保護部屋の朝は賑やか。ウォル&ふわり部屋 → ぽぽ&ゴロー部屋 → ニッキ&うっしー&お嬢部屋 の順にトイレ掃除をし、
朝ごはんを分けていく。
ドライフード昼夜は出したままなので、基本飢えてることはないはずなのだけどなんだか大騒ぎなんだよね(笑)
なかでも一番目立つのがニッキさん。こんな風にラティスドアから顔を出して催促する。
保護部屋の子たちは、意外に目が届きにくかったりする。
だから敢えて朝晩のトイレ掃除時には、どの子にも少しずつ個別にごちそうドライを与え、食欲や動きなどをチェックするように
している。
それは5月半ばのある朝だった。いつものように保護部屋へ向かったがなんだか足りない…変だぞ、ネコが足りない。
ラティスから顔を出してる猫がいない。「ニッキさん?」と呼ぶとどうやらベッドからのっそり出てきたようだった。
なんだ、寝坊か?と思ったが、ごちそうドライを前にしても考え込むばかりで口をつけない。部屋を見渡すと何カ所か嘔吐跡があった。
シェアルームの不便なところは、具合の悪い子を確定するのが難しいこと…だが、今回は100%体調不良なのはニッキさんだと判断した。
熱はない。下痢の痕跡もなし。腹水の貯留もなさそう。ニッキは結局何も口にせずベッドに戻って丸くなってしまった。
原因がわからないがしばらく様子をみることにして出勤。しかし夜になっても状況は変わらず…というかむしろ悪くなっていた。
完全に食欲廃絶し、水様物の嘔吐がそこかしこに。
とりあえず翌朝一番で受診。
血液検査では軽度の貧血が見られたけれど、それ以外には大きな問題なし。FIV(+)Felv(-)外生活中、ダブルキャリアだった
かるびさんに襲われまくっていたからFelvは高確率で(+)と思っていたけど意外にも(-)で驚いた。
ただ貧血もあるしFIVの経時的進行がベースにあるのかもね…と制吐剤を打ち、輸液をして帰宅。
…が、キャリーから出した直後から連続嘔吐。なにいったい?なんで嘔吐が止まらない?
接触したものはないはずだけれど何かの感染症?それとも中毒?
とにかく安静と安全確保のためケージレストし夜を越すことに。さすがに制吐剤が効いたのか、回数は少し減ったものの嘔吐自体は持続。
そして変わらず下からは何も出ず…これって症状的に疑われるのはまずイレウスか…。
ネコが体調不良で…と、仕事を切り上げ猛ダッシュで帰宅。吐きまくっているニッキを抱えて再診。
腹部X-Pでは腸内ガスの貯留がみられたが、明らかな通過障害等が起きている所見はなかった。じゃあなんなんだ?
実はもう一つ気になっている疾患があった。素人判断極まりないが。…が、偶然にもVETが口にした病名はまさにそれ。「膵炎かも」
大急ぎで採血し膵リパーゼ値を診る。初めて見たけどコンボテストみたいなキットなのねーそんでもってちょっと笑っちゃったのが
その判定の基準
【高値】ってwwwちょいとばかしざっくり杉ないか?爆
そしてニッキさんは…【高値】で膵炎ケテイ。
勉強不足であったが、ネコの膵炎は隠れた難病でネコの解剖学的特徴から三臓器炎という病態を引き起こしやすいこと、そのため
治療が難しく長期にわたること、また特異的な症状がないため(症状が多岐にわたる)発見が遅れ重症化しやすいことを恥ずかしながら
今更知り、とにかく驚き発見できたことにほっとした。
嘔吐が治まらないニッキさんの状態は正直けっこう悪く、脱水も皮下点滴ではもう追いつけないし、吐きまくっている状態では
投薬だってままならない。体重はもちろん激減。
通院のストレスと自宅での観察不足のリスクを考え、かわいそうだが入院・短期集中治療を選択した。
セレニアを注射後、嘔吐はなんとか治まり、持続点滴で脱水をガンガン補正、抗生剤も投与。3日目の夜VETから連絡が来た。
「吐かなくなったし、数値も正常範囲に戻った。でも全然食べない→それまずい。これはある意味賭けだけど…しろりんさん、
家で食べさせてくれないかな?」
そんなわけで診断から4日目ニッキさんを迎えにびよいんへ。
膵炎といえば、とにかく食止め その後は低脂肪食が基本だが、そもそもヒトと違いアルコール性や食事など原因のはっきりしない
ネコの膵炎の世界ではちょっと違うらしい。
ネコは飢餓時の脂肪代謝で肝臓に負担がかかり、(特に肥満のネコでは)肝リピドーシスを起こしやすい。これが起きるとかなり厄介。
なので、嘔吐が治まったらとにかく食べさせるという治療にシフトしているのだそうで、食欲が戻らないニッキさんは、膵炎脱しても
次の危険域に入っちゃったわけ。
そんなこんなで保護部屋に戻ったものの、安静にさせたいがケージレストでは啼いてしまって逆に興奮。状態観察しづらいこと
この上ないがストレスも与えたくなく…苦渋のケージフリー。空いたケージにうっしーが入り込む始末でwww
だが、仲間と一緒になり刺激をもらい、翌朝からシーバを少しずつ口にするようになった。そして帰宅して3日目の朝にはいつも通りに
ラティスから顔を出して待つようになった。
便が緩いので整腸剤と抗生剤と制吐剤を1日2回。散剤と錠剤。量も多いが確実に飲ませたい…思案の末、錠剤もつぶしてカプセル詰。
3Wの投薬で便性もようやく落ち着き、嘔吐もなく経過。そして先日無事完治に至った。
しかし…今回の療養でニッキさんには、オレのごちそうドライ=シーバと刷り込まれたようで…ダンナは某ホムセンでシーバトランク
なるものを購入したyo とんだおまけがついたもんだわ。
いやはや【膵炎】初めての体験。でも案外身近な病気。吐きやすい子って実は慢性的に炎症があるのかも。まさおもうっしーも
吐きがちな子なので、機会があったらチェックしてみようか…なんて最近ちょっと思っている。
ちなみに、「ねぇ…白いチンチラミックスの子いたよね?生きてる?」って猫友さんに最近聞かれたことがある…
左側のこの子↑ コードネーム「ふわり♀」隣は「ウォル♂」ふわりをめっちゃ可愛がってる
安心して。持ち上げるのが大変なくらい全然「ふわり」ぢゃないから。ただね…下僕が不精なもので…ビジュアル的に難ありww
…なので遠目な感じで、よろしく。「ぼろり」に改名したら…というアドバイス、結構真剣に考えている(笑)