モモの京都・祭事日記

2010/4/~2011/3の京都日記を記載。
観光情報サイトと言うより、自分の記録帳です。

10月17日(後)

2010年10月17日 | 10月
笠懸神事…【上賀茂神社】
後編。(前編へ

13:09
冠を替えた射手達の、矢を一本ずつ回収した奉行(ぶぎょう。審判みたいな人)が、
それらを後ろ手に持ち、選んだ矢の順によって笠懸の順番を決める。
貰ったパンフによると、「矢代(やしろ・やだい)を振る」と言うそうな。
馬場中央で行われ、しかも人垣が出来てるので、半分より前の席からはもうこんな感じで見えない。

ズームズームズームでなんとか。矢を適当に選ぶらしい。


疑う必要もないのだが、本当にこれで順番を決めてるんかいな?
だってこれの、本当に直後に笠懸が始まるんですよ。
順番とか、スケジュールとかガチガチに決める日本人らしくないなあ! 意外だ。

で、この奉行さんは馬場中央にある記録所と呼ばれる櫓のような建物に入る。

矢が的に当たったのか、それを見極める役である。
的に当たると、そこにぶら下がっている太鼓をゴンゴン、と叩く。


扇方(おうぎがた)の人が、馬場元(スタート位置)と馬場末(ゴール位置)にそれぞれ着く。

この人は一体何をする人なのか、見ていたらすぐに分かる。
腰に差した巨大な扇を翻し、馬場が安全であること、準備が全て整ったことを知らせる合図を送るのだ。
「いいですかー」「はいっ」

赤地に金の太陽、そして金地に赤の太陽が描かれた扇。

で、まず弓はつがえず馬を走らせる。

アナウンスで、射手と馬の名を全て読みあげられる。
YOUTUBE動画5(馬を走らせる)

戻って来る射手と馬。

いよいよ笠懸の始まりである。

その前にちょっと説明を書いておく。
第一部(前半)、北から南へ向かって走りながら、左側にある一、二、三の的を射る「遠笠懸(とおかさがけ)」をし、
続いて南から北へ同じく走りながら、今度は右側(射手にとっては的はつねに左側)にある四、五の的を射る「小笠懸」を行う。
前半で射る一、二、三の的は、流鏑馬と同じく真横に建てられた木の板で、大きさは約35センチ。
四、五の的は、地面低く、斜めに立てられた木の板を射る。

おまけに板の大きさは更に小さくなって約12センチ。ありえん…。

第二部(後半)になると射手が厳選される。的を多く射た順に、確か10人から7人になったと思う。
やはりまず一、二、三の的を射るのだが、的の素材がここで変わる。
板から円形の、中に紙ふぶきが入った小さな的になる。これの中心に矢が当たると紙ふぶきが散って美しい。
そして四、五の板の的を射て終了。

どの的を射るにしても、並々ならぬ技量が必要なのは見ていて当然。
行っているのは武田弓馬道さん(公式サイト)の方々で、プロとは言え当たる確率は100%ではない。
当たれば客席は歓声と拍手、外れれば「ああ~」という溜め息を漏らし、一喜一憂するのがまた面白い。不思議な一体感を味わう。

ひたすらに技術を見る、競技・スポーツ・勝ち負けとは無縁の世界に浸れるのが、日本の古い行事の良いところなんだな~。
私はスポーツが嫌いだからこういうのが楽しい。

13:24
客席はこんな感じ。有料の席もいいが、右の写真のように実は穴場な無料観覧席もある(笑)

コース沿いに茂る生垣の向こうは、神社の駐車場。
所々に、ああして生垣が分かれている場所があって、覗きこめば多分結構いい眺めで見られるのでは。
私はあちらから見たことはないが…。賀茂競馬会の時も、あそこは凄い人だかりだった。

さてこっからは写真と動画のオンパレードだ。
こういう凄いものって、カメラのレンズを通してなんか見たくない、肉眼でじっくり見たいのだが、それは二回目以降でよかろうと自分を納得させる。
とりあえず今は記録に残すことが大事だ!

馬と弓矢、という組み合わせはもうそれだけでカッコいい。
両手を離して馬に乗るところからしてすげー。
まず南から北への「遠笠懸」
↓中央辺り、座っている人の上に映っている線が矢。



動画6(一、三的中)(左に映る扇方にも注目)
動画7(一的中)(女性の射手)
動画8(一的中)(足の速い馬)
動画9(一、二、三全て的中)

北から南への「小笠懸」
これすげーよ! 単純にこえーよ!
私が座った席の、本当に目の前に五の的があって、「おお目の前じゃん」なんてうかれていたが、
一応網で囲ってあるけど、これ万が一にも矢が網を越えたりしたら客席に飛んで来んじゃん。
実際にこちらへ向けているような、矢の軌道を見て誰しもが一瞬戦慄した。
当たったところで、矢の先に刃(鏃)はついてないから怪我には――ならないのか?
板を割るくらいだが…どうだろうか…考えるのはよそう。

↓これは外れ。
 当たりか外れかは、正直どっちでも良いのだが、便宜上書いて置く。
 で、これは外れの中でも凄かった。てかみんなビックリした。
 矢が網のどこかに当たり、威力で網を支える棒が外れちゃうんだもん。


割れた板や、↑のように外れた網や棒を直す諸役の方々。
この人達を見ているのも面白い。

↓左に居る男性は、御幣を前に突き出している。
 多分「準備中」の合図。各所全てこれが引きさがるのを確認して、扇を翻すのだと思う。


はい連写連写で参ります。連写だと画像が粗くなるのが哀しい。
はい当たっております。

普通に携帯電話のカメラで撮影している人も多かったが、ちゃんと映るんだろうか?
むろん眼レフを持っている人もかなり多かった。
眼レフのバズーカ部分は、正直邪魔で嫌いだ…。写真や動画に映り込んじゃうんだもん。

愚痴はともかく続けます。
面白いのは、的と的のあいだの僅か5~6秒のあいだに矢を取りつがえ、ひきしぼって射らなければならず、
その一瞬のタイミングを逃してしまう射手も何人かいるということ。
実際ねえ、みんながみんなバンバカ射てしまったり、当ててしまったらつまらないですよ。
「やっぱり熟練者でも難しいんだね!」ぐらいに思わせないとね。

↓的がもうすぐなのに、完全に諦めてしまった様子。こういうのが何度かあった。




↓このショットお気に入り。いかにもそこの、諸役の人達を射らんとしてるかのようで(笑)

んなことはもちろんなく、的を射ってゆく。

↑見えますかね、板を割った矢尻が。
動画17(五的中)
動画18(五的中)

13:55頃
前半と後半のあいだ、審議をしている最中はちょっとした休み時間。
そのままの場所で見ているのもいいが、視点を変えてみたく北側の席へ移動。
たまたま最後の列が空いていたから椅子の上に上がって見たが、結構いい場所じゃん。

左が南、右が北。
北から南へ下がり、四の的を射るところを斜めから見られてかなり良い。
有料観覧席のスペースは、お金さえ払えば(関係者席を除き)ほぼ自由に歩きまわることが出来る。
余裕があれば色んな場所から見てみるのが良い!
この位置からもホント良かったな~。

↓第二部なので、難易度がアップしている。木の板から円形へ。

動画12(二的中)
動画13(二的中)
動画14(外れ)(10秒頃の矢をつがえる動画が好きだなー)


前列の人の頭が入ってしまうのはしょーがない。


やはりスポーツではなく、神事(というか伝統芸能?)の凄いところは、
全てにおいて所作やその順番が決まっているところだ。
矢を射た後、手をブラブラさせてるんじゃない。↓のように、弓を持った左手を大きく掲げている。

ただ馬に乗れるとか、速く走れるとか、弓を射られるとか、そういう身体能力の他に、
極めて細かく取り決められたものがある。それが凄い。
動画10(四、五的中)
動画11(四、五的中)
動画15(外れ)(真横から)
動画16(外れ)


14:25
笠懸終了。

一同は審判の居る、馬場の中央に集合しお神酒を受ける。

これがまた、ちょっと見難いところでやるもんだから。
素早く行動し、見るのに良い位置を取ろう。


一番上手かった人が射った的を、奉行が床几に座って見る。
これが、「扇の骨のあいだから見る」らしく、その瞬間というのがこれ。

大学の授業で習ったのだが、昔の人(その時は『鳥獣戯画』に描かれたものを参考にしていた)は、
例えば死体とか、縁起の悪いもの、卑しいもの、びっくりするものなどを見る際に扇の骨から覗くようにしてたらしいのだ。
ちょうど「指のあいだからばっちり見てたじゃん」みたいなアレ(どれ?)
これも、そうなのかなあ…?
それとも逆で、高貴な人を直接見てはいけないという心理状況によるもの?

順にお神酒を受ける。

同時に射手の名前や成績などをアナウンスされ、そのたびに拍手が起こる。
本当に凄いもの見せて貰ったよ、とか、お疲れさん、とか。そんな感じの温かい拍手なのだった。

これで神事は終わりなのだが、北側・二の鳥居前にあきらかに記念撮影用の準備がしてあった。
暫く張っていると、予想通り! 全員集合したじゃないの。
これは嬉しい! 凄い位置から撮っちゃった。
すぐ左の方に本職のカメラマンが居て、周りでカメラを構えるギャラリィを次々にどけていたのだが、
私はギリギリどかされずに済んだ。はっはっは。


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