こんなに簡単に音で遊べると、いくらでもオペアンプが増えていきそうだ。
ということで、今回はQUAD44オペアンプ全とっかえ作戦第?段で
OP275GPZ
LM4562NA
でQUAD44の音の変化を楽しもうというもの。
なお番外として、トーンコントロール基板の出力部のみ交換(L/Rひとつづつ使用)
ということで以下の3種を準備した。
AD827JNZ
LT1112CN8
LT1364CN8
現在はCD/AUXモジュール~トーンコントロール基板の6個所にMUSES8820を使用しているので、
それをリファレンスとするため、オペアンプ交換後の音の印象はその差分である。
またQUAD44は通常フォノイコライザとして、またCDプレーヤーのバッファ替わりに使用し、
出力をプリアンプに接続しているが、今回はパワーアンプに直結し、純粋にオペアンプを
取り換えたときのQUAD44のプリアンプとしての実力を見たい。
オペアンプを交換することによる周辺回路の変更は行わないが、念のためオシロスコープと
スペアナ(GHz帯域まで測定可能なもの)で問題がないか確認を行う。
試聴ソースは以下の通り。
ひところのチェック用ソースとして有名なものばかり。
女性ボーカル:Pop Pop / Rickie Lee Jones
クラシック:チャイコフスキー 交響曲第4番/マゼール&クリーヴランド管弦楽団
モーツァルトピアノ協奏曲第20番27番/カーゾン&ブリテン&英国室内交響楽団
JAZZ:Waltz for Debby / Bill Evans
ROCK:Halloween / PULSAR
The Dark Side of the Moon / Pink Floyd
でさっそく試聴。
<OP275GPZ>
QUAD44が元から持っていたゆったり感やのんびり感がどこへやら。
シャッキリスタジオ感が出てくるのはらしからぬ方向性だが、こういうQUAD44もあり。
見た目と合わせて小粒でピリリと辛いプリアンプに大変身。バタ臭さは少なくモニター
基調だが、背筋のピンとしたこの真面目な音にはとても好感が持てる。
音ひとつひとつは明快だが、空間は割と狭い感じでのびやかさや解放感は少ない。
ヘッドホンで聴くには良いかもしれないが大型スピーカーで本格的に....といくと
もう少し懐の深さが欲しい。
一個一個の音と対峙するにはいいが、ゆったり体全体を包み込まれる感じにはならない
ところがモニター的と言われる所以だろう。MUSES8820との大きな差がこの懐の深さ感。
でも、これら厳しいソースだからこその印象なので、普通の録音をBGMのように普通に
聴く分にはこれで十分。
<LM4562NA>
これはいい。とにかくバランスが良く、何を聴いても破綻がない。こちらから聴きに
行ってどこまでも細かい音が聴こえてくる国産ハイファイ的な音とは違い、向こうから
語りかけてくる積極的な音なのに、突っ張った感じは一切なく、音の産毛感、響き、
音場感が素晴らしい。
これはQUAD44がすっきりしなやか、さわやか系プリになってしまった(笑)。
前後左右上下の表現もしっかりしており、このままいじらずに固定しようかと思ったほど。
ただこのLM4562NA、実態はLME49720NAと同じということで散々聴いた後にLME49860NAと
全取替してみたが、やはり、以前の感想と同様、非常に高いレベルで49860の勝ちだった。
また、触れた感じだけだが、動作中の表面の温度が49860より低く感じた。パーツが熱く
なるのが私はあまり好きではないのでこれはいい。
MUSES8820に飽きたらこのLM4562NAに変えよう。ジェフ・ロゥランド、カプリのフォノ
イコライザーにも使われているしね。
http://www.hifido.co.jp/KW/G--/P/A10/J/30-10/S0/M0/C14-82614-17902-00/
ここで、いったんオペアンプをすべてMUSES8820に戻して聴きなおしてみる。
どこかホッとする。何を聴いても安心安全感満点。やっぱこの表現だよな。
275も4562も49720も49860もみんなそれぞれ個性豊かで良い音なのだけど.....
このホッと感、散々外食でおいしいものを食べてきているのに、実家で母親の作った
味噌汁を飲むと妙にホッとするという感じに近いかもしれない(笑)
で、出力段L/Rのオペアンプだけ交換して聴いてみる。
<AD827JNZ>
おや?音量が少し下がった感じがする。音質は何ともまあハイエンドチックな音だ。
褒めている方の気持ちがよくわかる。
高級オーディオ店の2Fとか3Fで静かに鳴っているような聴感上のS/Nが非常に高い高級な音。
これで打ち止めにしようかと思ったが、QUAD44のVRを回すとデテント式特有のクリックに
合わせてSPから初期AAVAのようなプチプチノイズが出るのに気がついた。
VRを最大近くにすると、デテントのクリックにあわせてコーン紙が前後に動くのですぐに
電源を切って取り外し。
発振してはいないが、クリックした瞬間だけ直流に近い成分のノイズが出ていることが
わかった。
これはオペアンプではなくQUAD44側の問題で、周辺回路に手を加えれば治るのだろう
けれどもそこまでこのオペアンプに固執する気は無く、音の良さに後ろ髪をひかれる思いで
これはボツ。
<LT1112CN8>
近所のパーツ屋で間違えて買ってきたもの。ネットでの評価通り、はんなり優しい美音系。
ピアノが弦楽器であり打楽器であることがよくわかる音だが、左手のガーンとくる感じが
ちょっぴり薄め。発振もせず、表面は全然熱くならず、安定動作はしているようだ。
低域がふくらみ気味の機器には向くかもしれないが少し線が細いかな。
これでふくらみがもう少しあればと思う。
<LT1364CN8>
これは参った。音は素晴らしく良いがとにかく発熱がすごい。せんねんきゅう近江並み
(笑)。アキュフェーズのC-200Xもこれまた天板あっちっちの電気ストーブプリアンプ
だったが、それで良いのも放熱が考えられた構造ならばこそ。
QUAD44はそこまで考えられていないのでこんなに熱くなるパーツは使えないな。
これで「正常動作ちう」と言われても、こんな熱源を機器の中に置きたくない。
熱は劣化や故障のリスクとなるので、音質を考慮してもこれはボツ。
はい、これでお遊び終了。
良い大人が休日一日遊んで数千円では安い。
これだけオペアンプを大量に買い込んで、結局はもとのTL072に戻るののもまたオツと
いうもの。
なんといってもTL072は現代高性能オペアンプから比較すると消費電流が少ないから
QUAD44の電源には負担にならないはず。
次はQUAD44で誰も試していないTL072IPとか試してみよう。いつまでもTAPEモジュールを
外しっぱなしでは格好悪いからなあ。
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追記:
ネットでいろいろ調べていたらTL072CPの後継機種(上位互換品)としてTLE2072CPと
いうオペアンプがあるのがわかったので即注文して音を確かめてみた。
音はTL072CPの延長線上で向上、グレードが明らかに違うし、熱くもならず消費電流が
少ない。(TL072CPの元気良さ、ある意味荒っぽさは少し和らぐ)
QUAD44の修理メンテナンス用として、そして音質向上用として使うのならば、これが
一番安心して使えるのかもしれない。
44らしい音になったので、しばらくこのままで聴いてみよう。飽きたら4562にしようか。
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で、結局、CD、RADIO、DISCユニットは、全てOPA627に、それ以外は2023年にすべてMUSES02に交換した。TAPEユニットは外しっぱなし。
ダブルアームのレコードプレーヤーを準備して、MC用アームからはトランス→ラックスマンの真空管式フォノアンプキットからCDにつなぎ、もうひとつのMM用アームからはDISCにつなぎ、RADIOには同じラックスマンの真空管式チューナーキットを繋いだ。
これでもう決まり。
たくさんのソースを高音質で楽しめるようになった。
NAIMの最高級CDP, CDSにも使われていた石で、渋いながらも豊かな音で鳴ってくれます。一度お試しあれ。405の前段のオペアンプにもOP42を使っています。
ちなみに、私はイコライザアンプにはLME49990を使っていますが、これもなかなかいいものです。発熱は少しありますが。
コメントありがとうございます。
OP42ですね。そうですか、良いですか~気になるなあ。1回路品なのでうちの44ですと、現在OP627が入っているDISCユニットとRADIOユニット(改)で試してみます。
LME49990もそう言えばパーツボックスに下駄つきのものがあったような。
しばらくOPアンプ遊びは休んでいましたが、また火がつきそうです。
情報ありがとうございました!
DISC部のオペアンプをTL071からTLE2072CPに交換しましたところハム音が発信して音が出なくなりました。発熱もかなりあります。交換時に回路をモディファイする必要があるのでしょうか?
DISC部のTL071(1回路入りオペアンプ)とTLE2072CP(2回路入りオペアンプ)は足の配置が全く違うので、そのままの差し替えはできませんよ!
TL071ならTLE2071CPと、
TL072ならTLE2072CPと交換可能です。
DISC部(MM専用)には「1回路用」のオペアンプじゃないと正常に動作しませんので、とのじさんからご紹介のあったOP42とか、OPA627AP(BP)、OPA604、OPA134、NE5534AP、LME49710あたりでお試しください。我が家の44のDISC部ではOPA627BPが安定して動作中です。
ご参考まで....