空と海と、母と父

ガンで亡くなった母と父との思い出を、両親が好きだった食べ物を通して綴ります。

父と大福もち

2016-11-22 18:13:48 | 日記
 戦前生まれの人にとって、お餅はかなりのごちそうだった。

 その代り、イモ・カボチャは嫌というほど毎日毎食、食べたので見るのも辛かったようである。

 父もお餅が大好きで、特に大福餅には目がなかった。

 生前、母は餅つきの機械を購入し、年末にはもち米をふかし、機械で餅をつき、家族総出で白餅・あんこのお餅・よもぎのお餅・豆餅などを大量に作った。

 あれは母にとってもお餅が特別な食べ物だったように、父のためにも手作りしていたのだと思う。

 母の病室にも、父はよく大きな大福餅を持参しては食べていた。
 「お父さん、そんなに大きなお餅を食べるの?」
 と、病院食を食べながら驚いていた母の声を、今でも覚えている。
 
 父が退院した後、水ようかんやあんみつなどを差し入れると、喜んで食べていた。

 が、大好きだったお餅も何も口にしなくなったとき、父は亡くなった。
 
 人間にとって食べるということは、生きるということにつながっている。
 
 

 

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