実家へ戻り
玄関のインターホンを
恐る恐る押すのは
まだ慣れず
父が応答してくれる声には
ご機嫌で
ワタシ達をほっとさせた
家に入ると
女性と女性の長男、次女が出てきて
ワタシを紹介された
「このおんなが、おとさんのーむすめだー」
このおんな？っ、て
この紹介の仕方は
この後もずっとだった
父が何度指摘をしても
ワタシは女性には
「このおんな」だったから
気にしても仕方ないけど
ずっと気に入らなかった
話は戻り
初めて会った長男は日本語は少し分かり
次女は全くわからず
3人は、
家の中を見てまわりながら
母国の言葉で話をする
家具をみたり、
置き物や壁に掛けられた絵画をみて
あれこれ話す様子をみて
実家が売却でも
されやしないかと
少しまた
怖かった
父は
この長男と次女から
「おとさん、おとさん」
と
そばに寄られるわけだから
嬉しくないわけない
それに
長男は物腰が柔らかく
人当たりもよさげで
女性の息子にしては
感じがいい
「わたしの、おかあさんは、苦労を沢山していますから、幸せにしてあげてください」
と
父にもワタシにも頭を下げる
孝行息子
次女も一緒に頭を下げる
仲の良い兄妹で
その母である
女性が
ただ、日本の常識を知らないだけで
悪い人間ではないのかも
と思えてもくるので
混乱しっぱなしなまま
つづく
