「2083―ー欧州独立宣言」日本語版

グローバル極右界の「共産党宣言」、現代世界最大の奇書

2.103 民主主義を改造せよ(p746~)

2013-01-30 22:37:03 | 米国
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中国移民オーマイラス


 出典不明

 福祉厨も一票。納税者も一票。麻薬運搬人も一票。マザー・テレサも一票。中退者も一票。大学教授も一票。これが一人一票制だ。なぜ世上に害を与える者と立派な勤労英雄の票が同じなのだろうか?これをずっと自問してきた。
 言っておくが、チャーチルの金言を引くまでもなく、私は民主主義原理を肯定する。しかし、上の問題を考察しておかないと、ひいては民主主義の崩壊に繋がるだろう。こうした態度は冷戦で民主主義が大捷したというフランシス・フクヤマの「歴史の終わり」テーゼの信者たちには不可解かもしれないが。
 1900年、今日的意味で民主的といえる国家はごく少数だったし、今日でもその数は119国と62%に過ぎない。ブッシュはこの民主主義を普遍化しようとしている訳だが、一人一票制が当然視される今こそ一人一票制や民主主義についての熟慮が必要なのだ。
 当代の政治家は起業家と同じだ。起業家は市場調査を行って金銭を稼ぎ、政治家は有権者から票を稼ぐ。ここではそうした側面から政治家を「票業家」(votrepreneur)とも呼ぶ。票業家の行動は民主主義に以下のような瑕疵を齎している。

 1、福祉国家を生む民主主義
 市場調査を行った票業家はまず、所得分配が不均衡であることに気付かされる。そして、富者より圧倒的に数が多い貧者のために票業家たちは再分配を訴え、結果的に福祉国家と重税を招来する。ベンジャミン・フランクリンはこの事態を「民主主義とは2匹の狼と1匹の羊が昼食をかけて投票すること」と明晰に分析した。
 福祉国家は労働意欲と起業家の冒険心を低下させる。解雇規制と短時間制のせいで、フランスやドイツの失業率は10%を超えた。「僕に投票してくれたら勤勉納税者を活用して君達を怠けさせてあげるよ」と唱える票業家がこの戒禁を指摘することは決してない。そして票業家は貧者より票数の多い中産階級の方を向いて相互依存するようになり、「中庸政府」を顕現させることになる。
 その顔なき政府の副作用として、太古より続いてきた親子の絆が断ち切られ、家族が政府に依存するようになった。子供が年金基金の担保にならなくなったので出生率は下がり、欧州や日本ではその率が2.1を下回った。それなのに、「子供は老人を扶助すべし」と政府を通して要請されているのだ!
 ならば、仲買人的な官僚を政府機関から退任させてみたらどうだろう?中年の頃から子供に依存せねばならぬようにすれば、出生率も教育意欲も上がることだろう。1988年のエコノミスト誌の調査によれば、結婚して労働している米国貧民は1%もいない。古来の勤労観が求められているのだ。離婚が増えているのも国家福祉のせいだろう。
 票業家たちはまた、有権者が税金を嫌いながら福利を求めることを熟知しているので、減税を進める。そして、財政赤字と赤字国債を齎す。OECD加盟国では財政赤字の額が4%を超えているのだ。そのGDP比率は米国では5%、日本では6%を超えている。経済破綻への警鐘など気にせず、政治家たちは貨弊供給を増加させ、上価(インフレ)を巻き起こす。この矛盾が高金利と高失業率を引き起こして最終的に民主体制を崩壊させ、ヒトラーのような独裁者を誕生させる。
 
 2、民主主義の短期志向
 自由選挙での任期は4~5年なので、票業家たちは長期的には破滅的と知りつつも短期的には果実を齎す政策を推進する。そこに「痛み無くして成果無し」の精神はない。つまり、長期の痛みを無視するかのように短期の利益が優先されるのだ。その結果、税率も金利も上価率も歳出も次世代の負担などお構いなしに昂揚する。
 民主主義は短期志向のため、短期的利益を長期的損失(逆もまた真)より優先させてしまう。非民主的だった19世紀の欧州政府の方が20世紀の民主政府より経世的に良い業績を挙げているのは、彼ら君主や貴族が民心にも注意を払いつつ長期目標に集中できたからだ。税率も債務のGDP比率も19世紀の方がより低かった。
 王室が長期観点から決定を下し、民心がそれを監視するという仕組みが体制に均衡を齎し、サダムのような暴君の出現を防いできたのだ。
 
 3、民主主義の民衆分断作用
 票業家たちは選挙に勝つために、特定の社会部門のための公約を行うこともある。例えば、民族集団、低所得者層、高所得者層、世俗派、サヨク、保守、老人などの集団に向けて。この時、世上全体の統合ということは考慮されず、各集団は「俺ちん」精神の下で闘争する。票業者たちはこの闘争を鎮静化させるのでなく、むしろ高揚させる。
 これが紅世となって顕現することもある。例えばフランスでは今年、2件の暴動が生じた。一つは若年雇用者の解雇緩和に対するものだったが、もう一つは北アフリカの移民が起こした人種・宗教の蕃流騒擾だった。人種、言語、宗教の分断要素三兄弟が勢揃いすると、紅世は最悪の事態となる。民主主義の政治家はそれを扇動する。例えばヒトラーは不当に嫌ユダヤ流を昂揚させ、ティトー後の民主主義政治家たちは多民族国家ユーゴの各民族の王たろうとして畢竟、国を紅世化した。

 民主主義は上のような三大欠陥を抱えている。その性向はまだ当代西欧では内乱の事態を引き起こしてはいないが、将来は分からない。
 最も深刻になりそうなのは社会主義化するフランスだ。フランスでは人口の1割が人種も言語も宗教も異にするムスリムだ。米国での黒人と白人の対立は人種面だけだったが、フランスでは全てが対立している。フランス版のヒトラーが出現する日はそう遠くないかもしれない。
 欧州ムスリムは20年以内にシャリーア自治区を求めてくるだろう。そうすれば「古典派」欧州人は脅威を感じ、人種主義の烙刻を受けてでも、反動分子になろうとするだろう。思えばデンマーク預言者戯画騒擾の教訓は「暴力は報われる」ということだった。反移民勢力も暴力に奔れば、民主体制は民族衝突を抑えきれずに崩壊し、独裁統治が始まるだろう。
 
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