応援するチームの勝敗やゲーム内容にかかわらず,相手サポーターやチームに因縁をつけて暴れることを目的とする輩が存在する.試合の勝敗結果のフラストレーションやカタルシスを騒ぎの理由とする熱心なサポーターとフーリガンの違いと思えるが,最も性質の悪いフーリガンの生息する地域,それがイングランドである.特にミルウォールのフーリガンは,ロッド・スチュワート(Roderick David Stewart)「セイリング」の歌詞を「俺たちはお前らが嫌いだぜ」と替えて大声で歌い,敵意むき出しで威勢を誇示する.ピッチに乱入して相手の選手を殴りつけたり,線審にコンクリート片をぶつけて病院送りにしたり,とにかくフーリガンの暴挙はすさまじかった.ミルウォールのかつてのホーム・スタジアム「デ・サン」は,フーリガンの挙動により1920年から1978年までの間に5度もFAからスタジアムの使用禁止を命じられ,フーリガンに恐れをなした相手チームはコーナーキックの権利を放棄し,試合続行のためゴールキックに変更されたという信じがたい記録も残っている.