マダムキラー

今日チームは負けちゃったが、銀チャンへの取材攻勢はすごいらしい。広報も「大輔以来」と驚いているらしい。
ほんととんでもないスターの誕生だ。昨日のゲーム。北九州は狭いが、二本のHRはすごい。しかも満塁のチャンスをしっかりとものにしているのはお見事！早くも新人賞は決定と断言したい！
開幕ゲーム直前、グランドではセレモニーが華やかに行われていて、スタンドもプレーボールを今か今かと興奮気味に待っているような状況の時、銀ちゃんはブルペンでオツサンの球を動じることなく受けていた。
この日私は、どうしても銀ちゃんにプレゼントする約束のものがあり、カメラマン席で様子をうかがっていた。
デビュー戦を直前に控えたルーキーに、何もこの一番緊張するときに渡すなんて普通なら大迷惑だろう。普通のルーキーならこんな場面、「あっどうも」と答えてくれればいいほうだ。視線も泳ぎ、目も合わせてくれないだろう。普通の選手なら・・。しかし相手は炭谷銀仁朗だ。銀ちゃんの反応が楽しみだった。

ブルペンから出てきた銀ちゃんに紙袋を渡した。すると大きな声で「おっ約束のＡＶ持ってきてくれたんすね。ありがとうございま～す」「…今何て言った？えーぶい？ちょっと」こんな答え、想像もしてなかった。何なんだ、この余裕のコメントは！！二回り近く（銀チャンのママと歳が近いことがわかってショック）年下の子供のようなやつに、この私がからかわれてしまった！！不覚にも・・。

約束していたもの・・それは、歴史的な結末に終わったWBCのビデオ。銀チャンはとても興味を持っていたが、残念ながら試合と重なり、ほとんどのゲームを見ていないと聞いていた。しかもビデオデッキは持っているがビデオテープは持っていない。「録りたくても録れないんですよ」と聞いていた。それなら、と銀チャンのために決勝戦を録画したのだ。
しかし録画中あってはならないハプニングが起こってしまった。キューバに一点差に迫られながらもリードを守った日本。大塚がベンチに戻ったところでテープの録画がなぜか止まってしまった。ゲームが終了して胴上げが行われている時に旦那が気づき、録画スイッチを入れ直したが、一番盛り上がった怒濤の９回が丸々抜けているのだ。自分の間抜けさにつくづく嫌気がさした。
銀チャンに開幕前日、正直に話した。「ごめん。大事な９回が録れてないんだ。それでもいい？」「ほんとに録ってくれたんですか。ありがとうございます。持ってきてください。すごく見たいです。大輔さん見たいし」なんというこの心遣い！！この一言で寒い気持ちは吹っ飛んだ。そしてますます銀チャンに惚れた！このマダムキラーめ。

メッセージを添えてテープを渡した。「このビデオを見て、３年後のWBC決勝に自分がいることをイメージしながら見てはいかがでしょうか」
そんなこと書かなくてもたぶん銀チャンはイメージしているとは思うが。