音楽とオーディオの備忘録

購入したレコード類やオーディオ機器の購入、調整&メンテナンスなどなど

お買い物日記(フォノイコライザー Phasemation EA-350)

2019-12-29 20:00:39 | オーディオ

前回の更新からずいぶんと日が経ってしまった。

SP-10R、WE-407/23、外周スタビライザー…の導入で一気にアナログ周りのグレードアップが図られたため、せっかくだからカートリッジのグレードアップも...ということで、こつこつと貯金をしていた。

ある程度予算的な目途がついてきたある日、ネットで気になる記事を見つけ記憶がよみがえってきた。

それは「MCカートリッジのバランス伝送」で、アンバランス伝送からバランス伝送にすることで、相当な音質向上効果が期待でき、同じカートリッジが別物のように鳴り始める...というもの。確か、CECのフォノイコライザーPH-53が発売された頃、バランス伝送で接続すると著しく音質向上が図られた....ということで一部で話題となっていたはず。(廉価なフォノイコライザーでバランス入力のあるものはこの機種くらいでした)

MCカートリッジのバランス伝送か....これは理にかなった事なのでぜひとも試してみたくなった。

MCカートリッジ利用の音質的メリットについては過去に使用していた多くのカートリッジからその片鱗を理解していたものの、簡単な針交換でリフレッシュでき、将来的に「安定した針の供給が少しでも期待(サードパーティ)できるMM」とは違い、MCは基本本体交換で長く愛用できるかどうかはカートリッジ本体を作ったメーカー次第なので、最新型の高級品にはどうしても二の足を踏んでいたところはある。だが、もし、そのバランス伝送とやらでうちのSPUやDL-103が化けるのであれば、このあたりのカートリッジなら市場での商品寿命は長そうだし、それもありか?.......でもちょっと待て、カートリッジを買うつもりで貯金してきたが慌てて買わないで、もう少し情報収集をしてみたら....いやいや、CDプレーヤーはどうなんだ?数年前にレーザーピックアップを交換済みだがそろそろデジタル機器的に陳腐化してきたからグレードアップを検討してみようか...などと、もんもんとした状況のところで、またまた出会いがあった。

お世話になっているオーディオ店に、フェーズメーションのフォノイコライザーEA-350の試聴機が入荷しており、なんと貸し出ししていただけることになった。買うにしても貯めていたカートリッジ代と比較して予算をオーバーしている機器だが、MCカートリッジのバランス伝送の効果が試せるのであればと試聴用のバランスケーブルもお借りし試してみることにした。

とりあえず手持ちのSPU-GE、SPUGold-GE、DL-103、MC10super2、AT-F3-2などを準備して試聴を開始した。

まずはアンバランス接続で。
SP-10R+WE-407/23、ケーブルはオヤイデのPA-2075(アンバランス)を使用、カートリッジは使い慣れたSPU-GEを取り付けた。
EA-350でアンバランス接続でMCカートリッジを演奏する場合は、「バランス接続・伝送に最適化されて設計された内蔵トランス」を無理矢理アンバランスで使用するような内部回路構成となるようで、こういう使い方はそもそも推奨されていないのでは?と思えた。(ハムが気になる)

とはいえ、やはりそれなりの値段のする単体フォノイコライザーだ。ちょい聴きでも品格の違いが明らかになる。
C-275Vの純正内蔵フォノイコライザー(AD-275V)や、相当に手を加え、もはや別物の音になったQUAD44(改)+アントレーET-100も健闘しているが、比較して聴くと品格と情報量、安定感、聴感上のS/Nで差は明らか。(小音量での再生で大きく差がでる)。試しにアンバランス接続で内蔵MCトランスとの差を比較してみたがET-100もかなりのものだ。

さて、気を良くして、借用した純正のバランスケーブルに取替え、メーカー推奨接続として試聴してみよう。(カートリッジはSPU-GEのまま)

..................

これは驚いた。
アンバランスで接続(内蔵MCトランス利用)していた時に気になったハムはバランス接続することですっかり消えた。
ケーブルを変えると音が変わるなどというプラシーボレベルの音の変化ではなく、聴感上のS/Nが大きく向上し、音の出方の根本が変わった。バランス接続・伝送に最適化されて設計された内蔵トランスが本領を発揮したか?あるいはこの音の出方こそがバランス伝送ならではのメリットなのか。

出る音はどこかの高級オーディオ店の試聴室で聴けるような海外ハイエンド風。音量を上げても決してやかましく騒がしくならず、下げても音量が下がるだけで空間に浮かぶ音の存在感、実態感が変わらず、一音一音が軽々と空間に浮かびその瑞々しさとつややかさ、そして存在感に耳が引き込まれる。

特に最高域の自然な伸びやかさと深々と澄んだ最低域(音階が混濁しない)、上下左右前後の音場再生能力の高さには驚いた。ぎゅっと引き締まった音像たちがリアルに空間にぽっかりと実態感をもって浮かび宙を舞う。

これは昔々、あのUESUGIの上杉さんに聴かせていただき衝撃を受け、その後自分の音の手本とさせていただいてきた、いまだに耳に残っている「あの音」を思い起こす。(しかしまだまだ道半ば...なのです)

また、我が家で課題だった最低域の楽器の存在感や音階表現のもどかしさはスピーカーの形式や部屋のせいとあきらめていて、泥沼のようなセッティングや音場補正作業を繰り返してきたが、実は「入口」の問題だったことがわかった。(CDプレーヤーもそろそろ寿命ということか…)一方で、うちのアンプとスピーカーはこれほどの再生能力を持っていたということを改めて認識、これまでそれらの潜在能力を発揮させることができていなかったことに大いに反省した。

さて、あまりの音の変化に、いささか興奮ぎみになり、カートリッジをSPU-GEからDL-103やMC-10super2などに変えて聴いてみる。DL-103ってこんなに表現力があったのか...MC-10super2は今まで気になっていたほんの少しのエグ味が消え瑞々しくのびやか、AT-F3-2では「圧倒的ハイコストパフォーマンス(だったっけ...)」と評した長岡鉄男氏の言葉が頭によみがえる立派な音。我が家で聴くソースからいくと、これらのカートリッジでグレード的にもう十分だ。SPUとDL-103を中心に据え、あとはお遊び、宝くじが当たったら高価なMCカートリッジを買うことにしよう。

で、ここまできて、もはや試聴機を返す気は全く無くなってしまい、即オーディオ店に注文の連絡をした。

将来プリアンプの更改をするにしても、今のうちにこれだけ素晴らしい単体フォノイコライザーを導入してしまえば、プリ更改時にフォノ入力オプションの心配をする必要がなく、それだけでも少しは気分が楽になった。

今回のお買い物は、予算をはるかにオーバーしたが、狙ってどうだったという事でもなく、目論んでどうだったという事でもなく、さんざん悩んでいるうちにいつの間にか流れで手元にきてそのままきれいに手元に収まったようなもの。

とはいえ我が家の音質の大きな課題を、予想もしなかったことで解決してくれたのでとても良い買い物でした。

 

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