霧
新薬の副作用によって夢遊病となり、夫を殺害してしまった女性と
その事件の裏側に隠された真実を
彼女の治療にあたった精神科医が暴こうと奔走する様子を描く。
殺人事件が起きるまでが間延びしていて少し眠たかったけど、
それも練られた演出のような気もした。
後半、じわっとたたみかけるテンポにしたほうがゾクッとさせられ緊張感増すからね。
夫役のチャニング・テイタムは出所したばかりの男にしては体格がマッチョすぎるし、
虫の息の時も救助を頼む声のトーンが優しすぎるんだよね。
妻役のルーニー・マーラはルックス的には地味だけど心底役に入り込む演技は巧いですね。
日本の女優で例えるならば菅野美穂+満島ひかりみたいな感じかしら?
サイド・エフェクト=副作用
単に薬の副作用に関するコトを意味しているのかと思っていたけど、
インサイダー取引に端を発する周囲の人間模様の連鎖の副作用。
夢のような生活を奪われた憎しみ・金欲・禁断の愛欲が絡み合う。
無罪と有罪・健全と鬱病・成功と転落
光と影がちらつく中での騙し騙されながらの駆け引きでの保身の行く末。
そういう意味では松本清張のサスペンスぽい印象も受けた。
主な登場人物に悪人キャラが一人も登場しない物語は数多くあるが、
この作品は主な登場人物に善人キャラが一人もいない気もする。
それぞれが大なり小なりダークな側面のある人物として描かれているのは世知辛いが
リアリティはあったような気もする。
男性ストリップの異質な業界を描きながらも爽やかな青春グラフティに仕上がっていた
ソダバーグ監督の前作『マジック・マイク』。
『サイド・エフェクト』は『マジック・マイク』とは対照的でやるせない後味ながらも、
精巧なプロットで余韻が残る。
ソダバーグならではの黄色がかった映像も健在でしたね。
P.S.
ソダバーグの引退宣言?が話題になっていますが、劇場映画はこの作品が最後だけど、
パンフレットによると
ソダバーグは保守的なハリウッドに嫌気がさし、TVドラマにシフトするようで
TVドラマはこの後に2作品撮っている。
昔のアメリカではTVドラマは映画よりも格下意識が強かったみたいで
映画人がTVドラマをやると落ち目みたいな印象だったみたいだけど
最近はオスカーを受賞し映画界で第一線の人でも
TVドラマもやったりもしているので
アメリカの芸能界も多様化してきているのでしょうね。
なので、監督引退というよりかは
劇場映画からTVドラマへ異動みたいな感じのような気もしますよ。
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