誰でもタネのわかるバナナ切りをやって、想像通りの大失敗。
全財産をはたいた本物のお札が出てくる「偽札印刷機」は、その後もなんの役にもたたずに(なにしろ元の千円札がない)
どっかにいってしまいました。

その後、身内の老婆を騙して50円を搾取したことが発覚。
偽札製造未遂と、詐欺罪で、親からこっぴどく怒られたことは言うまでもありません。


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2 コメント

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コピー機? (ひなこ)
2008-05-10 12:43:47
あらら。千円札が勝手に出てくるのではなかったんですね?
しかも、全財産をはたいてしまったのですから・・・
すごくショックだったでしょうね。
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Unknown (みゆき)
2010-04-28 15:46:18
本っ当にバカ~~~
僕駐を先に全部読んでから、こちらに来たので、チビチャリですね。(笑)
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