モモの京都・祭事日記

2010/4/~2011/3の京都日記を記載。
観光情報サイトと言うより、自分の記録帳です。

10月20日(後)

2010年10月20日 | 10月
後編。



それにしても、包丁式までにはまだまだ時間がかかるなあ。
もう一度【建仁寺】に行って来ようか(【えびす神社】→【建仁寺】は歩いて5分もかからん)
【建仁寺】の南側の門から入り、境内をぼつぼつ歩いていたら、どこからともなくブオ~という音が…。
こ、これは…。
これは俗に言うホラ貝の音とちゃいますか?
そこでハタと思いついた。そうだ、さっき見た、境内の毘沙門天堂に入って行く山伏さんを!
あれだ! 絶対あれだ!
走って向かうが、毘沙門天堂までわざわざ行く必要はなかった。
すぐ先の参道を、山伏さん達がゾロゾロと歩いて来たからだ!

ギャーッ! 凄い!!
弓矢や、なんと斧を持った山伏もおる! しかも斧の柄が超長い。

ホラ貝吹いてますっ。

すげーすげー。さすが京都だなあ。
【建仁寺】の中には幼稚園(保育園?)もあって、窓から保母さんや子供が顔を出して手を振っている。
可愛いねえ、山伏さんも子供に手を振り返しているのが、なんとも可笑しい。

そのまま、私が入って来た南の門を抜ける。
待っていたのか、私のようにたまたま一行に出会ったのか、カメラを構える人も多い。
御近所の人に挨拶をしている山伏さんも居た。

これまた普通に公道(しかも歩道)をザクザク歩いて行くんだもん。
東京でこんなことがあったら騒ぎになるか――あるいは全くの無関心か。
どちらにしろ、京都の人って、日常的とは言わないがこういう事が起こるのに慣れている気がする。
好奇の眼では見るが、疎遠にはしない、みたいな。驚く半面、面白がるみたいな。
なんともね、待遇が柔らかいね。

で、御近所の人が「どこへ行くんですか?」なんて山伏さんに尋ねているのを小耳に挟みまして、
なんだ【えびす神社】へ行くんですって!
先回りして、神社の門をくぐるところを激写(YOTUBE動画1
神社の人もなんだなんだと言わんばかりに注目していた。
少なくとも神社の行事ではないので、山伏一行がここを訪れます、みたいな公式な発表はなかったわけで、
さすがに宮司さんとかは知っているのだろうけど(どうか?)みんな驚いてたな。

本殿前へと進み、お経を唱える山伏さんら。

私、お経ってあんまり好きじゃなくて。
お坊さんのお経って、どーしてもお葬式を連想するから。苦手な方だ。
しかし! 山伏さんの、力強い声で叫ぶよにして唱えられるお経って、いいな。
初めてお経が、いいと感じた。
動画2(読経する山伏)

これが13:55
包丁式は14:30からだが、14:00から本殿で神事が行われるらしく、
山伏さんが読経している時から宮司さんや楽師さんらが準備をし始める。
よって、山伏と直垂姿が重なる瞬間が発生! これはちょっと面白かった。

お互いがお互いをチラ見しているのとかが、なんとも。
↓楽師さん、先頭の女性は袖にくるむようにして笙を持っている。

本殿向かって左の戸から中へ入って行った。

読経を終えた山伏さんら一行は、次なる地を求め神社を後にした。
が、この後もしばしばホラ貝の音があちこちでしたから、付近の神社やお寺を巡っているものと推察される。
山伏さんを追いかけたい衝動に一瞬かられたが、やっぱり神社の神事の方が好きだ。
眼は、社務所前で禊をする神職さんらにそそがれる。


山伏の声やホラ貝に誘われてなのか、神事が始まる時間だから分からないが、境内には徐々に人が集まり始めている。
右側、白い狩衣姿の神職さんの隣りに立つ直垂姿の男性3名は、包丁式の人。


14:00
そんで、神職さんら関係者は本殿へと入って行く。
ここの! 本殿てのが! 全く外から見えないのだっ!
中で行われている神事は、もう全ッ然見ない。
唯一見えるものと言えば、雅楽を奏でている楽師さんの後姿だけだ。
本殿右側の、欄干ごしに。

まぁ私は楽師さんが大好きだからそれでも満足だが。つーかすげえ太鼓があんじゃん。


見られるのはそれだけだから、見学者さんらはそちらへ集中する。

不思議と言えば私には不思議だった。彼らは何を求めていたのだろうか?
神事と同じく、包丁式がそちらで行われると思って待っていたのだろうか?
既に我々、包丁式を見る為に来た人間は、会場の前で場所取りを兼ねて立っていた。
まんじりともせずに30分だ。本殿での神事が終わるまでの30分間。

中での神事は、開扉の儀、献饌、祝詞奏上など一般的なこと。
それでも中が見えないのは退屈だ。
14:28
どうやら玉串を奉奠した順に退場するらしい。まず最初に包丁式に臨む3名が出て来た。
この辺りから、我々先取り班(?)はソワソワし始める。
そして宮司さんも本殿から退出。14:32のこと。


神事が終わるやいなや、ワッと会場前に人が押し寄せる。
30分も前からそこで待っていた先取り班の我々は、間近で包丁式が見られることに満足していた。

14;36
いよいよ包丁式の開始である。
この部屋に入った瞬間から、作法は始まる。
それは台の上に乗る鈴を片づけるところからだ。

あらかじめ置かれてあった、五色の紐がついた鈴。巫女さんがよく持って舞うやつだ。
台を清めるようにして、鈴を鳴らす。

その人が奥に引っ込んで、別の人が三方を持って登場。役割が完璧に分けられているんだあ。
この三方は大きい、と思ったが、後半で更に大きな三方が出て来る。

もちろんそこに載っているのは、これから捌く魚だ。
魚を台に乗せ、菊や稲の束を捧げる。
捌く時には、魚には一切手を当てないのが包丁式だが、その魚を三方から台に移す時には普通に両手で持っていたな。

今回ふたつの魚を捌く。まずは1つ目。はらわたは既に取り外されている。
ただ包丁を入れて行くのではなく、オーケストラの指揮者のように包丁や箸を動かす作法が見所。
たまに、それやってないで早く捌いてくれ! と思う人も居るだろう。
でも茶の湯とかと一緒よね。伝統芸能かな? 必ず同じ動作をしなくてはならない、でも一期一会。

右の写真、持っている包丁に装束の柄(桜)が映っているのがいい。自分で撮っておいてなんだがお気に入りのショット。

装束は直垂。
袖についている紐をしぼり、結んで首の後ろに掛ける。襷の代わりだ。
それでも絶対、袖って邪魔だと思う。
でも日本って不思議。現代に至るまで「着物」には袖が付いている。
職人さんが着ている、甚平にだって袖はある。私には不思議でしょうがない。
どうして「袖文化」って未だに存在しているんだろうか? 論文にでもしたいくらいだ。

さて包丁式は続く。
1つ目の出来上がりはこう。

魚が立体的…。
皮一枚を残して切り、それを折ることによって肉が立つのだ。凄いよ~。
で、捌いた本人は退出。まだ別の人が来て、捌いたそれを三方に載せる。
捌く時より、載せる時の方が力入っちゃうな、見ている身としては。ドキドキした。
形を崩さないように箸を口に挿し、包丁で支え、サッと移動させる。

それを、人垣を分けてやって来た神職さんに渡す。
神職さんは本殿へ捧げ持って行った。そうだ、これは神様に捧げる供物なのだった。

続いて2つ目。
超巨大な三方を持って出て来る。

これはね、笑っちゃうくらい大きかったです。ビックリしたもん。
こんな大きな三方が世の中にあるのかいと…。子供がすっぽり座れるくらいの大きさ。
魚は鯛(だと思う)

今度は、先ほど捌いた魚を三方に移し替えた人が捌く。

凄いなあ…とぼーっと眺めていると、突然包丁を台にバン! と叩きつけたりするのでかなり驚く。
その刃を水平に動かしたり、直角に立てたり、ひとつの身を切るのに大変時間をかけるのが、日本の伝統的な包丁式。
目の前で見ていると、身を切断するゴリゴリッて音がしたりして生々しい。

ちなみに見学者はこんな感じ。

場所をおさえないとまず全貌を見ることはかなわない。
ちゃんと見たいのなら、少なくとも30分前から構えているように。

デジカメの電池が完全になくなってしまい、完成した魚を撮ることは出来なかった…。
隣りでは、ずっとビデオ撮影をしているおじさんがいた。
YOUTUBEとかで公開してくれるといいんだがなあ。

終了は15:05
実に30分かけて、ふたつの魚を捌いたわけだ。

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