長尾雄史のパリで燃えてるか!!【出張裏報告】

今、サンマの塩焼きが食べたい。猛烈に。。。

聖なる心と俗なる肉体 -前編-

2005年07月12日 | パリでの日々
「私の内面には、太古ながらの暗い悪の力が存在する。それは人間的であり、かつ人間以前のものだ。同時に私のなかには、人間的であり、かつ人間以前の神の明るい力も存在する。かくして私の魂は、これら二つの軍勢が相対峙し、ぶつかりあう闘技場となった」。

とカザンザキスは『キリスト最後のこころみ』の序章にて、告白しています。
まあ、俺はカザンザキスのように信仰に厚くもないし、そこまで高尚でもないけど、常に葛藤を抱えている人間なので、非常に共感できてしまいます。

そして、そんな矛盾する人間の内面をもっとも体現している場所こそ、「カトリック系の聖堂とその周りの観光地」であるとも言えます。
特に、このモンマルトルは象徴的すぎる。



このモンマルトルの丘に建つ、美しい教会の名前は『サクレ・クール』。その意味は「聖なる心」。本当に象徴的な名前ですね。しかし、一歩、教会の外に出れば、ほら、この通り。



もう、信仰深い人たちの聖地ではなく、われわれ観光客の聖地。世界各国から観光客が集まり、カメラをパチリ。周りにはメリーゴーランドまであります。



とは言え、教会内の厳かな雰囲気に、異教徒(俺の守護神は「酒と絶望の神」バッコス様と、「旅の女神」様)も神妙な面もちで色々なことを考えます。大体、反省な訳だが、俺がここに来たのには理由があるのだ!!
ここ数年来、周りに起きたあまりにも薄汚くゴタゴタとした出来事から逃れようとして、美しい人を想うことにより、自分の心を美しく保とうとしていた俺でした。でもまあ、俺がそんな綺麗事を美しく全うできるはずもなく、だんだんと本末転倒に陥り、逆に、俺の「唯一にて最大の弱点」として自分を苛む結果となっていったのでした。わかちゃいるのに、やめないねぇ。俺も。(苦笑)

と言うことで、フランス出発前に豪快に自爆を果たした俺は、俺の唯一の弱点を砂にして風に葬るためにここに来たのでした。そして、この矛盾した場所は、矛盾だらけの俺の本懐を遂げるには思いもよらずにピッタリの場所。
「異教徒なのにゴメンよ。イエス様」と蝋燭に火を灯して燭台に置き、今回、迷惑かけた人にお詫びをし祝福を祈り、ついでに今まで迷惑かけた人すべて(女性のみ)にお詫びをし祝福を祈る。で、砂に換えてもらった弱点を、モンパルマスの丘の上から風に撒いて、俺の目的は達成。

「これこそ、俺の復活だ!!」

丘を下る途中、インチキ臭いセネガル人がニヤニヤと近寄って、ヒモを俺の小指にかけてブレスレットを作り始める。でも、「後で、高い金をふんだくろうとするんだろうな」と分かりながら、清い気分の俺は珍しく相手になってあげたのでした。



できあがったちゃっちい紐ブレスレットを見て、今日の証として10ユーロまでは出そうと心に決める。

ところが、インチキ黒人が請求してきた額はなんと50ユーロ。ふざけるな!!
「頼むから、清い心の今の俺を怒らせるなよ!!」と願いながらやりあい、何とか10ユーロで追っ払う。でも、最後にはちゃんと「有り難う、フレンド」と握手して別れるのが少しだけ微笑ましい。顔は思い切り不満げだったけど。(笑い)

かくして、無事に俗な心を取り戻した俺は、さらに下って俗な世界に帰還を果たしたのでした。

以下次号

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2 コメント

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ええーっ (道主)
2005-07-13 13:50:31
ええーっ、ただの紐でしょ~

それが10ユーロ~!!!???
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あの金は (長尾)
2005-07-13 16:32:45
「その金はお前にやるんじゃないぞ!!インチキ野郎。

その金は、俺の心を洗ってくれた神への浄財だ!!」

って、気持ちでした。
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