マチルダとの出会い、それは士官学校が最初の出会いだった。
士官学校で彼女を見た時、現在の2人の事はさすがに想像していなかった。
士官学校の食堂で彼女の背後の席に座ったのが最初だったと記憶している。
お互いに「最初に話したのはいつだっけ?」と言っても意見が違うので、
それ以来その話は避けているが私の記憶は「食堂」である。
仮にこれをマチルダが見れば「違うでしょ?最初に話した場所はそこじゃないわ」と強く言われるだろう。
聡明で美しく、凛とした雰囲気。あれだけの女性を他が放って置かない。
が、彼女のあのキリっとした物腰や話し方で腰がひけてしまう男が多かった。
ある日、たまたま彼女のそばに座っていた。
当然そこに彼女がいる事はわかった上で、だ。
当時の私に出来る事はそんな程度である。今思えば子供じみていると笑ってしまう。
そこで軽く話した事がきっかけで、顔を合わせれば少し話せる仲になっていた。
同期の中には「彼女は無理だよ。諦めな」と言い放つ者が圧倒的だった。
元々「楽天的」であり、なおかつ自分の信念を曲げない「頑固者」と揶揄されている自分であるので、
周囲の話など取り立てて気にもせずに彼女と接していた。
ある日の食堂で彼女と一緒になった。
翌週、部隊配属が決まっている私は何気に切り出した。
「来週、いよいよここを出る事になったよ」
「えっ?そうなのですか?どちらへ?」
マチルダがこちらの予想通り驚いてくれた。
これに満足しつつ
「ジャブロー、南米の」
「あぁ...例の作戦ですか?」
「例の?あはは、良くご存知で。」
「同期のウェイブ(女性兵)間でも噂になってますよ。」
「最高機密事項も士官学校で噂になってしまってるようでは、ジオンにもすぐに嗅ぎ付けられるな」(苦笑)
正直困ってしまう。
私でさえジャブローへの配属決定時に初めて知った機密であるのに、彼女たちにとっては「既知」の事実であるのだ。
女の情報網は恐い。
いや、女だと思って油断して口を滑らせる輩が多いのだろう。
「ですね。それはそうとどのような部隊へ?」
「補給部隊です。最高機密に関する準備です」
「補給、ですか?」
マチルダに意外な顔をされたので、間髪入れず補足したくなった。
「希望したんですよ」
「希望してまで補給部隊に?なぜ?てっきり艦艇に乗艦するのかと...」
彼女はさらに(理解しがたい)というような少し困ったような表情になった。
滅多とそういう顔を見せ無いので、思わず見とれそうになった。
「戦艦に乗って宇宙(そら)へ上がるのも悪くなかったけど、補給って部隊にこだわりがあってね」
「こだわり、ですか?」
少し首をかしげながらも身を乗り出すあたり、彼女の何事へも探究心を忘れない性格が出ているとあらためて思う。
「ええ。破壊ばかりの戦争の中で少しでも新しいものを生み出したい、そんな気持ちですよ。」
自分では少し「キザ」な言い方がったか?と思ったが、意外と自然に言葉が出た。
「ステキですね、それ。破壊の中で生み出す仕事、か...」
「マチルダ曹長もどうですか?希望してみたら」
何気に誘っている自分が少し恥ずかしくもあった。
「そうですね。ウッディ上級軍曹、あっ失礼、もう少尉殿でしたね。
先程のお考え、非常に感銘を受けました。本気で考えます。」
「うれしいなぁ~、君にそう言ってもらえると。」
「ご冗談を...」彼女は涼しく笑う。
「本気だっ!本気で言ってるんだよ!」
内心、しまった!と思ってしまうほどムキになってしまった。少し後悔したがもう遅い。
案の定彼女は少し驚きながら、
「あら、少尉何をそんなにムキに?」
何となく「不敵」とも思える笑みと共に問い掛ける。
「いや、そのっ、何だ...ぜ、ぜひ君と仕事がしたいと...」
「フフフ、ええいつかその時が来ればご指導、お願い致します」
彼女の方がまるで大人だ。
にこやかな笑顔でそう言うと席を立ち、敬礼して去って行った...。
士官学校で彼女を見た時、現在の2人の事はさすがに想像していなかった。
士官学校の食堂で彼女の背後の席に座ったのが最初だったと記憶している。
お互いに「最初に話したのはいつだっけ?」と言っても意見が違うので、
それ以来その話は避けているが私の記憶は「食堂」である。
仮にこれをマチルダが見れば「違うでしょ?最初に話した場所はそこじゃないわ」と強く言われるだろう。
聡明で美しく、凛とした雰囲気。あれだけの女性を他が放って置かない。
が、彼女のあのキリっとした物腰や話し方で腰がひけてしまう男が多かった。
ある日、たまたま彼女のそばに座っていた。
当然そこに彼女がいる事はわかった上で、だ。
当時の私に出来る事はそんな程度である。今思えば子供じみていると笑ってしまう。
そこで軽く話した事がきっかけで、顔を合わせれば少し話せる仲になっていた。
同期の中には「彼女は無理だよ。諦めな」と言い放つ者が圧倒的だった。
元々「楽天的」であり、なおかつ自分の信念を曲げない「頑固者」と揶揄されている自分であるので、
周囲の話など取り立てて気にもせずに彼女と接していた。
ある日の食堂で彼女と一緒になった。
翌週、部隊配属が決まっている私は何気に切り出した。
「来週、いよいよここを出る事になったよ」
「えっ?そうなのですか?どちらへ?」
マチルダがこちらの予想通り驚いてくれた。
これに満足しつつ
「ジャブロー、南米の」
「あぁ...例の作戦ですか?」
「例の?あはは、良くご存知で。」
「同期のウェイブ(女性兵)間でも噂になってますよ。」
「最高機密事項も士官学校で噂になってしまってるようでは、ジオンにもすぐに嗅ぎ付けられるな」(苦笑)
正直困ってしまう。
私でさえジャブローへの配属決定時に初めて知った機密であるのに、彼女たちにとっては「既知」の事実であるのだ。
女の情報網は恐い。
いや、女だと思って油断して口を滑らせる輩が多いのだろう。
「ですね。それはそうとどのような部隊へ?」
「補給部隊です。最高機密に関する準備です」
「補給、ですか?」
マチルダに意外な顔をされたので、間髪入れず補足したくなった。
「希望したんですよ」
「希望してまで補給部隊に?なぜ?てっきり艦艇に乗艦するのかと...」
彼女はさらに(理解しがたい)というような少し困ったような表情になった。
滅多とそういう顔を見せ無いので、思わず見とれそうになった。
「戦艦に乗って宇宙(そら)へ上がるのも悪くなかったけど、補給って部隊にこだわりがあってね」
「こだわり、ですか?」
少し首をかしげながらも身を乗り出すあたり、彼女の何事へも探究心を忘れない性格が出ているとあらためて思う。
「ええ。破壊ばかりの戦争の中で少しでも新しいものを生み出したい、そんな気持ちですよ。」
自分では少し「キザ」な言い方がったか?と思ったが、意外と自然に言葉が出た。
「ステキですね、それ。破壊の中で生み出す仕事、か...」
「マチルダ曹長もどうですか?希望してみたら」
何気に誘っている自分が少し恥ずかしくもあった。
「そうですね。ウッディ上級軍曹、あっ失礼、もう少尉殿でしたね。
先程のお考え、非常に感銘を受けました。本気で考えます。」
「うれしいなぁ~、君にそう言ってもらえると。」
「ご冗談を...」彼女は涼しく笑う。
「本気だっ!本気で言ってるんだよ!」
内心、しまった!と思ってしまうほどムキになってしまった。少し後悔したがもう遅い。
案の定彼女は少し驚きながら、
「あら、少尉何をそんなにムキに?」
何となく「不敵」とも思える笑みと共に問い掛ける。
「いや、そのっ、何だ...ぜ、ぜひ君と仕事がしたいと...」
「フフフ、ええいつかその時が来ればご指導、お願い致します」
彼女の方がまるで大人だ。
にこやかな笑顔でそう言うと席を立ち、敬礼して去って行った...。