歯ぎしり
園子温監督が十数年前から温めてきた企画を映画化。
組や家族を守る為に罪を犯し収監され出所を10日後に控えている妻が心から望んでいる
娘の主演映画デビューを叶えようと奔走するヤクザの組長が
組長と激しく対立するヤクザ、映画監督に間違えられた青年、
彼に代わってメガホンを取る映画マニアと達と共に巻き起こす騒動を描く。
最初に女の子が歌う歯磨きのCMが流れるんだけど、
私てっきり、本物のCMだと勘違いしてしまったよ。。。
『キル・ビル』+『桐島、部活やめるってよ』みたいな感じかしら?
往年の日本のヤクザ映画ネタとかブルース・リーの真似とか映画の小ネタに走っていたけど、
勢いのあるテンポだったし、異様なテンションでノリノリだったので観応えたっぷり。^^
娘役の二階堂ふみは映画では『脳男』に続き、凄まじい役が続いているね。
男性顔負けのパワフルさと、ふとシュンとする少女の繊細さの強弱の付け方が実に上手い。
割烹着を着たまま包丁で追いまわす組長の妻役の友近も存在感あったな。
単に姐さんぽく凄むのではなく、組長を夫に持つ妻が
家族や組を全力で守ったらこうなってしまったという健気さが伝わってきたの。
今の日本映画は小説や漫画の原作や連続ドラマのスペシャル版が多い中で、
オリジナル脚本でシニカルなエッジを直球で効かせた日本映画はかなり刺激的で面白い。
シネコンが主流になりつつある昨今であっても
完成した映画のお披露目の場は都会の大劇場ではなく
自分達の庭のような場だった映画館を思い浮かべるのもノスタルジック。
皆やっているコトはおバカの極みなんだけど、自分勝手な人は一人もいない気もする。
家族の為・組の為・好きになった人の為・映画の為。
つまり、自分以外の誰かの為、大切な何かの為に全力で向かっている。
そういう人々が愛おしく感じたりもした作品でした。
P.S.
シネコンで映画を観終わった後、パンフレット買おうかと思ったら売り切れていた。。。
アイドルや話題性のあるスターが出ているわけでもなく、
公開一週間も経っていない事を思うと凄い人気だよね。
確かに、この作品なんか妙な余韻が残るのでパンフ買いたくなっちゃうのよね。