バンビの独り言

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「ミツバチの羽音と地球の回転」感想

2010-06-07 01:35:58 | 田中優&鎌仲ひとみ
土曜日、名古屋に、鎌仲ひとみ監督の最新作「ミツバチの羽音と地球の回転」を観に行って来ました。

豊田おやこ劇場の運営委員長ひろえさんと、事務局長グチさんと、娘2人の5人で。
(豊田おやこ劇場って素晴らしいでしょ♪来年1月には「子どもたちに出会わせたい大人」として優さんに「事前」に来てもらうよ)

「ミツバチ…」の一部は「ぶんぶん通信」と「予告編」で観てたから、この日が待ち遠しくて待ち遠しくてたまらなかった。
遠距離恋愛の恋人に会うような気持ち。

この作品は、「脱石油・脱原発」を決め、自然と共生しながら「持続可能な社会」を求めて生きようとする山口県の島、祝島とスウェーデンの町の住民たちの姿を丁寧を追った映画、です。

最初は「ひじき」を採るシーンから始まる。

私は仲間と、祝島のひじきを数年前から共同購入している。
(娘たちは「あれがうちで食べてるひじき?」「あぁやって採って茹でるんだね」と観てた)

祝島のひじきは柔らかくて美味しくてこれを食べたらもうよそのひじきは食べられない。
だから1年分、ごっそり買いだめしておく。
それなのに、今年、みんなで100袋注文したひじきのうち半分しか買えなかった。
しかも…来年以降は、ひじきは買えないらしい。

なぜか?
昼間は原発の抗議行動のために、漁や農作業を休まないといけないそうだ。
海の恵みで暮らしていた島の人たちは、今、まさに、その暮らしを奪い取られる危機にある。
暮らしを犠牲にしてまで阻止行動をしなくちゃいけない現実。
それを怠ると、工事が進んでしまう。

そんな背景を知っているから、初っぱなから涙腺が緩んだ。

夏場に海水が1度上がっただけでも漁に支障が出るというのに、原発は海水を7度も温める(たとえCO2を出さなかったとしても、海水を急激に温めてしまう原発の、どこがクリーンエネルギーと言えるのでしょう) 。

中国電力は、祝島の人たちに向かって
「みなさん、いまさらこんな一次産業を続けていて、未来がありますか? 食べられるようにしていくには産業の活性化が必要です。原子力発電は地域の雇用を増やします」
と言った。
では私が聞きます。
あなたがたが日々食べているものは何ですか?

私は娘に「一番偉い人って誰?」と聞かれると「第一次産業で働いてる人だと思ってる」と答える。
私たちの食は、第一次産業の、決して割に合うとは言えない労働をしている人たちに支えられている。
自然を守れない、第一次産業をバカにする人には、食事をする資格はないと思う。

中国電力の人も、もしかしたら愛する家族のため、自分の暮らしのために(不本意ながらに)淡々と仕事をこなしているのかもしれない。
でも、だったら、祝島の人たちの「自然の恩恵を受けて幸せに暮らす権利」も脅かさないで欲しい。
中国電力の人はそれが仕事だから、工事を進めることで給料が出ているけれど、それと同じ時間、阻止行動をしている島の人たちの生活は「犠牲」になっている。
これが平等と言えるのか。
弱いものイジメの何ものでもない。

一方、国民投票で脱原発を決めたスウェーデンでは石油燃料から自然エネルギーへ転換し地域での持続可能エネルギー利用を模索している。
太陽光や風力、波力で電力を作り、し尿をバイオガスに。
1~2時間の充電で10~20キロ走ることができる電気自動車に乗っている。
電力が独占されていないので、自分で電力を選ぶことができる。
石油を搾取しない暮らしをしている人々の表情は、明るく楽しそうだ。
誰かを犠牲にせず、自然に恩恵を受けていることへの感謝の気持ちが、心を豊かにしてくれているのだろうと思った。

日本は、というと、今後、11基の原発の建設計画がある。
原発は「建てる」と決めてから建つまでに25~30年かかるそうだ。
今すぐ「建てる」と決めても、早くても2035年までは建たない。
それなのに、「2020年までには、原発でCO2を25%減」と政府は言っている。
この「変」に気づいて欲しい。
「原発は安全」と言いきる人は、その責任を子や孫の世代にまで負わせる覚悟であるべきだ。

「日本は『資源に乏しい』」という考えは時代遅れだそうだ。
資源大国日本は、スウェーデンより日照時間は数倍多く、海も山も豊か。
木質バイオマス、太陽、風、小規模水力、地熱、バイオガスなど、持続可能なエネルギーはたくさんある。
更には、人類が必要としている電力の1万倍のエネルギーが太陽から地球に届いている。
現在の日本では、原発を推進する電力会社しか電力を買えない独占体制となっている。
まずは、エネルギー市場の解放を求めることが、行動の第一歩だと思う。

「原発を必要悪」だと言う多くの人に「エネルギーシフトの必然性」を、地域の自然を役立てながら地域経済を復活させる道があるのだということを、伝えていこうと思う。
 
「エンデの遺言」「ヒバクシャ」「六ヶ所村ラプソディ」…いつも時代の先頭をきってタブーに果敢に取り組む鎌仲監督は、私たちにモノ言う勇気と、行動する勇気をくれる。
小さな声をすくい上げ「弱いものイジメ」を決して許さず、私たちに大切なメッセージと「考えるきっかけ」を手渡してくれる。

私たちの未来に責任を取ってくれる人は誰もいない。
だったら、自分で正しい情報を得て選択し、未来をあきらめず、自分で新しい扉を開いていくしかない。

この映画は、日本人全員が観るべきだと思う。

上映情報はこちら

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