王様の宝箱

とくに名所もないような東京の小さい街（北新宿とか北池袋、北綾瀬等の「北」が付くところが多い）を、ただ行き当たりばったりに散策する深夜番組モヤモヤさまぁ～ず２（テレビ東京系）
あの番組内で何度か登場した「夢の1000円自動販売機」
仕事場近くにこの自販機があって、そこを通るたび「やってみよう」「でもな…」を繰り返し棚上げにしてるうちに、いつの間にか撤去されていて、悲しいやらホッとするやらしていたら、つい最近都内某所で再会。


自販機にはPSPやら任天堂DSとかデジカメ、グッチの指輪なんかの写真を貼りまくり、
「人気家電やブランドをGET!」と射幸心を煽っている。
これらが出てきたらたしかに1000円は安い。
しかし、ボクだって齢４０のすれっからし。
そんなものがなかなか出てこないことはちゃんとわかっている。
でも、ここで再会したのも何かの縁。ということにして、やってみた。
1000円札を投入。
いくつかボタンが並んでいて適当に押してみる。
緊張の瞬間…というほどでもない。

カタン…

取り出し口のフタの奥から、なんだか頼りなさすぎる軽い音。
PSPとかデジカメが落ちた音ではないと、その時点で感づいたが
フタを押して、商品を取り出す。
なにこれ？？
ヴィックス・ドロップのような大きさの箱。



計測メジャーに、ライトとドライバーが付いているキーホルダー。
実用的なようだし、そうでもないような気がしなくもない。
メジャーはたった１ｍだし、ライトは光が小さい。
ドライバーは短い。これでどんなネジを回すのか。

メジャーにはストッパーが付いています

というのが、ことさら強調されて書かれていた。
そんなに大事なことだろうかストッパー。１mでしょう？
フリマで売ったら50円～100円といところかコレ。

やっぱりこんなものかと自戒するも、財布から再び1000円札を出す自分。
これでは帰れない…
と、中山競馬場メインレース後の、耳に50円入れたオッサンのような心境に。

カタン

さっきの「カタン」より少しだけ「タン」にアクセントがあった。
心もとない、希望の“タン”

何も書かれていない15cm大の白い箱。
少しドキドキするが、案外重みがない。
「目方でドン」ならいくら乗せても変化ないだろう。
開けてみた。


おでんと、チゲとグリーンカレーのスープ3点セット。
試供品かよ！
と思ったら、「食べれません！」という表示あり。
じゃあどうすんのよこれ？
ん？　よく見たら入浴剤だった。どうでもいいサプライズだ。
「匂いはラベンダー」って意味不明。
これで1000円。業者の粗利率は９０％ぐらいか。
夢の1000円自動販売機の闇に飲み込まれていくのを感じ始めていた。

フラフラとみたたび1000円札を投入。
ボクは別にPSPやデジカメが欲しいわけではないのだ。
1000円の価値は、お金を入れて箱を開けるまでに集約されているのだ。

…

音がない。
商品が無くなって1000円だけ飲み込まれたか。
フタを開けてみる。
あった。

ちいちゃい（涙）

白い箱を開ける。
ん！？
どうやら貴金属っぽい。
もしや、ついにグッチ！？

英語の表記アリ！
ブランド品の予感。
これはペンダント時計か！

ANI○CE（一部伏字）
ついに、ついに出たアニ○ス！！

…ってなんのブランド？！（後ろに“b"は付いていない）
よくみたら、「生活防水」の文字も。バッチシ日本産。
これもいらねえなあ。
でも、ひょっとしてこれは当たりの部類なのか。
とうとう3000円の出費。
ホテルのランチバイキングに行けたな。

後日ネットで調べたら、PSP等の高額商品が出る確率は1000回に1回のようだ。
100万円投資でPSPが1台もらえる。
って、ジンバブエじゃないんだから！
それにしても、残りの99万9千円分が、
グリーンカレーの入浴剤とかANI○CEかと思うとゾッとする。
だけど、これ飲み屋のそばに置いてたら酩酊した中川大臣みたいな人が、我を忘れて大量に1000円投入しそうだ。

自動販売機の取り出し口のところには、こう書かれている。
「王様の宝箱からあなたの夢を探してください」と…。



希望とは、輝く太陽の光を受けながら出かけて、雨に濡れながら帰ることである。　byルナ―ル