徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

厄年かな

 今年は(株)日本航空にとっては受難の年ですね。

後続のKAL Cargo 便が大事に至らなくて不幸中の幸いでした。今回も落下物の種類や、KALへの hit の仕方によっては、Tire burst だけに留まらず、burst 片による機体への損傷や burst の度合いがひどく runway 逸脱の可能性もあった訳で、そのような事態に至らなかったのは幸運だったと言えるでしょう。

滑走路上の落下物を踏んで Tire が Burst し、それが原因で大事故につながった例としては、2000年7月25日、フランスはパリの Charles de Gaulle 空港 (CDG) を離陸直後にコンコルド(エールフランス 4590 便)が墜落炎上、乗員・乗客109人全員が亡くなった惨事が思い起こされます。

今回の事例をCDGでの事故と同一視することは出来ませんが、滑走路上の落下物が無視できぬ危険な存在であることには間違いありません。

航空機から何らかの部品や物が落下する事例は決して珍しくなく、着陸後の点検で部品の欠損に気付くこともあります。また、飛行中の航空機から氷の塊(水周りの配管からのリークで、上空の低温下で長時間かかって徐々に大きく成長した氷結が、巡航高度から地上付近まで一気に下降した上に Speed Brake や Flap down、Gear Down から発生する気体の微振動で機体から剥離し落下する)や大き目の部品が地上に落下し、それが発見(不運な場合には地上の建造物を破壊する場合もある)されることも、これだけ空の交通量が増えてきている昨今では、散見されるようになっています。

6月11日に投稿した「流石です」の記事では、やはり着陸時の部品脱落について述べているのですが、そのとき滑走路脇から発見された部品は「大きさ:長さ約2メートル,幅約40センチ、重さ:約6・3キロの金属製」でした。

要は、日本航空+後続機が影響を受けた+滑走路閉鎖+etc.で、マスコミは「また日本航空機がやった」「日本航空の安全はどうなっているんだ」と攻めることが予想されますが;
 -航空機からの部品脱落は頻発はしないものの珍しくはない。
 -他社においても同様の危険性は潜んでいる。
との理解は正しくしておくべきだと思います。

勿論、各社とも航空機からの部品脱落や他の落下物が無くなるよう、整備体制に力をいれ、発生防止に努めているわけで、その点では日本航空経営は整備体制の強化をしっかりと考えるべきでしょう。

ただ、今回の場合ちょっと不運と思われるのは、部品脱落を起した機材が一部報道によると、先月末に受領した新造機だったことです。
つまり、過度の運航サイクル+点検不足によって引き起こされたのとは毛色が違うことです。
受領飛行を実施して受領している以上、ボーイング社云々の問題を論じるのは筋違いかもしれません。が、限られた期間内の受領飛行検査では、どうしても飛行システムや耐空上重要なポイントを中心にチェックせざるを得ず(それでも相当数のチェックを実施してそれらすべてを満足して受領します;たとえ一箇所でも不合格の項目があれば、それを改修させるまで受領しません)、天文学的な部品点数からなる機体構造のすべてを網羅した受領検査は事実上不可能です。そこは、ある意味、航空機メーカと航空会社との信頼関係や同型機のこれまでの運航実績で判断せざるを得ない部分と言えるでしょう。

新造機、イコール不備を全く抱えていない機体ではありません。

昨今ほどマスコミ各社が「日本航空や航空関係叩き」をしていない頃でしたから、当然マスコミが報じてはいないと思いますが、日本航空が国内線向けに受領した Boeing777-246 (JA771J) も、受領して運航に供し始めた翌日か翌々日に、伊丹空港で Nose Gear からオイル漏れを起して、当該機材はその日のそれ以降のフライトをキャンセルしたことがあります。

整備さんも一所懸命に見てチェックしているのですが、機材の当たり外れとでも言うのでしょうか、運悪く初期不良に当ってしまうこともあるのです。

それにしても、今年の日本航空は厄年ですね。

マスコミに取り上げられている中には、明らかにオペレータ側が早急に対策を施さねばならないインシデントもありますが、そうでない不可抗力的なものも幾つかあると思います。

現場で運航に携わっている方々は、みな一所懸命に違いないのですが....。



日航機の部品欠落、その破片踏み?大韓航空機パンク (読売新聞) - goo ニュース
 11日午前6時10分ごろ、成田空港4000メートル滑走路に着陸した米ロサンゼルス発の大韓航空224便(ボーイング747―400型、貨物機)の胴体左側のタイヤ1本がパンクした。

 この直前に着陸したシンガポール発の日本航空710便(ボーイング777―300ER型、乗客・乗員114人)の胴体中央の下部から板状のグラスファイバー製部品(縦40センチ、横2メートル)が脱落していることが分かり、成田国際空港会社などでは、この部品の破片を大韓航空機が踏んだとみている。

 同滑走路は点検のため、午前6時33分から9分間、同7時51分から6分間、閉鎖された。

 日航によると、トラブルがあった機体は、7月末にボーイング社から納入されたばかり。脱落した部品は、しっかり取り付けられているか、目視で点検していたという。

 一方、国土交通省は日航と全日空に対し、保有する同型機すべての緊急点検を命じた。

2005年 8月11日 (木) 12:48

日航機のパネル脱落、後続の着陸機がパンク 成田空港 (朝日新聞) - goo ニュース
 11日午前6時6分ごろ、シンガポールから成田空港のA滑走路に着陸した日本航空710便(ボーイング777―300型、乗客・乗員114人)の機体からファイバーグラス製のパネルが落下した。約3分後にロサンゼルスから到着した大韓航空の貨物機(ボーイング747―400F型、乗員3人)の主タイヤ1本がパンクし、成田国際空港会社(NAA)は、同滑走路を24分間閉鎖した。

 NAAによると、同滑走路付近で、日航機の胴体部品と見られる破片6個が見つかった。NAAは貨物機がこのパネルを踏んでパンクしたとみて調べている。

 両機の乗員、乗客にけがはなかった。

 日航によると、落下したのは、胴体中央の下部にあるエアコンの点検口のパネルで、幅40センチ、長さ2メートル、厚さ2センチ。機体の点検ではがれているのが分かり、滑走路で見つかった破片がその一部だと確認した。日航はパネルが落下した原因を調べている。

2005年 8月11日 (木) 12:56
成田着日航機の部品脱落 2m、後続機がパンク (共同通信) - goo ニュース
 11日午前6時すぎ、成田空港のA滑走路に着陸したシンガポール発日航710便ボーイング777(乗客乗員114人)から、幅約40センチ、長さ約2メートルのグラスファイバー製の板状部品が脱落、直後に同滑走路に着陸した大韓航空ジャンボ機のタイヤがパンクした。

成田国際空港会社などによると、A滑走路を閉鎖し点検した結果、破片6個が見つかり、脱落した部品の一部と確認された。破片は最大長さ26センチ、幅9センチ。大韓航空機のタイヤにも、脱落部品とみられる破片が付着しており、同社などがパンクとの関係を調べている。

日航によると、脱落したのは胴体中央下部にあるエアコン関連機器などを点検するためのハッチ。脱落しても飛行に支障はないという。

日航は「早急に原因を調査し、再発防止に努めたい」としている。

2005年 8月11日 (木) 13:04

それにしても、「乗客・乗員114人」ですか....。

Cockpit Crew は minimum 2名、Cabin Crew が保安上必要な人数は minimum 10名、国際線3クラス+徹夜便を考慮して plus 1 or 2。とすると、乗員が12~14名なので、お客様は100名様....。300席近い供給座席数の三分の一ですか。

それにしてもマスコミの威力というのは、某国の議会を解散させる某首相並に凄い力ですなぁ....。
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