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パソコンの埃飛ばしスプレーから、強力な温室効果ガスが・・

2006-03-01 16:36:47 | 温室効果ガス
 みなさんは「代替フロン」が非常に強力な温室効果ガスであることをご存知でしょうか? そして私たち自身、知らないうちにそれを使っていることを・・・。

例えばパソコンの埃を飛ばすためのスプレーを使ったことはありませんか? もしその缶に「HFC134a」という表示があったとしたら、それは「代替フロン」の一つで、二酸化炭素(CO2)に比べ1300倍もの温室効果を持っているガスを意味します※。そこでもしその500g缶を1本使いきったとした場合、CO2に換算するとなんと650kg(CO2換算)もの排出をしたことになります。この650kgというのは具体的には1世帯の2ヶ月分の排出量、あるいは冷蔵庫11年分、21型テレビだと22年分の排出量に相当します。さらに温暖化による海面上昇で、国が水没の危機にあるキリバスのひとりあたり排出量と比べると、この1缶でなんと2年分のCO2排出量になります。もしキリバスの人たちがこの事実を知ったとしたら・・・そう考えると、これは知らなかったでは済まされない問題ではないでしょうか。

 フロンは無色で人体への害が少なく、冷媒や断熱材などに適した便利で安価な人工化学物質です。しかし1980年代に入りその一部がオゾン層を破壊することがわかり、先進国では生産禁止、あるいはその多くが今後生産規制の対象となっています。そこでオゾン層を破壊しないということで登場したのが代替フロン類です。しかしフロンも含め、この代替フロン類は、上述のように非常に強力な温室効果ガスであることがわかってきました。例えば代替フロン類の中でも「HFC23」はCO2の1万倍以上もの温室効果を持っています。しかも日本の温室効果ガス排出量の約2%は代替フロン類です。

 代替フロン類は主に半導体などの製造や工業製品の洗浄などに使われているほか、私たちの身の回りではエアコンや冷蔵庫などの「冷媒」や建物の「断熱材」として使われています。そしてこれらはいずれも製造後、長い年月を経て徐々に排出されます。日本では現在、冷媒フロンは廃棄の際に回収が義務付けられていますが、完全回収は技術的にも不可能であり、やはり今後は代替フロンからの完全脱却を考えた脱フロン化に向けての取組みが必要であると考えられます。

 私たちも知らないうちに代替フロンを使った断熱材の家に住み、機器を使っていることに気付くだけでなく、スプレーはもちろん、冷蔵庫、断熱材などについてノンフロン製品があればそれらを確実に選び、またもっと政府の対策や業界の削減目標に目を向けて、声を上げていかなければならないのではないでしょうか。


※最近CO2の140倍の温室効果をもつHFC152aというガスを使ったスプレーが売られ、なぜか「グリーン購入」指定になっています。HFC134aを使う製品よりはましですが、それでも1缶使えばそれだけで冷蔵庫なら1年、テレビなら2年分の消費電力を発電するのに相当する排出量になります。

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