本人の意思が明確ではない脳死移植が、家族の同意のみで行われた。改正臓器移植法下では2例目にあたる。もし私が家族の立場になったら、いったいどうするだろう…本人の心臓が動いているのに、周囲の無言の圧力に屈して、首を縦に振るかもしれない。この場合の周囲とは、臓器移植ネットワークという、人間の脳死を待っている人たちだ。先日の新聞で、脊髄がマウスレベルで復活報じられていた。脳も、薬物や再生医療で復活させる治療法が開発されつつある。となると、脳死による臓器移植はあと何年かすると不可能になる。人工心臓や異種間の移植があとわずかのところまで迫りつつある。死体になっても働かなくてはならない時代は、過去のものになりつつあるのかもしれない。もともと、臓器を移植してまで生きるというのは、人類のエゴイズムだ。
とは言いつつも、愚息はドナーカードを持っている。
とは言いつつも、愚息はドナーカードを持っている。