家族の広場

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すさまじい偏食を治す

2006-08-19 06:13:39 | Weblog
すさまじい偏食を治す

 この4月から、○小学校●年生の中に、すさまじい偏食の子がいる。

 4月の給食第1日目。(○小学校では、ランチルームで全員一緒に食べる)牛乳やデザートを含め、一切何も食べられなかった。

 驚いた校長・教頭が、保護者(母親)を呼び、学校での様子を説明した。

 幸い、母親は仕事に行っているわけではないので、翌々日からランチルームではなく教室で(他の子がお母さんが来ていることをうらやましがらないように)、担任のAと一緒に給食を食べることになった。母親と一緒なら落ち着いて、少しは食べられるのではないかという配慮だった。
 
 ところが、母親と一緒でも全然だめ。家では、牛乳を飲んだりパンを食べたり肉を食べたりするのだが、学校では牛乳一口、肉一口すらだめだった。
 よく言われる「オカーサンハヤスメ(オムレツ、カレーライス、サンドイッチ、ハンバーグ、焼きそば、スパゲティ、目玉焼き)」という軟食文化の食事から「まごはやさしい」(豆、ゴマ、ワカメ、野菜、魚、シイタケ、イモ)という日本の伝統食へ変えるというレベルではなく、まず何か食べさせるというものだった。

 これまで、家でも幼稚園でも、野菜はもちろん、ご飯(お米)は全く食べなかったそうだ。ご飯は、幼稚園の年中の頃から突然食べるのを拒否するようになり、もう2年以上口にしていないとのことである。(幼稚園時、尿検査で良くない結果が出て、お医者さんに食事の内容を聞かれ、野菜はさておいてもご飯だけでも摂らせなさいと言われたそうだ。でも、ご飯を盛るとそれを投げつけて抵抗するなど、いろいろやってみたがだめだったそうである。)
 みそ汁もほとんど飲まない。パンや牛乳の他には、お菓子や果物を食べていた(る)そうだ。幼稚園では、食パンを特別に持たせていたそうだ。
 
 三日間ほど、母親と一緒に給食をとったが、全然だめ。あれだけ運動しているのに、よく何も食べずにいられると不思議だった。家に帰ると、牛乳を飲んだり肉や魚を食べたりするという。

 家では、牛乳は冷やしてコップで飲んでいるそうなので、教務室の冷蔵庫で冷やし、コップに入れてあげてみたけれどダメ。肉や魚は、家ではあたためているそうなので、学校にある電子レンジであたためてあげてみてもダメだった。野菜などはもちろんダメだった。デザートのクレープだけ食べることができた。(野菜を食べたらクレープなどという手は全く通用しない。クレープを食べてもらうだけでも、うれしいという状況だった。)

 これは、大変まずいと思った。両親は、「いろいろやってみたがだめだった。」ということであきらめモードだったが、食事は体の健康の維持・成長ばかりでなく心の健康の維持・成長(性格形成)にも大きな影響を及ぼすものなので、なんとかしなければいけないと思った。●年生が勝負だと思った。

 このままでは、まずいので近隣の学校の教員で、この道に明るい人に聞いてみた。
 とにかく食べさせることが大切。パンを食べるならパンをもってくる、ふりかけをかける、器を変える、……というアドバイスを受けた。

 まず、お母さんにミロを持ってきてもらった。そして、牛乳に混ぜて飲ませてみた。そしたら、初めて学校で牛乳を飲んだ。

 次に、毎日食パンを細かく切って持ってきてもらった。そして、それに食べられる肉や魚などをはさんで食べるようにした。

 ※ 当市は、米どころA県で地産地消の方針だから、ほとんど毎日米飯(パンは月に1  回)であり、しかも和食が圧倒的に多い。

 そして、オーブントースターをお家から持ってきてもらい、家と同じように肉や魚をあたためてから、食パンにはさんだ。(その子は、「あたためてないから、食べれない。」と言っていた。実は結構あたたかいのだが……。)

 こんな手だてが奏功し、牛乳とパン、そして好きな肉や魚は食べられるようになった。つまり、家とほぼじ状況が出現したわけである。

 これでも、まだまだである。野菜が全くとられていない。

 そこで、お母さんに食事の重要性をもっと認識してもらう必要があると判断したので、鈴木雅子「キレない子に育てる食事メニュー」(河出書房新社)という本を貸し、読んでいただいた。

 そして、家でも好きだというホットケーキやお好み焼きなどに少しずつ野菜(ニンジン、キャベツなど)を細かくして食べさせたもらった。そしたら、喜んで食べたという。

 みそ汁についても少しずつ飲むようにすすめた。幸いホットケーキなどに少し野菜を混ぜても喜んで食べたので、野菜への抵抗感が減ったのか、みそ汁も少しずつ飲み始めた。

 さらに、野菜不足を補うため、ニンジンジュース(医学博士 石原結實さんが薦める健康ジュース。ニンジン2本とリンゴ1こからジューサーで作る。)を、石原さんの本の抜粋コピーとともに渡した。そして、我が家で使っているジューサーを貸してあげた。

 そこまで言うならということで、家でニンジンジュースを作って飲ませてくれた。そしたら、喜んで飲んだという。そして、3週間後ぐらいに「我が家でもジューサーを買った。」ということで、ジューサーを返してもらった。きれいに磨いてあった。
 
 そして、5月半ば頃だったろうか、家と同じく学校でも、嫌いな野菜も少しだけパンと肉や魚と混ぜて食べさせるようにした。子供はかなり抵抗したが、少しだけと言うことと、この時間に食欲が出るように体がなってきたので、食べることができた。

 6月頃からは、ホワイトボードにパンに挟んで食べる野菜を二つ(すでに少しなら食べられるようになっているもの)と嫌いだけどチャレンジするものを、あらかじめ約束して「いただきます。」をするようにした。これは食べられる野菜の種類を増やすのに効果があった。

 ここまで4、5、6月とずっと(2日ほど都合で休まれたが)お母さんは食パンとミロとオーブンであたためるための食器をもって来校し、一緒に教室で給食を食べている。そして、肉や魚、みそ汁などをオーブンであたため、パンに肉や魚と野菜を少し挟んで食べさせている。

 そして、7月。7月から米飯を食べさせることにした。

 家でもここ2年全く受け付けなかったものである。ホットケーキなどにほんの少し混ぜても、見つけ出すとそれを除いてしまうというほどである。

 ただ、この3カ月の間に、ホットケーキなどにほんの少し混ぜ、知られずに食べさせることに成功したことが何度かあったという。その後、体調を崩すようなこともなかったという。要は体質的なものではないのだ。

 7月1日(金)のこと。
 Aは、「一粒だけでいいから、食べてごらん。食べないうちは、他のものは食べられないよ。」と宣言した。

 予想通りがんとして食べない。席を立って泣き出し、「学校嫌だ!帰る。」という。パニックの状態だ。

 お母さんも「そんなに簡単にできるなら、とうにやっています。何遍やってもだめだったんです。」などと、思わず口走っていた。
  
 Aは、半ばお母さんに言い聞かせることになったのかもしれないが、
「このままずっとごはんを食べないままにはいかないよ。お父さんも、お母さんも、先生も、友達もみんなごはんを食べてるんだよ。」
と話した。
 
 この日の午後は市全体の研修が入っていて、時間がなかったので、月曜日にはご飯を食べると約束をして終わった。

 さて、7月4日(月)。お母さんの話では、4月以来初めて「学校に行きたくない。」と言っていたという。

 A「さあ、約束だよ。」と言って、ホワイトボードのチャレンジの欄に「ごはん」と書いた。もちろん、ミロ入り牛乳も果物も他のおかずも、ごはんを一粒(一口でない)食べた後である。

 案の定「できない。できない。」と言って、なかなか食べようとしない。

 でも、なんとか米一粒を4分の1ずつに分けて、約2年ぶりに意識してお米を食べた。みんな拍手した。「がんばったね。」と。

 結局お米を3粒ほど食べることができた。
 
 お母さんは「よかった。」といい、
「家でも同じように挑戦させた方がいいでしょうか。」と聞いてきた。

 Aは、「その方がいいでしょう。そうでないと、夏休みになって学校が休みになると、そのままお米を食べなくなってしまいます。」と話した。

 その日、お父さんは驚き、とても喜んだという。そしたら、その子も嬉しそうに「ぼく、ごはんたべられたよ。」と言ったという。

 翌火曜日も今日水曜日もお米を食べた。少しずつ増えたきて9粒ほど。

 今日は、お母さんばかりでなくお父さんも給食時に来た。そして、お米を食べる様子を見て喜んで帰って行った。

 おそらくお米は3粒が9粒になったように、やがて一口、二口、お椀の4分の1と増えていくだろう。

 思えば長い道のりだった。お母さんもよく頑張ったと思う。

 偏食を治すには、その重要性を心の底から認識し、「治す」と決意すること。そして、協力し合って、少しずつ段階を踏んでいくならば、必ず治せると確信する。

 我が家の「あったかい家族日記」ではないが、偏食でお困りの家庭も多いと思うし、成功例として参考になるのではないかと思い、紹介してみた。

家族専科http://www016.upp.so-net.ne.jp/kazoku/へ



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