DALAI_KUMA

いかに楽しく人生を過ごすか、これが生きるうえで、もっとも大切なことです。ただし、人に迷惑をかけないこと。

湖の鎮魂歌(9)

2013-06-17 22:04:26 | ButsuButsu


1992年のことだったように思う。

国際理論応用陸水学会(SIL)が、ドイツのミュンヘンで開かれた。

私が初めてこの会議に出席した年でもある。

一番楽しみだったのは、晩餐会だった。

なにせドイツの食の中心ミュンヘンである。

うまいものが出るに決まっている。

一人で参加していた私は、顔見知りのヨルグ・インバーガー教授とジョン・メラック教授に誘われて、一緒のテーブルに着いた。

ヨルグが50歳、ジョンと私は40歳を少し越えたくらいだった。

共に、世界的な研究者となっていた。

私たちのテーブル席のイスが二つ空けてあった。

誰が来るのかな。

そう思っていると、急にヨルグとジョンが立ち上がって、最敬礼をした。

おもむろに登場したのが盛装したC夫妻だった。

陸水研究のドンであるCは、当時まだ60歳だった。

自信と力が体からあふれ出ていた。

私などは、挨拶こそできたが、歯牙にもかけてもらえなかった。

私がCと直接話が出来るようになったのは、それから数年たってからだった。

その後急速に仲良くなった私たちは、親子ほどの年の差なのに、特別の付き合いをするようになった。

不思議な縁だといえるだろう。

いまや、Cは、私を最年少の弟だといっている。

一緒に本も出版した。

彼のすばらしいところは、決して威張らないところだ。

私が60歳を超え、彼は80歳を超えた。

いつまで一緒に仕事が出来るかどうかはわからないが、彼が生きている間は大切にしたいと思っている。

タホ湖の研究に60年の歳月をかけてきたCと、びわ湖の研究を30年行ってきた私が、モンゴルの湖の再生に挑む。

面白そうな話ではないか。

RとCと私。

シニア世代の三銃士となるのか、それとも単なる三馬鹿で終わるのか、残りの短い人生を楽しむには面白い取り合わせだ。

どうなることやら。


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