快刀ホン・ギルドン ９ チョルチュの正体

時がたつのはあっという間。
ほんとに１年なんてはやいもんですね。
コブラだなんだと、ちまたは賑やかです。
躍るコブラ、見たかったな～。

《あらすじ》

ギルドンが死んで１年がたった。
イノクは商団に雇われ、がんばっている。
今日は清からチャンフィが帰ってくる日だ。
「わー！待ってたのよ！元気だった～？」
イノクは新しいコブラを買ってきてもらい、大喜び。
しかし、チャンフィは真の目的、爆薬を手に入れることはできなかった。
クーデター失敗から１年、そろそろ次の行動を起こすときだ。
チャンフィは、常にギルドンの言葉を思い返している。
正統な血筋だというだけでは、彼の問いに答えたことにはならないと思うから。

さて当のギルドンは、盗賊稼業に精を出していた。
私利私欲で富をため込んだ両班を、白昼堂々山中で襲う。
もうけたお宝は、山分けだ。
ほどんどは、貧しい人々に配ってしまうのだけれど。

四寅剣の存在は、皆に知られてしまった。
チャンフィが生きていることも、おそらく確実だろう。
現王派のギルドン父と、左議政であるウネの父は、対策を練る。
「ギルドンも生きていて、両者が手を結ぶかも……」
左議政の言葉を笑い飛ばすこともできない。

イノクは、またまたコブラを退治されてしまい、落ち込んでいる。
「一緒に酒を飲もうか？」
「え？」
落ち込んだときは、友達と酒を飲んで忘れてしまうのが一番だと
以前、イノクが彼を慰めたのだ。
「そもそも若君は私の友達なの？」
チャンフィは、もちろんそのつもりでいる。

娼館の酒場で酒を飲み、たらふく鶏を食べて楽しそうなイノク。
「清に行っといてあのスズメを食べてないなんて！まったくバカよ！ああ残念！」
「では今度はお前も一緒に行くか？」
イノクは、ふっと何かを思い出す。
「私は行けないわ」
以前友達と一緒に行くつもりだったけど、ダメになっちゃったから。
「あの者と行くつもりだったのか？」
チャンフィの言葉に、ギルドンとの思い出がよみがえる。
涙がこぼれるのを抑えられないイノクは、咄嗟に色眼鏡をかけて、
ごまかそうとするのだが、涙はどんどんあふれてくる。
席を外して泣いているイノクをそっと見守るチャンフィ。
彼女の心が、遠くにあるのは、わかっている。

ギルドンも、また、イノクを想っている。
もう会うことはできないけれど、彼女の守り袋を手放すことはできないのだ。

山中で、スグンたちが少女の遺体を見つけた。
何ヶ月も縛られていたようだ。逃げ出す途中で死んだらしい。
逃亡奴隷か、身売りされた娘か。
彼女の首には鈴がかけられていた。まるで家畜の首にかけるように。

この少女を監禁していたのは、高利貸しチョルチュだった。
スグンは村で、死んだ妹にそっくりな娘チョンと出会う。
彼女の父も、高利貸しに手を出して苦しんでいた。
見えなくなった目の治療のため、米を借りたのだ。
人ごととは思えないその境遇に、そっと彼女を助けると決めたスグンだった。

ウネは、ギルドンの居場所を知っていて、時々根城を訪れる。
それが、彼との約束だ。居場所を教えれば、何もかも黙っていると。
だから、商団のお使いでやってくるイノクにも、何も教えない。
ギルドンを好きだけど、素直になれないウネ。

高利貸しチョルチュは、密かに爆薬を扱う裏の商人でもあった。
ノ尚君は、目的のために彼と取引をする。
爆薬製造者を譲ってもらう代わりに、船と倉庫を用意する。
チョルチュは集めた娘たちを清に連れて行き、売るつもりなのだ。
チャンフィはそれに気付くが、目的のためには目をつぶるしかない。

父のため、懸命に働いていたチョンが、とうとうチョルチュに連れて行かれた。
スグンは後を追い、彼女を救おうとするが、袋だたきにされて大けがを負う。
ギルドンも、娘の首にかかっていた鈴を調べているうちに、
チョルチュの正体に思い至った。

イノクは、昼間落とした色眼鏡を探しに、倉庫へ舞い戻る。
そして捕まったたくさんの娘たちを見てしまうのだ。
スグンも瀕死の状態で根城に帰ってくる。
「あの子を助けてくれ……」

（つづく）


そもそもチョルチュって誰やねん、状態で見始めましたが、

悪い奴だなー。

しかもわかりやすい悪だなー。
こういうの、いちいち成敗してると遠山の金さんになっちゃうんですよね。
チャンフィがはやいとこ王位につくのが大局的にはいいのですが、
こういう悪事を見逃してると、
王になる目的を見失いがちですから、困ったものです。

それにしても……もう１年たったのねぇ。
何もかもがはやいなぁ。

ギルドンの髪型が微妙にかわり、右目を隠した憂いのある表情になってます。
彼にはにっこり笑っていてほしいのに。

イノクは相変わらずの大食い娘ですが、
ちょっとしたおりにギルドンのことを思い出しては泣いているようです。
１年たって、若君との仲が多少進展したかと心配しましたが、ノープロブレム。
友人認定すらされていなかったチャンフィが哀れでなりません……。

ウネお嬢様は、相変わらずツンで、しかもイノクに内緒でギルドンに会っている。
ずるいですね～。
イノクもお菓子につられて「いい人」カテゴリに分類していてはダメよ！
あんたの恋敵よ！
ギルドンがぜんっぜん興味ないのが救いだけど。

少女特有の潔癖さで、ギルドン生存をイノクに教える日が来るはず、と前回書きましたが、
それもあやしくなってきたよ。
たいしたお嬢さんだよな。
ギルドンのこと好きだからつい意地悪しちゃう。
好きだって告白して完全拒否されるより今の状態がいいんだよね。
とにかく会ってはもらえるもん。
横恋慕ってつらいわね。
王子ともども。

１年たって微妙に髪型がかわっていたのがもうひとり、スグン。
おっさんのくせにサラサラ王子ヘアで決めていたのが、ウェービーになりました。
少女時代に読んだマンガの影響か、妙に長髪男性に弱いわたし。
スグンなんてまるきり好みじゃないのに、あの王子様みたいな髪型だけで
ちょっとやられそうになってたのですが、ウエービーで落ち着きました。ほっ。
でも、あのセクハラ寸前（てかもろにセクハラか？）の口説きがけっこう好きなのでした。
あれぐらいはっきり「欲情していますよ」とアピールされると悪い気はしない。
言ってるわりにねちっこくないしね。

さてそのスグンに！今回不覚にも泣かされてしまった……。
自分の足の治療代に売られてしまった妹。
自分のために死んでしまった妹。
その妹によく似た女の子を見つけて、感情移入しちゃうスグン……。
正直「まだ子どもだろ」っていうの意見にはうなずけないが……。
もう立派なお嬢さんでしょ。
「女になるまで待て」って、いろいろ含みはあるでしょうが、
スグンは基本的に非処女専門ってことなんでしょうかね。

そ、そんな話はどーでもよくて、スグンのいい話ですよ！
あのきれいな衣装からして、ふたりは旅芸人だったのかな。
足を折って芸ができないとおまんまの食い上げですから、
妹を売ってでも兄貴の足は治さなければならなかった、ということでしょうか。

お涙ちょうだいのよくある話ではあるのですが、
やっぱり泣けちゃったぜ。

悪徳高利貸しのチョルチュは、人身売買組織の親玉でもあった、と。
チョルチュの正体、とか言われても、悪徳高利貸しならそのくらいやるだろう、ということで
予測の範疇ですよねー。
麻薬に手を出してないだけえらいわ。

彼が小銭を返してやったイノク、
悪事を悪事と知りながら、爆薬製造者を得るために目をつぶらざるを得ないチャンフィ、
スグンの頼みをもちろん無視できないギルドン。
三人が、このおっさんのおかげで出会うことになるわけですね？！わくわく。
これまでに犠牲になった人はかわいそうだけど、助けてあげられないけど、
この１００人には生還してほしいな。
ギルドン、お願いね。

問題の兄王は、正気にかえったのかと思いきや、
正気の状態がどんなだったかも忘れてしまった模様。
でもこの人があんまりアホな王様だと面白くないので、
ここで我に返って、悪を意識した悪の王になってほしいと思います。
ほんとにギルドン父は、なぜこんな人に忠誠を誓ってしまっているのやら。
やはり妾の子として父に命を狙われた王への哀れみと、
序列を乱すべからず、という本来の性格の堅さが招いたことなのでしょうか？
いずれそのへんもはっきりさせていただけると思いますね。

チャンフィは、側にいるイノクに癒やされまくってます。
だって笑顔が見えるんだも～ん。


こんな表情はじめて見た。

イノクに「ムク犬」と呼ばれている側近チスは相変わらずの無表情ですが、
王子の心をしっかり読み取っています。
そして、癒やされている王子を見て彼も癒やされているという状態。
ノ尚君に聞かれたら、大激怒されますよ。
女の私が必死でがんばってるというのに最近の若いもんときたらなんじゃわりゃ、的な。
王子も正直、ギルドンの問いとイノクの笑顔によって、
「王になるってそんなに大事だっけ？」と骨抜き状態に見えますよ。

血筋というだけでは、ギルドンの問いに答えたことにはならない。
なんとなくわかってるんだ、チャンフィは。
しかし、はっきり言葉にしてしまうと、これまでのあれこれを
否定しなくてはならないよね。
特にノ尚君は悲しいよね。
でもあれだよ、結局古い人間は、新しく若い人たちの捨て石にならんといかんのよね。
お母さんたちは間違ってる！といって、息子には我の屍を超えていってもらわないと。

そもそも兄王が悪い王だからこそ、チャンフィにもチャンスがあるわけよ。
打倒、悪の政権、ということで人心もつかめるし。
これがすごくいい王様だったら、いくら勅命でもなんだかなー、って感じになるよね。
お前今よりよくできんの？って。

イノクに、少しでも自分の方をむいてもらいたいチャンフィ王子。
その恋はきっと実らないから、せめて大願は成就させてあげたいわ……。


無理だってわかってるから切ない恋心。

あー、いろいろ切ないなー。
盗賊団の人たちが、根城で雪合戦してたの見て、涙ぐんじゃったもん。
幼い頃に捨てられたり、売られたり、親と死に別れたり、
きっといろんな苦労をしてきた人たちだと思うんだよね。
盗賊団に入って、仲間ができて、家族ができて、
ギルドンがあじとを作ろうぜって言って、家ができて、
なんかみんな無邪気に遊んでて、
泥棒は悪いことなんだけど、そこは夢みたいな場所で、
そんな風に考えてたら、悲しいような切ないような気持ちになった。
この盗賊団の村は、心に傷をかかえた人たちが集まって暮らす場所なんだな。
（ん？美化しすぎ？そこはほら、ドラマドラマ）
「和尚様～！」って集まってくるのが村の子どもみたいだった。
この和尚も、甲高い声でしゃべり、笑い、つかみ所のない人だけど、
なかなかの人物だわいな。

次回は久々にアクションシーン満載だね、きっと。
だって戦うんでしょ？チョルチュ軍団と！
ワイヤーアクションも見慣れてきたし、楽しみです。



ウネアガッシの気まぐれに、しぶしぶつきあってやるギルドン。
ばらされたら大変だもんねー。
雪のシーン、なかなかステキなシチュエーションです。
お嬢さんのチマチョゴリが鮮やか。
韓国伝統衣装には防寒具はないのか？中に着込むのか？