小説の物置

のんびり屋でカントリー好きという管理人が色々綴っているブログです。

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2018年12月04日 | 記憶の断片
 
 彼と初めて一緒に帰った日。

 あの日は、暑かった…と思う。今からもうだいぶ前のコトだから。
目一杯部活をやってきた後だったから、私は汗だくだった。
なのに、彼は全然汗をかいていなかった。それが不思議だった。

 学校から家まで並んで歩いた彼の横顔は、爽やかな清流みたいな、綺麗な表情だったから。
ああ、ヒトってこんな綺麗な表情ができるんだな、って思った。
 

 私は彼を知らなかった。
幼い頃から、幼稚園、小学校、そして中学までずっと同じだったのに。 
ほんの欠片ほども、彼のことなんて興味がなかった。

だけど、彼がそんなに綺麗な表情をするから 
 

――彼を、知りたい。

と、思った。

 
 だけど、それは

私が、苦しみ、嘆き、狂い、心を失う運命の、始まりだった。

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