偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏231鷹取山(神奈川)

2009年12月27日 | 登山

鷹取山(たかとりやま) 結界石(けっかいせき)

231 【データ】鷹取山 139メートル▼25000地図 鎌倉▼最寄駅 JR横須賀線・東逗子駅、京浜急行逗子線・神武寺駅▼登山口 神奈川県逗子市沼間の東逗子駅▼石仏 鷹取山の西方の神武寺境内

23112312 【案内】東逗子駅から鷹取山へは、街中に立つ「天台宗 神武寺」の石碑に導かれて山道に入る。これから神武寺を経て鷹取山までは深い森の中の石畳のような道が続く。神武寺は天台宗の由緒ある寺、境内までの参道も砂岩を削ったり石段に細工したりの趣きのある道が続く。薬師如来を本尊とする本堂は扉が閉まっている。本堂の左手から鷹取山への道を登るとすぐ、左手斜面に「従是右奥之院 女人禁制」の結界石が立つ。結界石は一般人が仏道修行の地への立ち入りを禁止するもので、禅宗寺院の門前にある「不許葷酒入山門」が知られている。同じ趣旨で女性の立ち入りを禁止したのが「女人禁制」の結界石、「禁制塔」と呼ばれたりもする。とくに山岳修業においては女性に厳しく、登山を山麓や中腹までとした山が多い。その地に高野山の女人堂や立山の姥堂のように女人の参篭堂を建てる山もあった。神武寺の奥之院はこの結界石から先で、その中2313 2314 心は現在三等三角点が立つ134メートの無名峰あたりに違いない。この一帯の南面は傾斜がきつい谷になり、大岩などもあってかつては天台宗の修行地・奥之院にふさわしい地形であり、その一角の天然の岩屋に石仏が一体納められていた。両手で胸中央に宝珠をいだく菩薩である。しかし観音菩薩にこの像容の仏は見当たらないので、単に菩薩としておく。

2315 【独り言】ロッククライミングのゲレンデ・鷹取山には、目黒区に住んでいた40年ぐらい前に一度行ったことがあります。しかし、あまり登る気持ちになれなかた記憶があります。砂岩というもろそうな岩にはまったく魅力を感じなかったのが本音でした。その後千葉の八千代市に移りましたから行く機会はなく、今回は久々の鷹取山となりま2316 した。神武寺から先は気持ちの良い尾根道で、標高が低い割には高度感があるハイキングコースです。途中で鎖場の作業をしている逗子市の職員さんに出会いました。何でも「岩場に埋め込んだリングに通した鎖が、固定してないため動いて危ない」との苦情があったということで、針金で固定しているとのことでした。「山道は自然のままでいい」と思っている私からすれば、なんとも奇妙な成り行きでした。そして鷹取山のゲレンデですが、やはり登る気にはなれない岩でした。それは40年前とは違う年齢から2317 2318 くるものでした。最後に「昭和四十年頃に制作したもの」と案内にある弥勒菩薩の磨崖仏の前に立ちました。40年前から気になっていた石仏でした。足を交差した弥勒菩薩は日本では造られなかった姿。その磨崖仏は、仏像の源流、西域・シルクロードの弥勒菩薩でした。ただ砂岩の磨崖仏にとって40数年という年月は厳しいものだったのでしょう。すでに手足の指の風化がだいぶ進んでいました。

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