いまさら韓ドラ!

韓国ドラマの感想をネタバレしながら書いています。旧作メイン

快刀ホン・ギルドン 20 父よさらば

2014年02月18日 | 快刀ホン・ギルドン
《あらすじ》

ギルドンは、父をかばい、イノクの刃を自らの身に受けた。
我に返ったイノクは、震え、涙を流す。
「ホ・イノク、大丈夫だ。大丈夫だ」
「だ、大丈夫じゃないわ……わたしが、あなたを……」
イノクは気を失い、かけつけたチャンフィがその身柄を預かった。

ギルドンは父の目の手当をした。
息子として、父をかばった。
だが、暴君に仕える父は奸臣としか思えない。
ギルドンの道は、民としてチャンフィを王にたて、彼に人民を守らせることなのだ。
父は息子の志を、認めるしかなかった。
「もう、ゆけ」

チャンフィは眠っているイノクにあらためて誓う。
「お前を守ってやる。私のそばにいろ……」

自分を育ててくれたおじいさんは死んだのに、実の祖父は生きている。
イノクは混乱している。
しかし、自分がホ・イノクではなく、リュ・イノクだということは身をもって知った。
「だって、わたしはギルドンを刺したのだもの……」
もう、彼のもとへは戻れない。

王は、ギルドンが潜む可能性のあるマチョン山を封鎖した。
住民は飢えて死にたくなければ、ギルドンを差し出すしかない。
民のために生きるギルドンは、民の手で殺されしまうのか?
チャンフィはギルドンに居を移すよう忠告する。
「お前が側にいると、民が苦しむことになるのだ」
「まるで誰かと同じだな……。考えてみよう」
寂し気につぶやくギルドン。

貧しい民は、生きるためにギルドンを官に差し出そうとする。
自暴自棄になり、悪童だった頃のように暴れるギルドンを和尚が諭した。
「彼らの気持ちもわかってやれ……。
あるいはお前が戦う意志を見せれば、彼らもともに戦う勇気がでるやもしれん」
ギルドンたち活貧党の必死の反撃が始まった。
王への献上品を次々に奪い、都の奴らを干上がらせてやる!

マチョン山の民は、ギルドンのもとへ集い、全員が活貧党となった。
王は、とうとう山ごと焼き尽くすよう、王命を出す。
そして自らマチョン山へ山火事見物に出かける。
愚かな王の愚行を止めるものはいない。
ギルドンは、真っ向勝負に出た。
「火をつけるなら止めはしない。そのかわり、ここで一緒に焼け死んでもらおう」
王の退路を断ち、相打ちを覚悟で立ち向かう民の気迫が、王を退けた。
「もしまたどこかで火の手が上がれば、もっと大きな火で打ち砕くぞ。
汚れた足で民の生活を踏みにじるな!」

ギルドンは民心をつかんだ。
イノクも物陰から、そっとギルドンを見つめている。
その姿を見ているチャンフィはひとりつぶやく。
「お前が見つめるのは、あのものだけか……」

イノクは決心していた。
リュ・イノクとして生きることを。
ギルドンと一緒に戦いたい。
でも、もうそばにいることはかなわないから、
若君を王に立てることで、彼と志を共にしたい、と。
リュ・イノクにどれほどの価値があるのかはわからない。
それでも、ギルドンのために、イノクは心を決めたのだ。

イノクの存在自体が、チャンフィ王子の大義となる……。
儒生たちは、先王の密命をおびた四寅剣についての調査と、
大妃の死の真相究明を王に上進した。

「山火事のときは人ごとだったくせに、四寅剣の効果は絶大だな」
「先王の密命によって、王位につくべき人間が決まる。
それが私が王になる理由だ。
お前だとて、私が王子だから、王に推しているのだろう?」
「現実的な選択をしてるってだけさ。
でもな、密命がなくても、あんたは王にふさわしいよ。自信もて」
しかしこの先は、ギルドンの父が窮地に立たされるだろう。
自らの命と引き替えに、ギルドンを呼び出したら?

と、チャンフィとギルドンが話している砦に、まさにその父が面会に現れた。
父の目は、もう見えない。
「私は最後まで王にお仕えするつもりだ」
「私はその世の中を変えるつもりです。父上」
「お前は私の息子ではない!……私が守ってきた世ではな。
絶対に私の息子だと名乗るな。会いにも来るな。
世直しがすんだら、息子として私の墓に参りに来い」
ギルドンは父の決意と、愛を知る。
「お前の隣にいる方が王子か?
ギルドン、お前は、お前の王を最後までお守りしろ……」
「そういたします。必ず……」

史曹判書は、王の前に進み出た。
そして、自らの罪を告白する。
密命を記した四寅剣を隠し、大妃と王子を焼き殺そうとしたのは、自分なのだと。
儒生が調査を求めているすべての事実は、自分の罪であると。
「わたくしを処刑してください」
判書は、すべての罪を引き受けた。王を守るために。

「なぜ、お前はこのようなことを……」
「あのものたちは、自分たちが望む世を作るのだそうです。
今の王では、あのものたちに勝てません……」
「わたしは勝てぬか」
「最後まで王を守り抜くことができなかったわたしを、王はゆるしてはなりません」
「そうとも。このようにわたしをひとりにして見捨てたお前をけしてゆるさぬだろう……」
王は涙を流し、断腸の思いで、史曹判書の服毒を命じた。

判書の処刑は決行された。
「王よ、最後まであなたをお守りできませんでした……」
王は居室でひとり、子どものように泣いている。
かつて彼は、賤しい身分の自分が、王として認めてもらえるよう、
聖君となることを誓った。
それが、民にとっても心の支えとなるだろうと、信じた。
最後まで彼を支えると誓った忠臣ホン・ソヒョン。
ただひとり信じられる人間を、彼は自分の手で殺すのだ。

毒を飲み、血を吐いて死んでいく父を、群衆にまじったギルドンは見つめていた。
父も、息子がこの場にいることを知っている。
愛する息子が自分の死を見つめていることを。

人知れず涙をこぼすギルドンを、チャンフィもまたじっと見ている。
彼らは心に強い決意を秘めて、視線を交わした。
ギルドンは、同じく群衆に交じって立ち、涙を流すイノクの姿を見つけた。

廃屋で、ふたりは見つめ合う。
「わたしはあなたに謝れない。泣くなとも言えない。
わたしは、リュ・イノクなの。これからは、そばにいられない」
ギルドンは想いをこめてイノクを見つめることしかできない。
「でも、あなたを見守っているわ。ずっとあなたを見ていたいから。
そばで慰めてあげられないけど、無事を祈ってる。元気でいてね……」
ギルドンは何も言えず、ただ、去ろうとするイノクを後ろから抱きしめた。
ふたりの目から、涙がこぼれる。
ふと気付けば、風のようにギルドンは姿を消していた。

尚君は、支配層の両班たちと手を結ぶよう、王子に進言していた。
母の敵である朝臣らと手を組むことにチャンフィは躊躇する。
それはギルドンに対する裏切りだ。
「民の望む王になると?では、民がギルドンを望めば、王位を譲りますか?
彼は民の望む幻想です。この国では、人民の支持だけでは王になることはできません」
彼女の言うことには、にちろん一理も二理もあるのだ。

チャンフィは心迷いながら、イノクの寝室に向かう。
ぐっすりと寝入っているイノクの側に座ると、彼女が寝言でつぶやいた。
「ギルドン……」

「あの者のせいでこれほど傷ついてもなお、お前はあの者を求めるのか……」
王子の目から涙がこぼれる。
「イノク……どうか一度、一度だけでも、わたしを見てくれ……」
チャンフィはそっと、眠っているイノクに口づけた。

ギルドンは、大切に持っていたイノクの手製の巾着をそっと火にくべていた。

(つづく)


あのさ、このドラマを観ているみんなの感想とはぜんぜん違うかもしれないんだけどさ、

イノクなんか嫌いだっ(怒)

つらい運命を背負ってさ、
これまでそんなことぜんぜん知らずに生きてきて、
愛する人ができて、その人を支えようと、一緒に闘おうとがんばって、
でも、そういうことをまるっとひっくり返すようなことが起こって、
自分の中の恐ろしい憎悪とかに気付いて、
自分ではどうしようもないものに翻弄されて、
すごくつらくて、苦しくて、哀しいのはわかるんだけどさ、

でも嫌いだよ!(泣)

どーしてギルドンしか見えないの?
ギルドンしか見えないくせに、どーして自分に嘘をつくの?
自分の人生を狂わせた、この世の中への復讐なの?

実のおじいちゃんと会ったって、何の感慨もないくせに。
自分の親のことなんて何も覚えていないくせに。
ギルドンを助けるためだけに、ギルドンと志を共にするためだけに、
リュ・イノクの仮面をつけて生きるんだね。
自分はホ・イノクだとわかっているくせに、みんなに嘘をつくんだね。

チャンフィが、そしてチャンフィを担ぐ人たちが、自分を利用しているから?
だからチャンフィを利用してもお互い様だと思ってるの?
彼の心を踏みにじっても、そんなこと利害関係が一致してるんだからいいの?
なんで自分の好きな人のことだけしか見えないで平気なんだよ……。

そりゃ、そうだろうな……ってわかってるんだけどさー。
イノクの中にはさ、じいちゃんを殺したギルドン父への憎しみというのがあって、
それは本当の感情だから、ギルドンには謝れない。
でも、ギルドンを愛していて、彼の哀しみを知っていて、
そういうふたつの感情が混在していて、
だから彼の側にはいられなくて、でも彼のためになりたくて、
そりゃ、そうだろうな……ってわかるんだけどさー。

チャンフィがひとりぼっちすぎるよ……。

このままだと、チャンフィは寂しさとむなしさに押しつぶされちゃうんじゃないだろうか。
このままだと、彼は、民のための王になれなくなっちゃうんじゃないだろうか。
彼もまた、兄のように、狂ってしまうんじゃないだろうか。

ムク犬さーん!はやく来てー!

みんながギルドンギルドンってさー。
ちぇっ。

まあギルドンも大変なんですけどね。
民から近いところにいるからこそ、いい時はこうして英雄視されるけど、
一歩間違えば、深い憎しみを一身に受けることになるわけで。
よくしてあげた人たちに、石持て追われるようなことにもなっちゃう。
そのあたりは、すごくつらいと思うんですよ。
でも仲間がいるからさ。
和尚もいるしさ。
なにより、イノクがいるじゃん。

王子は何もないんだよ。
今でも彼のよりどころは、四寅剣しかない。
孤独だよ。
イノクが彼を王にしようとするのも、ギルドンが彼に味方しているからにすぎない。
ギルドンはチャンフィに「お前は王にふさわしいよ」って言ってくれてるけど。

王子は誰も、何も信じられないんだよ。
そんな中で、道を誤らないように、良い王になれるように、がんばってるんだよ……。


セツナス……。

なんか観ててすっごくつらいんだけど。
ギルドンパパが死んじゃうとき、ギルドンはすごく泣いてて、
王子もそれを見てて、ふたりは見つめ合ってるんだけど、
でもチャンフィの視線は少し伏せられがちで、
そんなところにイノクが割り込んできて。

そう!どうしても「割り込んできて」って思っちゃったの、わたしは。
前の時は、ギルドンとイノクが見つめ合ってるのを、
チャンフィが外から見てる感じだったんだけど、
デジャヴュか!って一瞬思ったけど、今回のはやっぱ違う気がする。

あ-、なんかすごくチャンフィに肩入れしちゃってるんだよね。
ギルドンもイノクもつらくて、お互いから離れることにしたんだろうけどさ、
あんたたちは、本当は求め合ってるんじゃん、
深いところでは、やっぱりつながっているんじゃん、と思っちゃうわけ。
じいちゃんを殺した男の息子であるギルドン。
父を死に追いやる最後の一押しになってしまったイノク。
だけど、そんなもの(っていったらひどい?)を
越えて、本当はお互いに愛し合っているわけでしょ?

じゃあいいじゃん!
愛する人が自分を愛してくれているってことには、揺らぎがないわけじゃん!

チャンフィ……。
「一度でいいから、私を見てくれ」って。
その願いは決して叶えられないと知っているから、
こっそりキスするようなことになっちゃうんだよ。
うう、かわいそうに……。

とかいいつつ、あのキスシーンはもっと美しい構図で撮って欲しかったなーとか
思ってる自分がひどい。
もうちょっと引きのショットでシルエットっぽいのがよかったなー。

2話くらい前からクローズアップされた、
王と史曹判書の絆も今回の見所だったなーと思う。
かつては、志があった王。
賤しい血筋だと言われる自分が、聖君になれば、民も希望が持てる世になるだろう、と
一生懸命だった若き日の王。
それがなぜこんなことに。

きっとまわりがよくなかったんだよ。
いつまでもいつまでも、賤しい血筋だっていって、王を認めなかったにちがいない。
見下したり、従わなかったり、従っても陰で悪口いったり、
利己的な理由でしか、王を支えようとしなかったんだよ、きっと。
それで心が折れちゃった矢先に、先王の勅命入り四寅剣。

なにもかも、先王が悪いんじゃないの?
諸悪の根源だよ、四寅剣。
あれさえなきゃ、王が狂うこともなかったんじゃないだろうか?

イノクのお嬢様姿、ぜんぜん似合ってない。
かわいくない。
全部嘘に見えるから。
王の視線にひるまず、真っ直ぐ見つめ返したイノクの強さが、そこにはない。
あの頃は、なにも知らなかったから、というだけじゃないと思う。
イノクが、チャンフィを信じてあげられたら、
彼が王となることに光を見いだせていたら、もっと違うと思うのに。

ギルドンがイノクから離れた時と反対に、
今度はイノクがギルドンから離れようとしている。
そんなことは無駄だって、前回よくわかったはずなのにさ。
あの時のギルドンの気持ちを、イノクがなぞっているのかもしれない。
ギルドンがイノクを背後から抱きしめるシーン、
悪くない、悪くないと思うけど、なんか違う気がするんだよなー。

もっと強くなって!
ふたりともすごくつらいのはわかるんだけど、勝手なお願いだけど、
もっと強くなって!
あんたたちにはお互いがいるじゃん!
たったひとりで王になろうとしているチャンフィを苦しめないであげて。
あんたたちふたりでいれば、きっと乗り越えられるんだから、
ここで離れちゃったら、ふたりとも運命に負けちゃうんだから、
そんなのはねのけて一緒に生きていってよ!
チャンフィなんか、首尾良く王になれたとしても、
そっからがまた大変な道のりなんだよ?
わかってやってよ、ギルドン。
てか、ギルドンはわかってるのか。

イノクや、若君の気持ちがわかっているのなら、
あんたはもっと素直に生きればいいのに。
若君ったら、リュ・イノクにならなくていい、とまで言ってくれたんだよ?
自分を殺してまで、ギルドンのために生きようとするイノクを見て、
若君の心の痛みメーターは振り切れております。
つらいよー。

ムク犬さんがはやく帰ってこないかな。←別にどっかいってるわけじゃないけどさ。
ノ尚君よりのムク犬さん2じゃなくて、
王子の側にそっと寄りそうムク犬さんを見て、王子ともども癒やされたいよ……。



と、ここまではドラマ観た直後に書いた感想なんですけどね。
一夜あけて今思うに、
やはりイノクは自分がギルドンを刺しちゃった、ということに
すごく恐れを感じているんだろうな、と思います。
あれほど愛している人を、怒りに任せて刺した。
そんな自分の中の憎しみが、こわい。
飯屋のおばさんみたいな復讐の鬼になりたくない。
行き着く先は死しかないから。
イノクはギルドンをずっと見ていたいから、生きたいから、
ギルドンと離れることにしたのかなー。

若いんだし、もう少し待ちなさい。
もう少しすれば、自分の感情が落ち着くから。
そうしたら、ちゃんと一番いいようにできるから、とおばさんは思いますよ。

【追記】

いやー、長くなるからどうしようかと思ったけど、ここで書いちゃうね。
実はここまでは、4ヶ月前に見た時の感想なのだった。
じっくり時間をとって見よう、と思っていたらhuluでの配信が中止されちゃって、
実は視聴がいったん滞っていたのです。

そして今、4ヶ月後の再視聴。
自分で書いた感想を読み返して見ると、ものすっごいチャンフィ寄りの視線で書いてるねー。
もちろん、この感想は基本的にぜんぜん変わらないのだが、
時間を置いてあらためてこの回を見ていると、
史曹判書の死にざまに、心底感動するのだ。

自分が守ってきたものが間違っていたと暗に認めつつも、
その始まりはけっして腐ってはいなかったと知っているギルドンパパ。
聖君になろうと希望に燃えていた王を、守ってやれなかった自分。
その責任をとって、最後は王を守って死んでいくギルドンパパ。
自分の死にざまを、息子に示して、血を吐きながら死んでいく父。

けっして息子だと名乗るな、会いに来るな、というのは、
ギルドンを守るためなのよねぇ。
ギルドンも、チャンフィも、それをわかっている。
だけど黙っている。

父の死を見つめるギルドンは、チャンフィと無言の決意をかわす。
この父の死に報いるためにも、自分たちは新しい世を作らなければならないのだ、と。

イノクの決心をきいたギルドンも、ただ黙って彼女を抱きしめる。(控えめに)

この静かな行間の連続が、
ドラマを厚みのあるものにしているんだなぁ。

言葉にできない想い。
口にしたら、あまりに軽くなってしまいそうな彼らの想い。
そういうずっしりとした沈黙が、素晴らしいと感じる回でした。

そんなことをドシドシ書いちゃってるわたしが一番無粋かも……。



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