大阪のまちづくりぶろぐ

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御堂筋Talkin’About in アイ・スポット「考・喫茶店」レポート

2011年12月02日 | 御堂筋Talkin'About
2011年11月28日に行われた御堂筋Talkin’About inアイ・スポット「考・喫茶店」に参加してきました。

御堂筋Talkin’Aboutとは、あるテーマについて興味・関心を持った人たちが集まり語り合う“サロン”です。今回のテーマは「考・喫茶店」でした。

今回の参加者は29名。喫茶店の経営に関わっておられる方やこれから喫茶店を始めたいと考えている方が多く参加されていました。

(会場の様子)

今回は、ナビゲーターのお一人である平岡珈琲店の小川さんによる珈琲豆の焙煎についての解説や日本における喫茶店の歴史についてのお話から始まりました。

(モニターの前でお話をされているのが話題提供者の小川さんです)

先ずは、普段は見ることが出来ない平岡珈琲店での珈琲豆の焙煎の様子を納めたVTRを見せていただきました。
珈琲豆の焙煎は、豆を焙煎機に投入して、豆を煎り、冷やすという工程により行われます。火力や気圧等の調整が難しく、一人前になるには10年はかかるとのことでした。なお、焙煎具合は音を聞いて判断されるそうです。珈琲豆の焙煎というのは職人技なのですね。
ちなみに、日本国内で使用されている珈琲の焙煎機のほとんどは、大阪の会社で製造されたものだそうです。(もちろん、平岡珈琲店で使用されている焙煎機も大阪で製造されたものです)最近では、日本国内向けに製造されるものよりも、中国や香港、台湾等の経済的な発展を遂げているアジア諸国に向けての輸出されるほうが多いらしく、意外なモノがメイド・イン大阪として世界で活躍していることがわかりました。
焙煎の具合も年代によってトレンドがあるらしく、小川さんの世代では毎年出来が異なる珈琲豆から同じ味の珈琲を目指して焙煎されるそうですが、若い世代はその年の豆の出来を活かした味を目指して焙煎されるそうです。お客さんもそのことをわかって珈琲豆の銘柄を指定して注文したり、珈琲ソムリエなる方が現れたりと、だんだんワインと同じようになってきているとおっしゃっていました。

また、小川さんは日本の珈琲店の歴史や変遷についてもお話をしてくれました。
日本では日清戦争、日露戦争後の西洋文化流入に伴い喫茶店が増えましたが、その後の世界大戦による不況や物資統制等により珈琲豆を入手することが困難になり、多くの喫茶店が潰れて行ったそうです。昭和25年ごろに珈琲豆の輸入が再開されると、再び喫茶店が増え始めたのですが(イノダコーヒー、丸福珈琲、ゼー六珈琲もこの頃に開業)、増えすぎた喫茶店が差別化を図るために音楽喫茶やゴーゴー喫茶、インベーダー喫茶、カラオケ喫茶、マンガ喫茶などの業態(このようになると、喫茶店はもはや珈琲を飲む場所でもなくなってしまうのですが…)が現れたり、その一方で珈琲を飲む場所として特化していく店舗が現れたりといった変遷があったそうです。その後、ドトールやスターバックスコーヒーが登場したことにより、個人経営の喫茶店は大きな打撃を受けて激減しました。
現在では喫茶店はもうかる商売ではなくなっているそうですが、焙煎にこだわりを持った若い世代によるお店が少しずつ出来はじめているとのことでした。

小川さんのお話からは、職人技としての美味しい珈琲を楽しむ場所、お金を儲けるための手段、同じ趣味を持った人々が集うサロン、店主が自分のあこがれや世界観を実現するための場所など、喫茶店の持つ様々な側面が見えてきました。また、時代により喫茶店の姿も変わっているようにも感じました。

小川さんのお話をお聞きした後、参加者全員で、どんな喫茶店が良いのか、これからの喫茶店とはどんなものかをテーマとして話し合いを行いました。

喫茶店を利用するお客さんの立場からお話をされた方々は、美味しい珈琲が飲めるのはもちろんのこと、その時々の気分に合った、落ち着けるお店を求めておられる方が多くおられました。なかには、いつもと同じ席でないと嫌なので、その席に誰かいたら帰るという方もおられました。その他、個性的な空間があることや、禁煙であることなどを、お店を選ぶ基準として挙げられる方もおられました。

また、喫茶店を経営する立場からお話をされた方々は、味にこだわるだけでなく、お客さんに合わせたおもてなしが出来るお店をつくりたいとおっしゃっていました。その他にも、雰囲気や味、客層等の多様な要素でお客さんの要望に応えていくことが大切といった意見や経営者としてお店の独自性を出して行きたいという御意見もありました。

様々な御意見がありましたが、みなさんのご意見は、家(ファーストプレイス)とも職場や学校(セカンドプレイス)とも違う落ち着ける場所、いわゆる“サードプレイス”に近い場所を喫茶店に求めているといった点では、共通しているのではないかと感じました。

ちなみに、サードプレイスとは、アメリカの社会学者レイ・オルデンバーグが著書「The Great Good Place」のなかで紹介した概念で、誰もが気軽に立ち寄ることができ、そこに集まる人々との交流を通してパブリックライフを楽しむことができる空間のことです。都市に生きる人にとって必要なものとされています。

みなさんのお話を聞きながら自分と喫茶店とのかかわりについて考えていたら、私には行きつけの喫茶店も顔見知りのマスターもいないのですが、亡くなった叔母さんが喫茶店を経営していたことを思い出しました。
その喫茶店は、住宅地の中にある自宅の一角に設けられたもので、こんなところにお客さん来るのかと思っていたのですが、地域の方々や近くにある学校の教員や関係者が集う場所としてそれなりにやっていけたそうです。(自宅の一角だったので家賃の心配がなかったというのも大きいと思いますが…)地域には馴染んでいたようで、叔母さんが亡くなる前日まで、かなり長い間営業を続けていました。お洒落でも綺麗でもないお店でしたが、そこに集う人たちにとっては、落ち着くことができる、“サードプレイス”となっていたようです。

地域の中に気軽に集まって交流できる場所があると、生活を豊かにしてくれるとともに、地域への愛着が増すきっかけにもなると思います。みなさんも身近にある喫茶店をもう一度見直してみてはいかがでしょうか?また、喫茶店だけが“サードプレイス”という訳ではありません。地域に関わりのある人たちが、いつでも気軽に集まれるような場所を自分たちでつくるのも良いかもしれません。今回の御堂筋Talkin’About inアイ・スポット「考・喫茶店」に参加してそんなことを感じました。

前述の通り、御堂筋Talkin’Aboutには様々な方々が参加されており、人と人を繋げるサロンとしての魅力も十分に発揮されています。みなさんもぜひご参加下さい。

次回の御堂筋Talkin’About in アイ・スポットは「大阪古地図探訪」をテーマにして、12月21日(水)に開催される予定です。詳細につきましてはわかり次第このブログでもご案内いたします。

なお、10月26日(水)に行われた御堂筋Talkin’About in アイ・スポット「スポーツによる地域活性化」の様子もこのブログにて紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。


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