メクリジンで身長を伸ばすことは可能か?というご質問も最近多くなってきました。
メクリジンの機能も線維芽細胞増殖因子(シグナリング分子、広義のホルモン)の受容体に影響するという仕組みですから、ホルモンが苦手な私に問合せをいただいても名古屋大から発表されていること以上の回答ができるはずが無く、発表と同じ内容を回答させていただいております。
結論から述べまして、骨端線が閉鎖した大人には効果がありません。
これは名古屋大のプレスリリースにも明記されております。
それでも多くの人が期待をしてしまうのは、「FGFR3を抑制する」などの専門的な表記が何を表しているのかが分かりにくいからと思いますので、ここを簡単に説明させていただきます。
メクリジンで改善されるのは?
成長ホルモンの投与で低身長が改善できるのは、ごく限られており低身長児(成人身長で男子159cm以下、女子147㎝以下)のうちの5%に過ぎません。
これは、成長ホルモンが原因ではない低身長が95%を占めるからですが、メクリジンはその内の軟骨無形成症の患者に効果があると考えられています。
軟骨無形成症は読んで字の如く、骨端線にある成長軟骨が形成されにくい疾患です。軟骨が作れないので成長ホルモンを投与しても効果がありません。
軟骨無形成症の原因とされるのが線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR3)の異常です。FGFR3は「軟骨を作るの中止!」という命令を出しますが、軟骨無形成症では、この中止命令が出っ放しになります。
メクリジンはFGFR3の機能を抑制し、中止命令が出ないようにするので、軟骨が形成されるようになり成長が改善されるという仕組みです。
以上のように、メクリジンでの成長は成長軟骨があることが前提ですから、「関節の軟骨が増えて骨になる」とか「骨端線が復活する」等の効果はありません。
したがって、大人には全く効果がありませんから、不要な服用は避けるべきでしょう。
身トレとの併用は無意味
身トレと併用してメクリジンを飲めば効果が高まるのでは?というご質問もいただきますが、身トレの成長は、骨端線で起きるものではありませんので、併用の効果はないと考えられます。
副作用は不明
名古屋大でも、常用した場合の副作用については未だ調査中であり、超高濃度群のラットは全て死亡、イヌでは嘔吐という報告があり、当初の目的である「既存の認可薬による早期認可」も、メクリジンの認可基準が古すぎて現在の基準に合致せず、という状況のようです。
嘔吐止めの薬のはずが、犬では逆の効果になっているのですから、前回記事のパラトルモンのように 効果が逆転してしまうような服用方法もあるのかもしれません。
ネットでは、「自己判断で試している」という書込みを多く見かけますが、研究というのは、「上手くいく方法を見つける」という作業ではありません。「失敗する方法を見つけていく」というのが実態で、最後に残った方法が「成功法」ということが多いものです。
それをご自身の身体で試すのはリスクが高過ぎると思います。
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