この話は、暮れも押し迫った12月27日、個展終了間際に、朝日新聞の夕刊に掲載された記事が発端になります。
見出しは《10人目の選手 絵でフル出場》、リードは〈ヤクルトの全試合を描く画家〉というものでした。
これは嬉しかった~ ちょっと報われたような気がしました。
この新聞、いま僕の手元には9部もあります。
販売所に買いに走って手にした2部と、販売員の方が「お祝いに!」とくれた3部、
記者の山本さんが送ってくれた4部です。
なぜ4部かっていうと、新聞って版数によって記事の大きさが違うんですって。
後になると他のニュースがプラスされて、僕の記事はだんだん小さくなってく…(汗)
つまりこの日、何か大きなニュースがあった場合、記事自体無くなってたってことで…
セーフ。
そんなわけで大きさの違う記事分を2部づつ送ってくれたのでした。
ありがたいです。ありがとうございます!
販売員の方も「親に送ってあげなよ」って言って3部つけてくれたのでした。ちゃんと送りました。
ありがとうございました!
で、これが会期を延長して開催していた「プロ野球ぬりえ2012~魔球の伝説~」展、最終日前日のこと。
そして翌28日の最終日。
「きのうの新聞を見て来ました」と、これまでになかなかお会いすることができなかったような、
特に年配の方々が多く来られて、興味深いお話をたくさん聞かせてもらうことができました。
その中のお一人に、元・毎日新聞の記者さんで、
『国鉄スワローズ1950-1964 400勝投手と愛すべき万年Bクラス球団』という本を上梓されている
堤哲さんがいらっしゃって、少々疲弊気味の僕に一縷の望みを繋いでくれたのです。
堤さん「スワローズのOB会はご存知ですか?…どうでしょう。行きませんか?」
僕「…えっ?僕が行けるような場なんですか?」
堤さん「それは分かりませんが、行かれる気がおありなら、こういう人がいる、と伝えてみますよ」
断る理由なんてなにもない。
「宜しくお願いします!」
大晦日、だったと思う。堤さんから電話があった。
「行ってもいいそうです。監督もいらっしゃるだろうし、作品を持って一緒に行きましょう!」
「え~!アワ、アワッ、ありがとうございますッ!」
今、僕が小川監督にお伝えしたいことは、ただひとつ。
「絵描き・ながさわたかひろに、監督の最終年を、“一緒に戦おう!”って言って下さい!」
OB会の当日、そう伝えると、OB会・元会長の佐々木重徳さんに怒られちゃって。
「何言ってんだよ!今年優勝して、また来年も監督やってもらわなきゃならんだろ!」
「あ、ごもっとも。そうでした…」と僕。
そして宴席から外れた別室で、僕と堤さんと佐々木さんと小川監督。
「プロ野球ぬりえ」を監督に見ていただくのは、これが初めての機会です。
監督「…分かりました。どこに書きましょうか」
僕「一番最後の試合、この画面に書いて下さい」
監督「いや、とんでもない!それはできない。作品を汚してしまう!」
と。小川監督ってそんな人なんですよね。
だからこそ、付いていこう、この人の元で一緒に戦いたいって、そう思える。
“ぬりえ”を入れていたファイルを指して、「ここではどうですか?」と監督。
「(ブルブルブル~)そ、そんなの。じゃっ、じゃ、作品の裏に!」…
「うん。はい、それならば」と監督。お持ちしたマッキー8色セットから “赤”をつまみ、
2013年 優勝 共に頑張ろう!! “ながさわ選手” 監督 小川淳司 2013.1.10
キュッキュッキューっと。
「良かったな~」と佐々木さん。
「やったね!やったね~!」と堤さん。
皆さん、ありがとうございます、ありがとうございます!(泣)
“自分は選手なんだ”という思いが、これまでの僕を支えてきました。
選手として描くのと、絵描きとして描くのは、全然違う。
2013年は、プロ野球選手としてではなく、絵描きとして〈プロ野球〉を描こうと思います。これは初めてのことです。
『新・プロ野球ぬりえ』、最後の聖戦!
12/28、奇しくも松井秀喜が現役引退を表明した日、僕も《選手》としての活動にピリオドを打ちました。
でも、監督に“ながさわ選手”って書いてもらっちゃったし、
どうしよう…
そして、もうひとつ。
スワローズの春季キャンプ地である沖縄県浦添市から、お声を掛けていただき、
今月30日から沖縄入りすることになりました。
チームと一緒に、浦添でキャンプインするというチャンスを与えていただけたのです。
キャンプ中、「プロ野球ぬりえ」が浦添市内で展示されるとのこと。スゲ~ッ!
僕はまだ、首の皮一枚くっついてるようです。
死ぬか生きるか、どっちに転んでも、はたから見てて面白い展開になるだろうと思います。
絵描きとして、一所懸命やります。
というわけで皆さん、2013年も、どうぞ宜しくお願い致します!
(左から佐々木さん、小川監督、僕)
(写真・堤哲さん)