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チャンドリ・ブダ招聘公演実行委員会

バリ島の歌舞劇「アルジャ」役者の華ニョマン・チャンドリさんと、スカワティ村ガムランの我らがボス・ブダさん公演ご案内!

公演予定

チャンドリ+ブダ招聘公演

★<踊る声、歌うガムラン>公演
◆9/11(日)17:30開演 浅草:アサヒ・アートスクエア(アサヒ・アートスクエア・協力事業)前売3,000円
◎公演終了しました。多数のご来場ありがとうございました。

◆9/18(日)17:30開演 名古屋:千種文化小劇場”ちくさ座”前売り3,000円
◎公演終了しました。多数のご来場ありがとうございました。
☆出演:ニ・ニョマン・チャンドリ+イ・クトゥット・ブダ・アストラ  withサンディア・ムルティ+林宏子+芳野未央+塩谷智砂+菅原香織+ナビィ+小原妙子
☆日本人のガムラン演奏家+バリ舞踊家と来日するバリの音楽家チャンドリ+ブダによるコラボ公演です
チラシです!ここをクリックしてください→オモテウラ、です。

★レクチャー&デモンストレーション「変幻自在:声と踊りで演じ分けるバリの歌芝居アルジャの表現世界」
◆9/13(火)19:30開演 荻窪:杉並公会堂小ホール(レクチャー&デモンストレーション)前売り2,500円
◎公演終了しました。多数のご来場ありがとうございました。
☆出演:チャンドリ+ブダ+サンディア・ムルティ+イ・ニョマン・スダルモ(友情出演)
☆チャンドリが一人で、アルジャに登場する10の役柄を演じ分けます。バリの演劇技法に興味のある方、必見。
チラシはここをクリックしてください→オモテウラ、です。

★沖縄公演:「ガムランとバリ舞踊公演~音と舞を紡ぐ歌」
◎公演終了しました。多数のご来場ありがとうございました。
◆9/23(金・祝) 浦添市てだこホール 前売り1,500円
☆出演:チャンドリ+ブダ with マタハリ・トゥルビット+クンバン・マス
☆沖縄の日本人中心のガムラングループとの共演です
チケット情報はこちらをご覧ください。
過去の記事(沖縄チラシ)
*この公演はアサヒビール芸術文化事業団の2011年度助成事業であり、インドネシア大使館の後援を受けています。

ブダさんはこんな人

2011年07月11日 | ガムラン・バテル

来日するイ・クトゥット・ブダさんは、伝統的な影絵芝居(ワヤン・クリット)の村・スカワティの影絵芝居一族に生まれた音楽家。ここの村は影絵人形遣い(ダラン)、人形製作者、伴奏音楽のグンデル演奏者などがぞろぞろいるところで、そして皆、縁戚・親戚関係にあるという濃ゆい村である。当然踊り手や普通のガムラン奏者もたくさんいるし、文学や声楽に強い人もいる。しかし一家のアイデンティティーは何と言っても影絵芝居なのだ。

ブダさんはお父さんがグンデル演奏者、お兄さんは人形遣いである。そして同世代の男たちには演奏者・ダラン・舞踊家がざくざく、という家族の中で伝統芸能に浸るようにして育った。もちろんバリの代表的なガムランである大編成のゴング・クビャールや、行進の音楽・ブレガンジュールなんかもフツーにできますよ。でも、やっぱり彼が一番得意で、そして一番体の中にしみ込んでいる音楽は影絵の音楽グンデルとバテル。

バリでは力と技巧でガンガン押してくる太鼓奏者ならいっぱいいるけど、柔軟で繊細な音楽性のある太鼓奏者は多くない。彼の太鼓の演奏には影絵師の語りをささえ人形の動きに細やかに反応する、影絵音楽の柔らかさが流れている。私たちが、彼から学びたいと思っているのは、そんなしなやかな太鼓の演奏なのだ。

 


新着楽器!

2011年07月02日 | ガムラン・バテル

9月11日と18日の公演で使用する新しい楽器が到着!バリに行ってきた出演者のTさんが、ブダ親分から預かってきてくれた、グマナックgumanakという楽器。

金属の筒型になっていて、音の高さがちがう二つ一組。細い金属の棒で2度ずつ交互に叩くのが基本の演奏法で、チチカカ、チチカカ、チチカカと刻む。(仲間内ではチチカカと呼んでいました)

グマナックは基本的には古典舞踊劇ガンブーgambuhの中で用いられる楽器。私たちのメインの編成であるバテルやググンタンガンでは通常は使われないんだけど、今回は創作舞踊の作品で、ちょっと変則的な楽器構成の中で、この楽器を使ってみたいと思った(バテルとググンタンガンについては過去ログをご覧ください)。

で、3月にMがバリに行ったときに買おうとしたんだけど、意外と手に入りにくいことが判明。楽器職人がたくさんいるブラバトゥ村では、このグマナックを作れる唯一の職人が病気だといい、最近他の職人が作ったというグマナックは、形状も音色も、なんじゃこりゃという出来。Mの帰国後、ブダ親分がわざわざ20kmぐらい離れた別の村まで探しに行ってくれたのだった。

やってきたグマナックを皆で叩いてみる。何でこれを作るのがそんなに難しいのか、シロウトには分からず。なんかくいっと丸めてあるだけみたいに見えるんだけどなあ(ちなみにどういうわけか、私はこの形状を見ると京都のお菓子・ヤツハシのナマじゃないやつをイメージしてしまう。丁子の匂いのする、筒型に丸めたやつってなかったでしたっけ?)。ばちなんか、ただ釘を伸ばしたやつだし。

ちなみにメンバーの中には金属製造の仕事の経験者が約一名。日本製グマナックをバリに輸出しよう!(そんなにニーズがあるとも思えないけど)

 

 

 

 


凹型カジャール、凸型タオタオ

2011年05月17日 | ガムラン・バテル

バテルやググンタンガン編成の中で、一つ一つの楽器が何をやっているのか、客席からよく見えない、とお客さんによく言われます。アンサンブルがうまく一体になるように、私たち演奏者はぎゅっとスペースをつめて、お互いに近くに座るから、小型の楽器の手元がよく見えないのです。本当はいろいろすごいことや面白いことをやっているのに。

というわけで、今回はちょっとマニアックに、よく見えない楽器の説明をしたいと思います。

たとえばこの人。

真ん中におへそのようなくぼみがある小さな青銅のゴングはカジャールkajar。バテルやググンタンガンのほか、プレゴンガンと呼ばれるガムランの編成でも使われます。

おへその真ん中を叩くとちょっと硬いコンという音、外側の方を叩くとカーンとひびく音がします。この二つの音を使い分けながら、太鼓が演奏するリズム・パターンをまねして、シャープな金属音で囃したてるようなパート。このパートの人はたいてい太鼓も演奏できる人が多くて、ものすごい速さで、細かなリズムを即興的に叩き分けます。

この少年が叩いているのは、タオタオtawak-tawakという楽器。こっちは真ん中のおへそ部分が凸型になっています。プンプンプンと大きな音が出ます。歩きながら演奏するブレガンジュールという編成ではこの楽器がビートを刻む係。遠くまでよく響く丸い音で、合奏のまとめ役です。サンディア・ムルティでは、バテルの時のビート係にタオタオを使っています。

このタオタオですが、アルジャの伴奏に使うググンタンガン編成では、役割が変わります。ググンタンガンには竹の楽器グンタン(詳しくは一つ前のログをご覧ください)という<ビート係>がいるので、タオタオは、ゴン・プルとセットで旋律の周期を表す役割をしています。

よく似た形の楽器でも、演奏中やっていることがちがったり、同じ楽器でも編成によって役割が違ったり。バリのガムランの編成と楽器は本当に多種多様。

 

 


ググンタンガンチームのアイドル

2011年05月15日 | ガムラン・バテル

私たちのプロフィール写真にも使っている、この天女。私たちググンタンガン演奏部のアイドルなのですが、実は楽器です。背中側をみるとわかるんですが、小さなゴング(クレナン)がのっかっています。

実は数年前からググンタンガンはバリ島では静かなブーム。あちこちの村で演奏グループが作られました。本来は歌芝居であるアルジャの歌だけを、儀礼歌のように歌うアルジャ・ヌガ(座ってやるアルジャ)が流行して、その伴奏に使うググンタンガンの演奏は、少人数で楽器も比較的シンプルで安価なことから、大編成のガムランよりは気軽に、やりたい人がグループを結成できました。そんな中でググンタンガンの彫刻や装飾も、だんだんデコラティヴになってきたみたいです。

私たちのググンタンガンの先生であるTさんは、実は彫刻で生計を立てています(ガムランがものすごくうまくても、それが職業だとは限らないのがバリです。逆に言うと、他に仕事がなくてガムランが職業に近くても、うまいとは限らない)。この先生が作ってくれたのが、この天女。クレナンは高くてすんだ音色。羽の生えた天女のイメージは、宙を舞う音がすがたをあらわしたところなんだと思います。

9月の公演で、この美人の天女もデビュー。公演で皆様にお会いするのを楽しみにしています。

 

 

 


ググンタンガンです、よろしく

2011年05月13日 | ガムラン・バテル

今回の公演ではググンタンガンという小編成のガムランが初登場します。ググンタンガンは、歌芝居アルジャや群舞+合唱のジャンゲルなど、歌を使った芸能の伴奏に用いられる小編成のガムラン。バテルとよく似ているのだけれど、鍵盤楽器のグンデルを使わず、竹笛スリンがメロディを担当して活躍します。

ググンタンガンは、声をサポートするだけあって、いろいろあるバリの伝統的な器楽合奏(ガムラン)の中でも、とくに響きが繊細。大きな音のするゴングや金属の楽器は少ししかなくて、竹でできた楽器を使い、太鼓、ゴング、シンバル類も小さめのものを使います。

たとえばビートを刻んでテンポをキープするのは、大編成のガムランだと金属のお鍋型ゴングのカジャールとかタオタオ。でもググンタンガンでは竹の楽器を使います。竹の筒の上に、細い竹のバーを乗せて、釘で止めたような形のこの楽器をグンタンguntangといって、ググンタンガンの編成の名前はここから来ています。叩くとぽくぽくと柔らかいけど通る音色がします。

そして大きな丸いゴングの代わりに、小さな鍵盤型の楽器ゴン・プルgong puluを使います。鉄の鍵盤が二枚、木の箱の上に釣ってある形の楽器で、叩くとドラ型ゴングとよく似たぶーんと低い音が響きます。ゴン・プルはゴングの形ではないけれど、ゴングと同じ役割の楽器。楽器にお供え物をする時も、合奏全体の代表としてゴン・プルにお供えします。(下の写真の右下にあるのがゴン・プルです)