愛のせい

愛のせい

守ってあげる

2015-10-16 16:13:06 | Dream beauty pro ?毛


 それから間もなくふたりが、地下室から応接室へ帰ってくると、ちょうどいいぐあいに、少年が息をふきかえしているところだった。少年はふしぎそうにキョトキョトと、あたりを見まわしていたが、金田一耕助や文彦のすがたを見ると、キャッと叫んで、逃げだそうとした
「だいじょうぶだ。なにもこわがることはない」
 金田一耕助は少年のかたを押さえると、
「きみはいったいだれなの。どうして、よろいのなかなんかにかくれていたの」
 見るとその子は目のクリクリとした、いかにもすばしっこそうな少年だったが、耕助にそうたずねられると、みるみるまっ青になって、
「おじさん、そ、それはいえません。それをいったら、ぼく、殺されてしまいます」
「殺される……? は、は、は、バカな。いったいだれが、きみを殺そうというんだい」
「おばあさんです。黒マントを着た、魔法使いのようなおばあさんが……」
 ふたりは思わず顔を見合わせた。
「きみ、なにも心配することはない。おじさんは警察のひとたちにも、たくさん知り合いがあるからね。きっときみを。だから、さあ、なにもかも話してごらん」
「おじさん、それ、ほんと?」
「ほんとだよ。きみ、このおじさんは金田一耕助といって、とてもえらい探偵なんだよ」
 文彦がほこらしげにいうと、少年は目を光らせて、
「おじさん、ほんと? すごいなあ。それじゃおじさん、ぼく、なにもかもいってしまうから、ぼくを助手にしてください」
「よしよし、きみはりこうそうな顔をしているから、きっと役に立つだろう。さあ、話してごらん」
「うん」
 と、強くうなずいて、その少年の語るところによるとこうだった。
 魔法使いのようなおばあさんは、その子を竹田文彦だといって連れてきたのだという。しかし、そのうそはすぐにばれてしまった。大野老人は右腕にあるあざを見ると、
「うそだ! この子は文彦じゃない。文彦のあざは左の腕にあるはずだ!」
 それを聞くとおばあさんは、しまったとばかりにつえをふりあげて、大野老人をなぐり倒した。そして老人が気を失っているあいだに、大急ぎでその子によろいを着せ、よくこの家を見張っているようにと命じて、あわててそこを立ち去ったというのである。
 少年はそれからずっとよろいのなかから、あたりのようすをうかがっていたが、とうとう本物の文彦に、それを感づかれてしまった。文彦から注意をうけた香代子は、急いで家へ帰ってくると大野老人にそのことを耳打ちした生髮藥