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オットテール

2016年11月03日 | 音楽で考えた
 リコーダーでは有名なジャック・オットテール(・ロマン)(1674-1763)の「フルート、リコーダー、オーボエの原理」("Principes de la flute traversiere, ou flute d'Allemagne. de la flute a bec, ou flute douce, et du haut-bois" 1707)の英訳版が我が家の本棚でひっそりとたたずんでいる。
 フルートは当然、トラヴェルソのことである。当時の3種の管楽器の演奏理論がまとめられた貴重な刊本であるが、著者がトラヴェルソ奏者だったので、本文でリコーダーが占める割合はそう多くはない。

 著者の氏名は、今はオトテールと表記するようだが、当時の私はフランス語の発音がまったく分らず、ホッテッテレなどとドイツ語風読みをしていた(笑)。「オットテールじゃないのか」と仲間の間で噂されるようになったのはだいぶ経ってからだ。まだ、縦笛でなくリコーダーという呼び方が珍しく、さらにブロックフレーテとも言うと聞いて素直に感心していた時代である。フリュート・ア・ベックとなると、もうよく分らない(笑)という文化的障壁があったものである。

 この本については、健気に勉強しようとでも思ったのか、銀座のヤマハに出向いて買ったのだろう、と推定する他はないほど忘却が進んでいる。ジャケットにあしらわれた両手とリコーダーの絵は特に有名で、よく引用される。例えば、多田逸郎著『リコーダーの奏法』(1969)には「重要な文献」として紹介され、この図も掲載されている。確か、Tシャツも売っていたはずである。

 わざわざ購入するほどの当時の意欲が偲ばれるが、残念ながら、この本が役に立ったという記憶はない(笑)。本棚の片隅で、日に焼け、埃を被ったそれは「個人遺産」というべきか。若い時代の思い出の本で、捨てられない。

 Jacques Hotteterre le Romain, tr. ed. by David Lasocki: Principles of the flute, recorder & oboe. London, Barrie & Rockliff, The Cresset Press, 1968.


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