ちょっとそこまで。

どこいくの?・・・ちょっとそこまで。
             君もいく?

冷たい手の行方は雪の中。

2010-01-31 22:00:00 | 翔太×爽子
お久しぶりです。
放置スミマセン・・・・。
いまさらですが、あけましておめでとうございます。
今年もひっそりと運営していこうと思っています。
どうぞ今年もよろしくお願いします!

久しぶりの更新は・・・・
以前書きためていたネタの中から引っ張り出してきたものを完成させたものです。

ちょっと原作とはずれがありますのでご注意ください。







:::



冷 た い 手 の 行 方 は の 中 。





何度、時を戻しても。
何度、現実なのだと言い聞かせても。



本当に夢のような。



そんな念願の叶った日々。



数日前。


顔を赤く染め上げた君が一生懸命に伝えてくれた愛の言葉。




今も耳に木霊する。



思い出すと顔が熱くなって。
口が緩んでしまう。



君の愛の言葉にただ、ただ。



うなずく、俺。




思いもしなかったその幸せに何も口にできなかった。



伝えたい気持ちは山程あるというのに。



まだ何も返せてない俺。





隣を歩く君にそっと目を向ける。



バチッ!



「「わっ!」」



驚いた眼と視線がぶつかってこちらまで驚いてしまう。




「ごごごごごめんなさい。こっち向くと思っていなかったら・・・・。」



しゅうーーーと音をたてて顔を隠す君。



俺の“彼女”。


黒沼爽子。


隠れきれなかった耳朶が赤い。



「・・・・・・・っ。」



まただ。



そんな黒沼の姿を見て。


かわいい!

今すぐにでも抱きしめたい。

そんな感情が脳内にあふれ出てくるのに。


何一つ言葉に代えることができない。



何度も頭の中で、君にこの想い全て伝えられたら・・・とシュミレーションしてきたのに。

いざとなると簡単にはいかない。



君といるこの時間、何一つ無駄にしたくないのに。




そばにいれる。



そのたった一つの特権で今はいっぱいいっぱいな俺がいる。




そんなんじゃまだまだ足りないくせに。





「きょっ今日は・・・・・あっ暑いね。」



君は俯いてあちらを向いて必死な言い訳。



思わず笑ってしまう。



「・・・・そうだね。久々に雪がつもってるけど。」

「・・・・っ!?」



そう。


昨晩は久々の大雪で、あたり一面雪景色。


放課後になって少しだけ薄暗い空の下で沈黙を守って眠る雪たちが微かな光を浴びてキラキラと輝いている。


当然、気温は氷点下。


暑いという表現は果たして正しいものなのか。


クスクス笑う俺に更に耳朶を赤くしていく黒沼。



「・・・・でも、俺もちょっと暑い・・・かな。」



君といることで心拍数は上がって体温上昇。
今だって、軽く手が汗ばんでる。


気付いてないかな?


でも寒さを忘れられるんだから得かもしれない。


「ね、黒沼。」


「え?」


ポケットに閉まっていた右手をそっと出す。
一気に冷たい冷気が手を包む。


「火照った手、少し冷やそうか?」



そう言って黒沼の左手のそばに右手を差し出した。

そんなこといって自分の手だってまだちょっと温い。


でも理由なんてなんだっていいじゃないか。



「あ・・・・・お願いします。」



俺の右手と顔を交互に見てからそっと・・・本当にそっと君の左手が伸びてきた。



あれ?



触れた掌は予想よりもはるかに冷たく驚く。


絶対に俺より熱いと思ったのに。




「黒沼・・・手冷たいね。」


「えっ・・・・あごめっごめんなさ・・・・」


黒沼が申し訳なさそうに手を離そうとしたのでぐっと力をいれてソレを防いだ。


「ー・・・・じゃなくて!悪い意味じゃなくて・・・・・あーーてか、理由なんてどうでもいいんだ。」


「?」


「俺が手つなぎたかっただけ!」




あぁ。


結局いっちゃってるよ。


でも、遠まわしなことする必要ないんだよな。







しばらく続く沈黙。
段々不安になってくる。




もしかして嫌だったのかな?



すると・・・




「・・・・・風早君の手はあったかいね・・・・。」



横を見ると、頬をピンクにした君がマフラーに口元を隠して小さく微笑んでいた。







君は何度僕を惑わすの?





ぎゅっと胸が締め付けられる。



つないだ手に力がこもる。





今俺の中にある全てがこの掌から全部君に届けばいいのに。




あーまた。

顔熱くなってきた。




その時。




「キャッ!」


「ー危ない!」




バフッ




しんとする世界。


目を開くと曇り空が出迎えてくれた。




雪に足をすべらせた黒沼を庇おうと手をのばしたけれど慣れない雪の足場で同じく足をすべらせて一緒になって倒れこんでしまった。



「ー・・・・黒沼平気?」


雪がつもってくれていたおかげで大きな衝撃はなく柔らかい感触の中に埋もれた俺たち。



俺の胸元で心配そうな顔で見てる黒沼。



近っ!!





「ごめんなさい!!だっ大丈夫?つっ冷たいよね。」



「あー・・・火照ってたからちょうどいいや。」



「え?風早く・・・・・?」




あまりの近さに。

君の温もりに。

感触に。


そう簡単には君を離せないよ。




俺は両手を君の背に回して抱きしめた。




「あっあの・・・かぜはやくん?」



がばっ


黒沼を抱きしめたままゆっくりと上半身を起き上げる。



「もーちょっとだけこうさせて?」



「・・・・・・・・。」




ドクンドクン。




黒沼の心臓の音がする。


ちょっと速い。


ドキドキしてるのかな?



俺の音も聞こえてるかな?




そんなこと考えてるとおそるおそる俺の背中に黒沼の手が回って。




ちょっと驚く。




やっぱり、夢みたいだ。




「・・・・黒沼?」




そっと呼ぶ。




むくっと胸元で顔が動いて見上げる目と目が合う。














「・・・・・好きだよ。」







ボッと赤くなる黒沼。





かわいい。


本当にかわいい。



ていうか・・・・



愛しい。




「へへ。」


思わず笑ってしまった。





だって、幸せすぎるんだよ。



雪の中静かに重なる二人の影が綺麗に広がる白に映る。




「・・・・黒沼の手は冷たいから・・・・心があったかいんだ。」



子どもの頃聞いたことのある言い伝え。


あながち嘘ではなさそうだ。




だって、君の心の温かさは十分すぎるほど知っているんだから。






「・・・・風早君の手は温かくて気持ちいいけれど・・・・温かい手は?」




確かに。


温かい手は・・・・ただ反対を意味する?


そんなわけないじゃないか。



俺の手があったかいのは・・・・。





「黒沼の手が凍えそうな時俺が温めてあげられるでしょ?」






「俺の手は黒沼の手のためにあるんだよ。」








また、赤くなった。





けれど、やっぱりてのひらはまだ冷たいみたい。





だからもう少しだけ温めてあげようかな。





雪の冷たさで少しだけリンクする現実と俺。




さぁ。



これからどうやって君に伝えきれなかった想いを届けようか。









おわり。



:::



あとがき。



くっさーーーーい。



なんだこれ。



でもこんなクサイ、王道的なお話が書いてみたい時期があったようです。

なんとか世にだせてよかったです。


あなたの手は冷たいですか?温かいですか?



でもどっちでもいいんです。



必ずその手は誰かのためにあるんですから。




ちか子




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2 コメント

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Unknown (まー)
2010-02-05 00:42:23
はじめまして。
ちか子さまの小説、だいすきです!
文章表現がすごくお上手で、毎回、ひとつひとつのお話がだいすきになります。
Don't touch a babyの続きが楽しみです^^!
 (らら)
2010-02-09 22:22:27
読んでてニヤニヤして
しまいました(○´艸`)
これからも
頑張って下さい♪